お金の使い道
「お、おはよう…レンナさん、来てたなら起こしてくれても良かったのに…」
フェルが起きる、その顔は少し赤い。
もし寝顔が見られるのが恥ずかしかったとするなら、寝顔を写真として記録した事に対してちょっと罪悪感が湧き上がる。
「いやー寝ている所を起こすのは忍びなくてね…あと2日前に一緒に作った刀と杖が売れて、大金が入ったからね、もしもフェルにとって欲しいものがあるなら、先に買っておきたいなと」
このお金はフェルと一緒に作った物だ、ならフェルにも使う権利があるし、先にフェルの為に使っておきたい。
「…それなら、ベッドと服が欲しいです」
ベッドと服か…売ってるのか?手のひらに乗る妖精サイズで…?
まあ、無いなら作ればいいか、服なら作れたしベッド位ならゲームのシステム補助がなくても多少の木材と布があれば作れる。
システム画面を見たら既にユリから送られた386万のお金が入っていた。
「わかった、それじゃあ買いにいこうか」
「はい、行きましょう」
フェルが体操服の胸ポケットに入ったのを確認してツー街に行く、向かう所はショップエリア、取り敢えず妖精サイズのベットと服を探し回る…がなかった。
「やはり作るしかないな…ベッドを」
「作れるんですか…?」
「多少の日曜大工なら、なんとかな」
NPCのショップでベット用の布と糸、綿に木材、更に釘とハンマー、木材を削るナイフと紙ヤスリを買う…なんか割高に感じるが、気にせずに買う。
「服は…いい布を仕入れたいな」
「そ、そこまでしなくても…」
「そこまでするさ、服は防御力に直結するからな、良い物にした方が万が一の際に運命を味方に出来るはずさ」
こっちも防御力の為にわざわざ体操服来てるからないい装備が…………………あれ?これだけ資金があるならいい素材を手に入れて、防具新調出来るじゃん…。
やばい、たった数日しか経ってないけど、体操服が馴染みすぎて、体操服から別の防具にする考えが浮かんで来なかった…。
「フェルの分だけじゃなくて自分の分の服作らないとな」
「レンナさんの服も作るんですか?」
「ああ、可能なら体操服から卒業したい…」
そんな切実な気持ちを抱きながら、上質の布を探し始める、鑑定眼を使えば良い物がきっと見つかるだろう。
1時間後………………
「布が高い…服のレシピも買わねば………」
いや、舐めてた、380万もあれば何でも買えると思っていた。
だがNPCの店では質が悪く、PLの店では高い…いや、性能が良い物程高いのは当たり前だが、ある程度性能が高い物となると、鑑定眼使っても凄い布としか情報が出てこなくて、物の良さの判断が出来なくなる…。
じゃあ高い物を買えばいいかといえばそんなわけ無い、PLのお店はPLが好きに商品の値段を決められる…低品質の布をギャグだろと言いたくなるレベルで、ボッタクリの値段がついていた店もあった。
しっかりと目利きしないと、大損するのは目に見えているのだ…。
そしてレシピに関しては値段のお店毎に値段振れ幅が凄くて、どれを買えばいいのかわからなくなっている…もしかして性能差とかあるのか?そう考えると手が止まる。
完全に情報収集を怠った…。
フレンドリストをみたらユリやリーダーさんはログアウトしてるから、メールで助けも求められない。
「………すまん、フェル、服は後日でいいか?」
「はい、大丈夫ですよ」
うん、今は服を作るのは断念して、今日はベッドだけでも作ろう…時間があればレベルとか上げに行こう…。