大修理開始!武器後編
そんな考えを裏切るように真っ赤に発熱したネージュフラワーが鉄床に流れてくる、勿論周囲の空気も熱くなってくる。
「なんで今回の時に限って熱くなるの!?ヒートガード、リジェネレート、オールアップ、フェアリーウィッシュ!」
「それでも直します!」
フェルに支援魔法を施す、フェルは自分が何時も使っているハンマーをテレキネシスで動かしてネージュフラワーの修理を始める。
最初はしっかりとハンマーを振るえていたのだが、時間が立つほどにフェルのテレキネシスが弱くなっているのかハンマーがフラフラし始める。
「フェル、変わろう、熱でもう限界だろ」
「ま、まだです!」
フェルは意地になっているのか頑張ってテレキネシスを使いハンマーを振るう。
だが進捗は現在70%位で100%までやったらフェルが倒れてしまいそうだ。
「ど、どうすれば…」
リジェネレートの回復は間に合ってないし、重ね掛けも出来ない…他の回復魔法を使えれば良いんだが、フェルは持続回復の魔法しか回復魔法を使えないみたいだし…。
フェルは何処を叩くべきかわかっているみたいだからアドバイスも意味ないし…。
「レンナ殿!それなら一緒にハンマーを振ったらどうだ?」
「え!?いや、肝心のハンマーがない…」
フェルが今テレキネシスで使っているハンマーの前の奴はユリのマイホームに置いてあるし、そもそも2人でハンマーを振るうは息が合わないとかなり難しい行為だ。
「ハンマーならこれを使いな!」
ナナサカさんに工房に置いてあったハンマーを投げ渡される、危ない、キャッチできなかったら怪我してるぞ…。
「フェル!一緒にやるぞ!」
「…わ、わかりました!」
フェルの隣に立ち、ハンマーを振るう、こちらがハンマーを振り上げている間にフェルがハンマーを振るう、逆にフェルがハンマーを振り上げている時に自分がハンマーを振るう、交互に振っていると、あっという間に修理が完了した。
「はあはあ…」
フェルは完全に肩で息をして地面の上に降りて座り込む、飛ぶことすらままならないみたいだ。
「フェル、ひとまずこれ飲んで休もう」
そう言ってHP回復薬を渡すと、フェルはがっつくように飲み始めた、すごい勢いで飲んでいるが大丈夫なのだろうか。
「ぷは、生き返りました…」
「お疲れ様だ、熱い中良く頑張ったな」
フェルの頭を人差し指で撫でる。
「えへへ、これで失敗分は帳消しに出来たかな…?」
ボソリとフェルの言葉が聞こえた…薄々思っていたが、やっぱり気にしてたか。
「ああ、お互いに失敗分は帳消し出来たな、ナナサカさんへの借りは…何が良いですか、ナナサカさん?」
「え、じゃあさっき失敗した技の成功バージョンを見せて欲しいぜ」
「「え!?」」
下手に擁護するとフェルは気にしそうだからふんわりと同意して、ナナサカさんへのお礼の話に持っていくと、ナナサカさんはとんでもない要求をしてきた。
「さ、流石に今すぐは無理だよ…?せめて明日にならないと…」
さっきの自爆はフェルの防具である1日1回ファイナルターミナルのお陰でフェルは助かったのだ、明日にならないとファイナルターミナルは使えない、万が一また失敗したらフェルの命はない。
「あ、いや明日でいいからな?無理言って万が一が起きたら、リダとリオアにガチでは済まされないレベルの説教されるからな流石にそれは…避けたい」
慌てて明日でいいと言ってくれるナナサカさん、チラッとフェルの方を見るとフェルは俯いていた。
「…大丈夫だフェル、次は成功するはずだ、武器が壊れても修理すればいいからな…それにさっきは失敗したけど、次は成功するよ!」
「そ、そうですね…」
何とか元気づけようとするが、手応えはない。
どうするべきか考えていると、ナナサカさんはフェルに見えないように無言でクッキーを差し出してきた、フェルに渡せとアイコンタクトを送ってきたような気がする…。
クッキーを受け取り、フェルに渡す。
「失敗は誰にでもある、だから必要以上に落ち込むな」
「ありがとうございます…美味しいです」
クッキーをポリポリだべるとフェルが少しだけ元気になった。
ひとまず今日はここでお開きになって、明日工房で集まってから試すことになった。