帰り道の寄り道
天界から戻り人化して胸ポケットにフェルを入れた何時ものスタイルに戻り、街に帰還して早速フェルの杖、ネージュフラワーの強化をしようとチームゼロオーダーの工房に行く為に移動用魔法陣に足を踏み込んだ時、カランカランと鐘の音がなった。
音からしてハンドベル…結構近いかな?と思っていると声が聞こえた。
「おめでとうございます!特賞のラッキーダガーが当たりました!」
「ラッキー!クリティカル武器ゲット!」
なんか気になり声のする方向に向かうと、そこにはガラポン…正式名称は新井式回転抽選器が設置された福引所があった。
「レンナさん楽しそうです、やっていきませんか?」
「いや、ああいうのは買い物とかしてチケット貰わないと出来ないからやれないよ」
そうフェルに言いながらも景品が気になって近寄ってしまう。
といっても特賞以外はお買い物の割引チケットや消耗品の詰め合わせという何か特別に凄い物がある!という感じではなかった、まあ現実のように旅行チケットとか金券とかあっても有り難さは無さそうだからな…。
というか特賞はさっき出たからもう出なさそうだ。
「レンナさん、レンナさん、1等がリオアのライブチケットですよ、欲しいです」
「いや、それくらいならリオアに言えば貰えると思うぞ?」
コソコソフェルと会話しつつ、なんとなく福引所の近くの看板に書いてあった、福引をする方法を確認してしまう。
「イベントロストポイントで回せます?」
イベントロストポイントて何だ?と思っていると、眼の前に説明画面が現れる。
『イベントロストポイント
期間限定イベントで使わなかったポイントは期間終了後、全てイベントロストポイントに変換されます』
成る程、使いきれなかったポイントは全部変換されるのか…そういえばリーダーさんと沢山スキーをした冬のイベントでポイント使ってない!もうあのイベントの期間終わっていたよな…。
「えっと…イベントロストポイントて何処で確認できるんだ…………あった!」
システム画面を操作していると自分の所持ポイントが確認できた、見た感じ眼の前の福引所で5回くらい回せるポイントがあった。
「フェル、フェアリーウィッシュを頼む」
「はい、フェアリーウィッシュ」
福引が出来るならしたくなるのは人間の性…いや言い過ぎか、ともかくフェルに運にプラス補正が入るらしい補助魔法を使って貰って、福引に参加する。
時間が経てば特賞が補充されるみたいだが、特賞は装備固定で、装備を自作する身としては今が引き時だ。
「先程見ていた看板にも書いてありますが、公平の為にデスペル使わせていただきます」
「……あ、はい」
開幕フェルのフェアリーウィッシュが解除された…。
説明を見落としていたことに恥ずかしさを感じつつ、福引のガラポンを回す、最初に出たのが銅色の玉以外は全部白色だった。
「3等のアルカナレベルアップチケット獲得です、おめでとう!」
カランカランとハンドベルがなる、なんか良さそうなの出てきた!
「やりましたね、レンナさん」
「そうだな…」
鐘の音で注目が集まっているのでフェルとのコソコソ会話を最低限にして福引の景品を受け取る、因みにアルカナレベルアップチケット以外にも参加賞としてよく飲むHP回復薬の1段階下の効力のHP回復薬を貰った…これはいらないな…後で売ろう。
ひとまず福引所から離れて手に入れたチケットを確認する。
『アルカナレベルアップチケット
アルカナカードをタダでレベルアップすることが出来るチケット、1枚で1回レベルアップ出来る』
これは使えそうだ、恋人のアルカナカードを強くする事ができるみたいだ、フェルには少し悪いけどもう少し寄り道させてもらおう。
「フェル、杖を強化する前にこのチケット使う為にタロットの館へ行っていいか?」
「はい、いいですよ!」
フェルに確認を取ると快諾してくれたので、自分達はタロットの館へ向かうのだった。