理不尽がTTに襲う時
「おかえりー早速で悪いんだが…FOEの時間だ」
城に戻ると、ナナサカさんが待っていた。
「え?FOE?」
「はい!?」
言葉にピンと来なかった自分と驚愕するTT。
「という訳でちょっと君の友人を借りるね」
「まったナナサカさん!今日はというかフェアリーガーデンでは決闘は駄目だと言われてたよな?」
ナナサカさんの言葉に決闘を連想して止める、フェルに決闘駄目と言われてただろ!?
「妖精王女から許可貰ったから安心してくれ、まあ、冗談は置いといて、TT…だったけ、すまないがちょっとだけ付き合って貰うぞ!死にはしないし、万が一死んでも何も失わないから安心してくれ」
ナナサカさんはそう言うと、TTに急接近、TTの防具…見ただけで格闘家とわかる道着を掴んで投げ飛ばした!
「ちょおおお!?」
大きく吹き飛び、受け身を取ろうとするTTだが、TTの落下地点には既にナナサカさんがいて、優しく受け止めた直後に再び投げ飛ばした!
「えええ!?!?なにこれ!?なにこれ!?」
驚くTTの声が遠ざかっていく、色々と理由もわからないが、急いでナナサカさんに追いかけようとしたが、背後から防具であるコートが引っ張られる。
後ろを振り向くとフェルが居た。
「あ、フェル!力を貸してくれ!ナナサカさんが暴走しちゃった!妖精王女とか言ってたし、いや、あれは冗談か…ともかくオールアップを!」
「落ち着いてください、ナナサカさんの行動は私の試練の為にやってくれたことです、TTさんに怪我はないと思うので安心してください」
「え?試練て…羅針盤のやつだよな?なんでそれでTTが投げ飛ばされる事になったんだ?」
確かにTTは吹き飛ばされはしたが、地面に叩きつけられる前にナナサカさんに優しくキャッチされていた、ダメージは受けてないはずだが…それがフェルの試練と繋がるとは思えない。
「他の人が居ると試練しにくくなるからです…ナナサカさんに相談したら人払いを手伝ってくれました、他の人達は今は城の外でのんびり過ごしてもらっています」
「あれ人払いなのか!?ほぼ拉致だったが!?」
「それに関しては私に言われても…」
「あ、そうだったなうん…」
普通に考えたらフェルもまさかナナサカさんがTTを投げて運搬するとは思わないだろう。
「それでここまでして試練て何なんだ?」
「その話をする前に屋上に移動しましょう」
「え、ああ…」
フェルに導かれるまま城の屋上に移動する…そこはオールモスキートと決戦の戦いをした所だ…個人的には蜘蛛の最後っ屁に殺られた苦い思い出がある。
人払いされているので誰も居ない。
「レンナさん、妖精になってくれませんか?」
「わかった、人化解除」
断る理由も無いのでフェルと同じ妖精になる。
「…………」
「…………」
お互いに無言になる、個人的には次はどうするの?と聞きたいがフェルがわざわざ人払いして二人っきりにしている状況が自分の思考に良からぬ想像が浮かんでくる。
そんな考えをしないように頭を振っていたら、フェルが大きな声をあげた。
「レンナさん!私と戦ってください!」
た、戦い!?いやそうだよな、ゲームで変な展開は無いよな…というかそんな展開があるゲームとか友奈にやらせられないわ…。
「自分と戦って勝つのが試練なのか?」
「いえ、そういう試練では無いのですが…戦うことが試練達成への道だと判断しました」
「その試練の達成条件て何だ?」
「ごめんなさい、試練の失敗条件に引っかかるので言えません…」
む…もしかして羅針盤握った時に眼の前に試練内容が現れたのかな?まあ、それなら深くは聞けない…。
戦うのは避けたいが…フェルは最悪時の安全縄のファイナルターミナルの効果が発揮される防具を着ているから、自分がフェルを殺すという最悪の事態は起きない…。
それなら戦っても問題ない…かな?本音言えば戦いたくないが…フェルの為なら戦ったほうが良いだろう。
「わかった…戦おう」
そう言いながら自分はアースキーと火光を取り出すのだった。
何度も言うけど戦いたくないけど、戦うしかなさそうだというか戦わないとTTが投げられ損にもなるからな…。