ほぼ地なき世界
空に浮かぶ石の上に座った自分は辺りを見渡す、空と雲と石ばかりが視界にはいる。
「なあ、ヴォルゲ…このまま下に落ちた場合どうなるんだ?」
「わからない…ある程度降下したら強制的に上にワープするんだ…でも物を落としたら上にワープせずに落ちて消えていったし…天界の底を知るものはいないよ」
リーダーさんの質問に答えるヴォルゲ、成る程落下死はないのか…でも天使だけ上に戻れるかもしれないからあんまり試したいとは思えない。
「なら試してみるか、変わり身人形置いて…とお!」
リーダーさんは丸っこい人形を置いてから、石から飛び降りた!
「……躊躇いなさすぎないか?」
リーダーさんの行動に引くヴォルゲ…まあ、死んだ所でリスタートするだけだからな、俺達プレイヤーは…。
「むーあの魔法ですか…」
「知ってるのかフェル?」
「知っているけど理屈がわからなくて習得できない魔法です」
フェルと話していると、リーダーさんが置いた丸っこい人形から魔法陣が現れて煌めき、人形が消失して、リーダーさんが現れた!
「成る程、つまり天使以外即死判定あり…」
「なにその魔法、忍者?」
「忍法じゃないよ、立派な身代わり魔法だよ、ともかくレンナさん、視界が黄色くなったらすぐに来た道を戻るんだ、赤くなったらダメージを高速でくらい始める、多分上に飛びすぎた場合もね」
「わ、わかった…」
どういう原理かはわからないが行っては行けない所に行くとダメージを位みたいだ。
「というかこの世界の飛行スキルないとまともに移動できそうにないんだな…というかどうやって住んでいるんだ?」
「えーと、雲の上に家を立てて住んでいるよ…」
「じゃあ食糧問題は?」
「え、えーと…石の上に生えてる樹にフルーツが実るからそれを食べたり…農業したりするけど…」
ヴォルゲが質問攻めにあっている中更に辺りを見渡す、すると神殿のような物を確認することが出来た。
「リーダーさん、食糧問題とか住処のあれこれが気になるのはいいけど、まずはナナサカさん救助優先では?というか天使長ワンストてどこにいるんだ?あそこの神殿?」
「あそこは水の神様を祀る神殿です、ワンストは天界の中心にある天界の中央神殿にいると思う」
「それじゃあ早速飛んでいくか、一応長時間飛べるように魔法賭け直すか、ロングタイムコントロール、フライ!」
「待って欲しい!ここで羽もないのにフラフラ飛んでいったら確実に不審者として通報されてしまう!」
魔法を賭け直すリーダーさんを止めるヴォルゲ…確かに天使しかいなさそうな所で魔法で飛んでたら怪しまれるな…。
「え、なら幻術で羽があるように見せかけるか、ディスガイズ!」
リーダーさんの言葉でリーダーさんの背中に天使の羽が生える、もしやと思い自分の背中を見ようとすると、そこには天使の羽が生えていた。
「これで問題ないな」
「……解釈違いだな」
「解釈違いて、なんだ?フェルと同じ羽が良かったか?でも天界で妖精の羽はやしても不自然にしかならないぞ」
「そ、それはそうなんだが…」
心の中の考えを読まれてドキッとする…。
確かに人化解除した時に自分の背中に現れる妖精の羽のほうが良いなーと思ったけど、そこまで顔に出ていたのか…。
「あ、あの皆さんこれを食べてください!」
図星で狼狽している中、エアデがキャンディみたいな物を渡してくれる。
「これを食べれば暫くは素早く動けるようになるアメです!昨日用意したので使ってください!」
「ありがとう」
キャンディを口の中に含むとミントの味がした。
「あ、そう言えばエアデはどうするの?エアデはフライで飛べないよね?」
「エアデは僕が運ぶよ、賢者ほどじゃないけど、隠蔽魔法の心得があるから直ぐ側のエアデなら隠蔽しながら移動できると思う」
成る程隠蔽魔法とか持っているのか。
「わかった最悪なんかあったら臨機応変に対応する感じで俺の魔法で強行突破は最終手段にしたいな」
「一応聞くけどリーダーさんは魔法でナナサカさんの居場所わかったりしないのか?」
「わかんない、流石の魔法も万能ではないからな…そうだ、ひとまずヴォルゲの家があるならそこに移動しないか?もしもバラバラになった場合の合流地点にしたいんだが…」
リーダーさんの提案にえ!?と狼狽するヴォルゲ。
「えーと、ここを集合地点にするんじゃ駄目なのか?」
「ここだと隠れる所ないだろ?出来れば建物内のほうが好ましい」
「あの、アタシちょっとヴォルゲの家に行ってみたい」
エアデも興味ありそうに言う。
「……わかった…ひとまず僕の家に行こう、ちょっと他の人の反応もみたいし…こっちだよ」
そう言ってエアデをお姫様抱っこしたまま飛び始めるヴォルゲについていくように自分達も飛んで行った。