真心込めたベッドをフェルに、満面の笑みをレンナに
ユリのマイホームで自分はベッド作りを始める。
木材を削って、形を整えて、紙ヤスリでフェルがささくれで怪我しないように丁寧にヤスリをかける。
加工した木材を釘とで繋ぎ止めて床板や足など作る。
そして布、糸、綿を使い、枕とベッドの上に敷く…何だっけ?シーツ?マットレス?布団…?まあ、布団でいいか、布団と掛け布団を作る。
リーダーさんから貰った、妖鉄の裁縫箱から針を取り出し、裁縫をするんだが…。
「システム補助ないと、糸通すのも手動なんだな」
チマチマと針に糸を通して、裁縫を進める。
ミシンも無い完全な手作業…やはり時間がかかる。
無心で無言で作業中をしていたら、フェルをほったらかしにしているのに気付いた。
「すまんフェル…一人でひたすら作業して、君のことほったらかしにしていた…」
「へ、あ、気にしないでください、私も夢中で見ていましたので…」
謝ると赤面で反応するフェル、なんで赤面?なんかこっちも恥ずかしくなるよ…。
「と、取り敢えずベッド出来たから試しに寝てみて欲しい」
自作した無地のベッドに、フェルが横たわる。
「ふわふわ…」
「ベッドの硬さとか問題ないか?」
人によっては柔らかい布団の上で寝るより、硬い布団の方が合うという人もいるからな。
「問題ないです、ありがとうございます!こんなに良いベッドを作って貰って嬉しいです!」
嬉しそうな笑顔でこちらを見るフェル、水色の目がキラキラと輝いて眩しいし、ドキドキする。
フェルの笑顔に照れていると、ピーピーと予めセットしておいたアラームがなる、晩御飯時を知らせるアラームだ。
「まあ、嬉しいのなら何よりだ…とそろそろご飯を食べに、ログアウトしないと行けないから行ってくる…もしも他に欲しい物があったら、教えて欲しい」
「はい、分かりました!」
フェルの返事を聞いてからログアウトする。
VR装置を外して一息つく。
「このゲームて、恋愛シミュレーションゲームだっけ?」
そんな独り言を呟き、ご飯を食べに向かった。
食後ユリにPLの店と布に関して聞いたら、買わなくて良かったね…と安堵された、やっぱり当たり外れが激しいのか。
レシピに関しては7割は同じ名前なら性能は同じらしいが、残りの3割は名前は同じでも特定の特殊効果が付きやすくなるレシピになる為、高くなるらしい…。
またレシピは一度使うと登録されて売却不可能になる為、特定の特殊効果がつくレシピが高くなるらしい。
布に関してリーダーさんに依頼するのが一番良いと教えて貰った、リーダーさんは糸から高性能の布を織れる高い裁縫スキルと細工スキルを持っていて、ユリの防具もリーダーさんが作ったらしい。
それならぜひ依頼しようかな、フレンドになってるからメールも送れるし、何より色々と貰ったり教えて貰った恩がある、リーダーさんがしっかり儲かるような依頼をしないとな。
そんな考えをしながら、1日が過ぎていった。