暗闇の中を掃討
「ヴォルゲ、羽は大丈夫か?」
「ああ、フェルの回復のおかげで羽は治ったよありがとう」
お互いに周囲を警戒しながらも状態を確認する、自分とフェルは損傷無しでMP消耗もごくわずか、まだまだ戦闘可能だ。
ヴォルゲも羽にダメージを負ったが、フェルのリジェネレートで完治済み、MPはわからないが戦闘時間が短かった故にまだ戦闘可能だろう…いや、念の為に確認しておこう。
そう思い、ヴォルゲに声を掛ける…さっきまでヴォルゲの防具についていた水晶みたいなものがきれいに無くなっている。
「魔力は大丈夫か?こっちはまだまだ問題ないが」
「魔力もこちらも問題ない、まだまだ戦える…盗賊が2体だけとは思えない、もう少し探索をしよう」
そう言って再び歩き出すヴォルゲ、確かにリザードマン2体だけでドワーフ達がピリピリするほどの悪事が起こせるとは思わない…実際弱かったし…ドワーフの武器屋の近くで売っていた防具なら矢を防ぐことも出来ただろうし…ドワーフ達が暗くても普通に生活している所からして、暗視能力があってもおかしくない。
考えれば考えるほど2体のリザードマンに遅れを取るとは思えない…ならば数で押してくるはずだ。
そう思い地図を片手に再び盗賊出現エリアを歩く。
「うーん、もっと明かりが欲しくなるな…松明とか欲しくなるな」
どうしても暗さで索敵が難しい…。
リザードマンは明かりとか持ってなさそうだったし、暗視とか持っていそうだ。
「すまん、ちょっと試したいことがあるけど良いか?」
「うん?おびき寄せとかするのか?」
「ああ、宝石でおびき寄せられないか試みる…勿体無いけど」
エアデのお父さんから貰った宝石袋からルビーを取り出して投げようとするが勿体無さを感じて地面に置く。
「うん?投げないのか?」
「いや、綺麗に加工されているから投げるのは勿体無いなと…欠けて質が落ちたら撒き餌としての価値も下がるし…」
ヴォルゲの疑問に答えるとフェルが口を開く。
「あの、こんなに光を発している状態で囮の宝石おいても敵は引っかからないんじゃ…?」
「………そうだな、でもライト消すと自分達の視界が役立たずになる…」
暗視ゴーグルとか欲しくなるな…現代兵器すぎるからファンタジー世界に出てくるわけ無いか。
「うーん…フェル、ライトてもう一度唱えて光の玉は増やせないのか?」
「うーん、試したことないけど、やってみますね、ライト!」
自分の疑問に答えるように再びライトを唱えるフェル、だが光の玉が増えたと思ったら古い方の光の玉が消えてしまった。
「駄目です、古い方は消えてしまうみたいです」
「うーん、ならテレキネシスで光の玉を動かせないか?そうすればヴォルゲのライトで自分達の周辺を照らし、フェルのライトで索敵できるんだが」
「やってみます!テレキネシス!」
するとフェルの出した光の玉は移動を初めてより遠くの位置を照らす、するとそこに緑の鱗を纏ったリザードマンを見つけた!しかも3体が固まっている!
「ナイスだ!フェル!双地門!」
「いくぞ、レンナ!エンチャントフレイム!エンチャントクリスタルメイル!」
すぐに地面にアースキーを突き刺し、大地の杭で照らされたことで武器を構えていたリザードマンを貫く、視界に捉えれば地門の射程圏内だ!
ヴォルゲも防具に水晶みたいな宝石が纏わり付き、剣に火を纏わせて一気に接近してリザードマンに斬りかかる!
ヴォルゲの攻撃はリザードマンの鱗を切り裂き大ダメージを与える!
先行を取れた影響でほぼノーダメージでリザードマンを撃破する事が出来た。
「フェル、このまま索敵を頼む!見つけたら自分が地門で攻撃するからその取り漏らしをヴォルゲが斬ってくれ!」
「わかった、任せて!」
「わかりました!沢山照らします!」
こうして役割が決まり、リザードマンが2、3体と少人数で動いてることもあり、自分達は順調にリザードマンを倒していった。