妖精対天使長
火光と神刀がぶつかり合う、ギイン!と鍔迫り合いみたいな状態になる。
「ほう、よくよく見たら小さな羽虫が居るじゃないですか、小さすぎて気づきませんでしたよ」
「アイスメテオ!」
フェルの少し怒りのこもった声で魔法を発動させる。
こいつフェルのこと虫扱いしやがったな!
「おっと、こんな所で隕石を落としていいのですか?下にいる人間が下敷きになりますよ?」
「あ!?」
ワンストの声に反応してフェルは急いでアイスメテオを消す、すると天使長ワンストは隙ありと言わんばかりに神刀でフェルを貫かんと突き刺し攻撃をするがそれは通さない!アースキーで神刀を弾く!
「やらせない!」
「貴方は妖精?いや、妖精はそんな大きくはなれない…?」
「そこだぁ!エンチャントブースト!火の刃!」
こちらに疑問を抱くのは勝手だが、それで生じた隙は突かせて貰う、火光の全力の一撃を叩き込もうとするが…。
「明鏡止水、火返し!」
カウンターと思われる技を叩き込まれた…体に激痛が走り、視界が点滅して、視界端のHPバーがゼロになったと思ったら、1で止まった…守護の不屈の食いしばりかと思ったら声が聞こえる。
「ち、ファイナルターミナルか!」
「リーダーさんの魔法!?今の内にリジェネレート!」
追撃の一撃を入れようとしていたのか天使長ワンストの舌打ちが聞こえる、リーダーさんいつの間に自分達にファイナルターミナルを…?フェルの持続回復でじわじわと回復していくが、体が痛すぎて周囲がわからない、吹き飛ばされて壁に埋まっているのか…?床は天使長ワンストの攻撃で崩壊したし…。
「アイスランス!アイスランス!」
「おっとバリアが消えたか、アイスランスで時間稼ぎとは涙ぐましいね」
フェルの慌てた声が聞こえるし、完全に勝ちをを確信した天使長の声も聞こえる。
リジェネレートの影響か、だんだん視界が正常になってくる、そこにはニタニタと悪い笑みを浮かべた天使長ワンストが神刀片手に近づいてきていた。
「…妖精氷門!」
アイスランスで回復時間は稼げないと悟ったのか、フェルは切り札を使う。
「ほお、妖精の秘術かな?だが無意味だ!絶刀炎神!」
妖精氷門で作られた氷の塊と火を纏った神刀がぶつかり合い、勝ったのは神刀の方だった。
「たかが妖精の術で神器を超えることは不可能だ!あはははは!」
「なに神の力を過信しているんだよ…」
「レンナさん!大丈夫ですか!?」
「なんとかな…」
高笑いしている間に、こっちのHPはリジェネレートの持続回復で全快した、その影響か体の痛みがなくなった…。
「ほう、もう立ち上がれるのですか、普通は高位の回復術じゃないと立ち上がるのも一苦労なはずだが、下級回復魔法リジェネレートだけで立ち直れるとは…生命力が台所の黒い虫並だな」
驚きの声を上げる天使長ワンスト…ただ最大HPが低いだけでリジェネレートで事足りるだけなのに、そんな事言われてカチンと来る、妖精の事も貶して見ているし、殺意がドンドン出てくる。
「黒いのはお前の羽だろうが!何時まで天使偽装してんだ?」
「まだ余裕を言えるのですか……その胸の妖精を殺せば黙るかな!」
天使長ワンストが神刀を振り上げて、振り下ろす、その一撃はめり込んでた壁を蹴って脱出すると同時に避けてなんとか距離を取る。
「回復してもそんなフラフラな飛び方で勝てると思っているのか!」
「フェル…回復に専念してくれ!隔離結界の杖!」
「え?レンナさん!?」
こちらをなめるようにゆっくりとじわじわと天使長ワンストが近付く中、アースキーをしまい、フェルを胸ポケットから出す、更にアースキーをしまった事で空いた手に隔離結界の杖を取り出して握り使用する、結界を展開した場所は…足下と頭上!そしてフェルを守る為に結界を展開する!
「レンナさん!?…わかりました!回復します!」
フェルはMP回復薬を取り出して飲み始める。
「この足場ならナナサカさんの刀でも壊せないぞ!多分!」
「飛行を封じれば勝てると思ったなら愚かな!それにこの刀は私の物だ!」
頭上と足下に結界を貼った結果、武器を振るうには問題ないが、飛行するには天井が低すぎる戦場が出来上がる。
しかし杖を見たら使いすぎか、使用回数の制限か、杖に亀裂が入っている、これ以上は使えそうにない、杖をしまうと結界が消えかねないので杖を背負い、アースキーを取り出す…。
「…………いや、その刀はナナサカさんのだ」
鑑定眼で神刀をみた感想を口にする。
『神刀
鑑定不能
使われたくない使われたくない!使われたくない!!使われたくない!!!』
鑑定不能と出たが、多分この使われたくないは神刀の心の声だよな?ここまで拒絶している以上絶対に無理やり使っている感じだ…。
そんな奴に負けたくないし、こいつは妖精を侮辱したし、このままやられっぱなしでいられない!痛みを食らった分の攻撃を叩き込んでやる!
気合を入れて再び斬りかかる!