フェアリーガーデンと恋バナ?
再び視界が正常になると、そこには平和なフェアリーガーデンがあった。
……天使にドワーフ、異種族の存在がレアなこのファンタジーフリーダムというゲーム、てっきりナンバークエストが起こるかなと思ったが、起こらないみたいだ…まあいいや、報酬目当てで人助けすることなんだか変だし…いやまあ、報酬も必要だが…今はこの2人を助ける事に集中しよう。
「ここがフェアリーガーデン…招いて頂いて感謝する」
「そこまでかしこまらなくていいんじゃないか?」
「ともかく城に行きましょう!あそこなら大きなベットもあるし、先に行ってメーチャに連絡してくる!」
フェルはそう言って先行して行く。
「ゆっくり行こう、寝ている人に負担かけるわけにも行かないからな」
「気遣い感謝する…」
天使ヴォルゲの感謝を受けつつ歩いて進む、ヴォルゲは興味深そうに辺りを見渡しながら歩いている。
「平和なのか…ここは…」
「まあ、夏頃に悪い虫が大量発生して色々とやばかったけどな…協力して撃破したし、今は平和なものだ、ヴォルゲが住む所はどんな所だ?」
「……まず地面がない、空に浮いている雲を魔法で固めて地面にしている」
凄くメルヘンだ、めっちゃ行ってみたい。
「カラフルなここと違って、天界は建物の白色と空の青ばかりで目に疲れる、それにお偉いさんは飛べない種族を下に見ていてそれに嘘ついて同意するのが疲れる、人間に関しては否定しないが、エアデみたいにいい人もいるのに飛べるかどうかで全てを判断してやがる」
まさかの愚痴が出てきた…偉い天使は傲慢な感じなのかな?
「エアデとはどういう関係なんだ?友達?片思い?」
「かかか、片思いて何言っているんだレンナ!?こんな所で!?」
酷く狼狽するヴォルゲ、すぐに口を閉じて、エアデが起きてしまったかどうか確認して…寝ている事を確認して安堵する。
素人の目でもわかる、完全に惚れている反応だ。
「そ、そういうレンナはどうなんだ!?フェルとは相棒と言っていたが恋愛感情はあるのか!?」
「……まあ、いちゃつく仲ではある…」
「くそ!両思いかよ!羨ましい!」
あ、片思いなのか。
そんな男同士の恋バナをしているフェルがメーチャを連れて戻ってきた。
「急患が居ると聞いてやってきたじゃん!」
「メーチャ、診察頼めるか?」
「親友と救世主に頼まれたら断れないじゃん!まあ、断る必要もないけどね、早速見てみるね!」
メーチャはそう言うと魔法を唱え始める。
するとエアデの周辺に魔法陣が現れて、光を発してエアデを照らす。
「むむ、応急処置されているけど昏睡状態呪い状態過労状態等など…見た感じは誰かにやられた感じじゃん…メディカルライト!アンチカース」
テキパキと処置をするメーチャ、数分もしないうちに処置は完了した、魔法て便利だ。
というか呪いの状態異常にもなっていたのか?どんな効果はわからないが…複数の状態異常にしてくるなんて自分と同じプレイヤーか…?
「治療完了!後はある程度寝たら起きるよ…所でこの2人て天使とドワーフじゃん…レンナ何処で拾ってきたの?」
「洞窟」
「天使は洞窟で拾うものじゃないじゃん…ともかく一旦城に行ってドワーフの子を寝かせないと」
メーチャに先導されて進んで行くと城にたどり着く。
そのままメーチャに案内されるまま、人間用のベットがある個室に案内されて、エアデを寝かせるヴォルゲ、一安心と言わんばかりに大きく息をはいた。
「これからどうするんだ、ヴォルゲ?」
「どうしよう、このペンが修復出来ないと家にも帰れないし…エアデも家に帰れるかわからないし…正直君達の助力を得ないと野宿する事になるな…すまないが助けて欲しい…」
どうするか聞いてみたら元気なさげに答えるヴォルゲ…更にヴォルゲからグーとお腹の音がなった。
「どうしましょう、寝る所はともかく天使のご飯て…何でしょうか?」
「なんでも食べるが、基本的に果物を食べている…果物はないか?」
フェルが可愛らしく首を傾げるとヴォルゲが答えてくれた…果物が主食なのか…。
「それなら花の蜜で作ったフラワーアップルがあるじゃん!気にいると良いけど…」
メーチャはそう言うとリンゴぽいフラワーアップルを取り出してヴォルゲに差し出す。
「いただきます………うま!?妖精はこんな甘くて美味いもの食っているのか!?」
驚愕の表情をしてガツガツ食べるヴォルゲ。
「良い食いっぷりじゃん!まだまだフラワーアップルはあるから腹いっぱい食べるといいじゃん!」
ドンドンフラワーアップルを出していくメーチャ、それを受け取りガツガツ食べるヴォルゲを暫く見守るのだった。
……わんこそばみたいにリンゴを食べるな。