盗賊討伐の帰り道、転移魔法陣の調査
「ふう、これで盗賊は掃討できたかな?」
何度か戦闘をこなしたらヴォルゲがそんな声をだす。
「確かに結構歩き回って戦ったが…掃討できたのかな?」
正確な数がわからない以上、なんともいえない…というか途中でリザードマンの以外にもカタツムリのような見た目で甲羅にトゲトゲした金属をつけて、高速回転して突撃攻撃してくる敵がいてビックリした。
初回に激突食らって死にかけてしまった…フェルが咄嗟に回復してくれたから助かったが。
カタツムリはその後少数ながらも出てきてはこちらに攻撃を加えてきた…硬いから中々の強敵だった。
「照らしてみた感じ、敵は見当たりませんね」
ほぼ全てのリザードマンが見つかってからすぐに攻撃してきたし、フェルのライトで索敵して攻撃が飛んでこないなら討伐しきったと思って良いだろう。
というか結構ヴォルゲが強いおかげでかなり楽に戦えた。
というか一撃貰っても自力で回復魔法使っていたし、かなりオールラウンダーみたいだ。
「ヴォルゲて強いんだな」
「これでもエリートとして育ってきたからな、文武両道を親から叩き込まれたさ、レンナ達も中々やるね、妖精は戦いが苦手と歴史書で見たけど偽りだったな」
「いや、自分達が特別なだけだからね?他の妖精はそんなに戦えないからね?」
フェルも攻撃魔法は杖の効果だよりだしな。
「む、そうか…考えたら人の姿になれるのはレンナだけの特殊効果なのか?他の妖精は皆小さかったし」
「ああ、だから強い妖精は人化が出来るて思わないでね?」
そういうとふと胸ポケットにいるフェルと目が合う、フェルの目は「どうするんですか?完全にレンナさんが妖精だと誤認してますよ?」という目をしていた。
言葉にしなくてもわかってしまう、シンクロの効果を実感しつつもドワーフの街に戻り始める。
「なあ、そう言えばヴォルゲはなんで人間の世界に居たんだ?」
「うん?仕事だ、言ってなったか?天界の仕事で転送魔法陣の調査をしていたんだ…その仕事中に人間の料理に興味を持って人間界にきたエアデと会ったんだ…」
「へー良く仲良く慣れたな…」
なんか天使とドワーフて仲良くなるイメージがあんまりわかない、ドワーフとエルフの仲が悪いのは本とかで見たことあるんだが。
「ああ、お腹空いてる時に会ってね…それでご飯を奢ってもらってね、その後何度か会って、時にはご飯のお礼として護衛してたりして仲良くなったんだ」
ヴォルゲの声がご機嫌になる。
「好きなんですね、エアデさんのこと」
「す、好きとかそういうものじゃないから!?」
慌てるヴォルゲに微笑ましくなってくる。
「じゃあ鍵治ったらまた仕事に戻るのか?」
「そうなるかな?まあ、1日ほったらかしにした結果、書類仕事溜まっていそうだから数日は天界に缶詰状態になるかもな…面倒くさいけどやらないとな…」
書類仕事を思い出して憂鬱になるヴォルゲ。
「まあ、今は考えないようにしたら?せっかく地底に来たんだし、地底を楽しんだら?」
「楽しんだらと言われても何を楽しんだらいいのやら、天井あるから飛ぶに飛べないし…」
「うーん、ドワーフの郷土料理とかエアデに作ってもらったら?」
「それはぜひ食べてみたいな…」
そんな会話をしながら、ドワーフの街に辿り着く前に転移魔法陣がある所に辿り着く、自分達が地底に踏み入れた時に立ってた所だ。
ヴォルゲに一度待ってほしいと言ってから、転移魔法陣を調べてみると、眼の前にシステム画面が現れて火光を転移魔法陣と接触させてください…と出てきた、言われる通りに火光を転移魔法陣の真ん中に突き刺すと、火光がアップデートされて、地底が登録されましたとシステムメッセージが出てきた。
「……え?」
どうやら火光でも地底に行けるようになったみたいだ、え?ドワーフが居なくてもオッケーなのか??どういうセキュリティなの???
ひとまず他の事も調べてみたが、火光を使えば人間界に行く事が出来るみたいだ、この調子なら人間界に戻ればフェアリーガーデンに行くことも可能みたいだ。
「レンナさん、何かわかりました?」
「火光がなんかアップデートされたのは分かった…」
「そんな事あるんですか?」
「実際に起きたからあり得るんだな…」
ひとまず何時でも帰れるのはわかったので調べるのは切り上げて、ヴォルゲと合流してドワーフの街へ戻るのだった。