世界の歴史を知る者
新たなナンバークエストを受けた次の日、学校を終えた自分は駆け足で帰り、ご飯を済ましてファンタジーフリーダムの世界に入りこむ。
「おかえりなさいレンナさん!」
「ただいまーとリーダーさんから連絡きてるな…何時もの工房で待っている…か、フェル行こう」
「はい、ついていきます!」
いつもの胸ポケットにフェルが入ったのを確認して、魔法陣でチームゼロオーダーの工房に向かうとリーダーさんが笑顔で迎えてくれた。
「こんにちはリーダーさん!」
フェルが元気よく挨拶する。
「こんにちはフェル、レンナさん3つ目のナンバークエストを見つけたんだったな、中々のハイペースだな」
「ハイペースて言われても、ナンバークエストてそんな発生頻度低いのか?」
「うーん、人によるな…見つける人は1年に10個程見つけるし、見つからない人もいるとは聞く…個人的にアンケート取ったときには1年で1,2個の人が多かったな、中には10個とかいたが…自己申告だから真偽はわからないけどな、と立ち話はなんだし座ってくれ」
リーダーさんに言われてソファーに座るとオレンジジュースを出してくれた、ご丁寧にフェル用に妖精が使える大きさのコップも出してオレンジジュースを注いでくれる。
「まあ、1年間のナンバークエスト発生率よりもレンナさんのナンバークエストの相談を聞かせて欲しいな」
「わかった、長くなるからフェルはオレンジジュース飲んでゆっくりしてて」
「はい!」
こうして自分は昨日あった事を包み隠さずに伝えた。
「ドワーフに天使…両方拾ったかー……」
「なんか不味かったか?」
「まあ、色々と不味いな…この世界て他種族が絡むクエストはかなりレアだ、その理由は知っているか?」
リーダーさんに質問されて考える。
他種族が絡むクエストはレア…その理由は今ならなんとなく分かる。
「他種族は…転移魔法陣で移動した先にしか居ない?」
「その回答だと40点だな、それだとフェルとレンナさんは出会えてないだろう」
自分の返答に首をふるリーダーさん…確かにフェルと会った時は転移魔法陣なんて存在自体知らなかったからな…。
「正しい答えは…はるか昔、世界は広かった…その世界には色んな種類の種族が居たのだが…人種差別が発生して、それが雪だるま式、火の車といえばいいか…ともかく人種差別の争いは拡大して、戦争が起きてしまい血を血を洗う無駄な戦争が起きた。
その結果、世界は荒廃して滅びかけた…それを嘆いた神よりも上位存在、世界の創生者は時を巻き戻してから世界を切り分けた、人間は人間の住む世界、エルフはエルフの住む世界に、妖精は妖精の住む世界…フェアリーガーデンにと、各種族が二度と交わらずに争わないようにと…。
だけどそこで待ったをかけたのは1人の人間と光の神様だ、どうか種族の垣根を超えた絆までも切らないでと…それを聞き届けた世界の創生者は僅かな慈悲を与えた…それがレンナさんの武器だ」
「これか?」
火光を取り出すとリーダーさんは肯定するように頷いた。
「ごく一部の人のみに世界を飛び越える鍵を与えたんだ…というかその反応からして全く公式ホームページとか見てないのか?」
「ああ、妹に連れ込まれてすぐにフェルと会うというホットスタートでチュートリアルも妹が教えてくれたからスキップした感じだから世界観とかいまいちわかんない…知らなくてもなんとかなってたから調べなくていいかなと」
「…まあ、ともかく今話した通りに異種族とは会いにくいような世界観なんだ…そんな中、妖精以外にも天使やドワーフとの繋がりを得るナンバークエストを得たと知られたら嫉妬の嵐が吹き荒れるだろうな…」
嫉妬の嵐、なんか怖いな…羨ましい!ずるいで人間は何しでかすかわかったものじゃない。
人間全員が全員善人じゃないし、嫉妬で邪魔や危害を加えてくる可能性がある。
「リーダーさんも嫉妬してたりするのか?」
「いや、俺は別に…俺のほうが圧倒的に強いし、こうして俺を信頼して情報垂れ流してくれるから嫉妬なんかわかないよ」
「そうか、良かった…リーダーさんやナナサカさんが敵に回るとか想像したくない…」
「あはは、ナナサカとは1度敵対したじゃないか」
「あれはナナサカさん本人操作じゃなかったし、リーダーさんがスキル封じたのと防御を大幅に下げるデバフかけて、友奈が支援してくれたから辛うじて倒せたものだからな!?次も倒せるかと言われたら自信ないぞ!?」
「おーい、妹の本名出てるぞー俺知ってるから良いけど」
リーダーさんに指摘されてハッとなる…。
というかリーダーさんは友奈の本名知っているのか…ユリが言うにはゲームで本名は明かす事なかれ、明かす場合は裏切られても受け入れられる位の友好関係まで高めろと言ってたな…。
「リーダーさんユリの本名知ってるて、それだけ仲いいのか?」
「レンナさんレンナさん、話が脱線していませんか?リーダーさんに天界の行き方やエアデさんの故郷…地底に行く為の鍵を修理する為に力を借りる話じゃなかったんですか?」
「そ、そうだったな」
フェルに言われて、話は本来の要件に戻るのだった…。