ナナサカさんとスキル書
声のする方向をみるとナナサカさんが居たんだが…その肩にはTTが担がれていた、TTに生気はないように見える。
「T、TTがし、死んでる…」
「生きてるわ!」
突っ込むためにTTが生き返る。
まあ、死んだら消えてリスタートするから死んで無いのはわかりきっていたけどね。
「なんでTTさんが担がれて居るんですか?」
「俺が聞きたい、ひたすら投げられたあげく運ばれ続けて振りほどくことも出来ないし、もうなんというか脱出は諦めた…戦っても勝てる気しなかったからな」
「あ、スマンもう人払いの必要はないな…」
ナナサカさんはそう言うとTTを下ろす。
「はあ、疲れた…それでなんで俺は投げ飛ばされまくったんだ?」
投げられまくってクタクタなTTにフェルが説明する、勿論試練が失敗した事も。
「成る程…それなら途中で言ってくれれば俺を何度も投げ飛ばす必要なかったんじゃ?」
「いや、友達の友達とかどう会話すれば良いかわからなくてね」
「…刀神てかなり怖い印象だったけど、変人のイメージが増えてきた…」
そんな言葉をこぼすTTに自分は反応に困るのだった。
「でも失敗したということは強くなれなかったんだよな、再チャレンジ出来ないのか?」
「1度失敗しているから、暫くは挑戦出来ません…次に挑戦時はまた試練の内容変わりそうですね…」
ナナサカさんの疑問に答えるフェル、暫く挑戦出来ないのが失敗ペナルティなのかな?
「それなら他の事で強くなるしか無いな、例えば新たな必殺技を覚えるとか」
「新たな必殺技…」
TTの言葉にネージュフラワーを取り出してじっとネージュフラワーを見つめるフェル。
ダブルキャストというスキルで妖精氷門、妖精風門を同時使用とか考えているのかな?どちらにせよMP全消費技になるだろうから一発芸型になって、あんまり強さに繋がらないと思うが…まあ、フィニッシュ技が増えるのは良いことか…。
「あ、そうだ!必殺技繋がりで思い出した!ナナサカさん!なんでフェルに剣術教えたんですか!?というか刀神なのに刀術じゃないのか!?」
「まあ、家の流派は基本剣だからな、それを刀で使えるようにしたのが俺の戦い方だからな…フェル殿に教えたのはレンナ殿が驚くかなと思ってね」
うん、驚かされてガッツリ攻撃食らったよ…。
「でもフェルに技を教えたと言うと事はスキル書をあげたのか?」
「ああ、基礎的な物は一通り読ませたからそこら辺の剣士よりも使える戦技多くなってるかもな、まあ戦技が多くても後衛のフェル殿が使う機会は殆どないと思うけどな」
「スキル書て高いんだが…」
TTの言葉にはっと気付く、そうだリーダーさんもスキル書は高価と言っていたな!
「フェルに読ませたスキル書て総額いくらなんだ…?」
「無料だよ、スキル書は作る際にスキルの強さに応じて素材や技術を要求されるけど素材はモンスターから提供してもらえるからね、技術に関しては自前で出来るから無料だよ」
駄目だ、聞いても参考にならないやつだ。
「基本的にスキル書はイベントでしか手に入らなくて作るなんて人は殆ど居ない…イベントでは習得済みのスキル書はイベント交換では入手出来ないからどうしても希少になるんだよな、スキル書は読んだら燃える消耗品だし…だから物によるけど有用な物ほど高くなるし、それがトップクラスのプレイヤー御用達の流派となったら…レンナの財布じゃ払えないな」
TTがスキル書の価値に関して大まかに教えてくれた、まじかそんな高額な物を沢山フェルに読ませたの!?
「ええ!?私沢山燃やしちゃいましたよ…」
「気にするな、基礎的な技で他の剣技で代用できる物だから売ったところで高くないぞ」
本当に代用出来るのか?あの状態異常込の鋭い攻撃は基礎スキルとは思えないんだが…。
「まあ、そのスキル書のお礼がしたいなら前回失敗した必殺技を見せてくれ」
あ、そういえばその予定というか約束が後ろ倒しになっていたな…その約束を果たさないとな。