ドワーフの街で情報収集
エアデの家から出てドワーフの街を歩き回る。
改めて見て回ると石造りの家が多くて、なんか煙たい感じがする。
あと全体薄暗く、要所要所に火で照らされているが、ヴォルゲが出したライトという魔法で出した光球がなければ視界がしっかり確保出来なかっただろう。
ドワーフ達に話を聞いてみると、6割のドワーフは話すことはないと言われ、残り4割は警戒しつつも話を聞いてくれた。
どうやら盗賊は人形で肌は緑色で鱗に覆われていて、トカゲを彷彿とさせる顔をしているらしい。
話は通じず、何を言っているかはわからないらしい。
「リザードマン?」
聞いてた話を纏めてみるとそんな感想になる。
「リザードマンてなんですか?」
「人の形をしたトカゲみたいな感じだ…言葉が通じないのは知性がないからか?それとも英語とか使っているのかな…?まあ、確証がない以上警戒していこう」
フェルの疑問に答える、どちらにせよ悪意ある存在ではあるみたいだ。
盗賊は採掘等のした帰りのみ襲われて、宝石を強盗されるみたいだ…激しく抵抗したら殺されるレベルで…。
「成る程、これが盗賊を引き寄せる鍵になるか」
取り出したのはエアデのお父さんから貰った宝石袋、鑑定眼を使わなくても売れば高く売れる上物なのはわかるレベルの物だ、それをぽんと渡してくる辺りエアデの説教は強めだが家族愛の裏返しなのは何となく分かる。
「盗賊の出現エリアも割り出せたな」
ヴォルゲの手にはドワーフから貰った地図が握られていて、そこには盗賊の出現エリアが書かれていた。
気前よく2枚貰えたのでヴォルゲと自分がそれぞれ持っている、そのおかげで道中迷うことはないだろう。
「なあ、ヴォルゲ武装とかは大丈夫なのか?」
「問題ない、人間に遅れを取ったが天界の武装は弱いわけではないからな…結構高かったからな…うん…」
ヴォルゲの声がだんだんと小さくなっている、今ヴォルゲは武器をアイテム一覧に収納しているのか、持ってないので武器の性能を見ることはできないが…なんか自信なさげだ。
「どうした?なんか気になる方があるのか?」
「いや、あそこに売っている武器と今持っている武器とどっちが強いのかな?と思ってね?」
そういうとヴォルゲは武器屋と思われる建物に飾られている剣を指さした。
その剣に鑑定眼を使ってみると、特殊効果はないが攻撃力+25、魔法力+25とバランスの良いそこそこな武器だと思えた。
というか武器屋の殆どは特殊効果がないけどそういうものなのだろうか?他者の作品と比較しすぎると精神的に良くないと思い、そういうのはしないようにしているけど…。
「うーん、その剣はしっかりと作られていると思うよ、欲しいのなら予備で買ったらどうだ?」
「レンナさんの方が強いです!」
「張り合うな張り合うな…」
ドヤ顔をするフェルの口を指で塞ぐ、職人のプライドを逆撫でしたらトラブルにしかならない…幸いフェルの声がドワーフに聞こえる方はなかった。
「まあ、お土産にちょうどいいかもしれないし、少し買ってくる!」
ヴォルゲはそういうと武器屋に入っていった。
「修学旅行みたいだな…」
ふと思った事を口にする、流石にリアルで真剣を買える訳ないが、謎の龍の剣のキーホルダーとかTT…高田が買ってたな…流石に木刀を買うのは予算的な問題で我慢してたが。
「すまない、待たせた…」
ヴォルゲが買い物を終えて戻って来る、手ぶらなのは自分達みたいにアイテム一覧とかにしまったからだろう。
「レンナは準備しなくていいのか?」
「こっちは準備完了済みだ、心配無用だ」
HP回復薬もMP回復薬も潤沢に持っている、フェルのHPMPも自分のHPMPも満タンだ、問題はない。
「それじゃあ盗賊退治に行くか!」
「はい!頑張りましょうレンナさん!」
「ああ、早速買った剣のサビにしてなる!」
こうして準備を整えた自分達は盗賊が現れる所まで移動しようとした時…。
「待ってください!」
エアデの声が聞こえる、後ろを振り向くとエアデがいた。
「エアデ!?どうした?家にいろと言われてたのでは?」
「うん、そうなんだけど…これ持っていって!」
エアデはヴォルゲに袋を渡し、更にこっちにも袋を渡してきた。
中身を確認してくるとわかめのおにぎりが入っていた。
「これは…?」
「携帯食料だよ!特別製だから食べればある程度力が湧き出るはずだよ!」
ヴォルゲの質問に答えるエアデ…料理人だから特殊効果のある料理とか作れるのかな。
「やった、エアデの料理だ!大事に食べるよ!」
「負けないでねヴォルゲ…」
「ありがとうエアデ道中で食べさせてもらうよ」
喜ぶヴォルゲ、こちらもお礼を言って、盗賊退治に行くのだった。