それぞれの嫌いなものは?
「お前まだ神話系のホラーだめなのか…くく」
「仕方ないだろ!テレビゲームならともかくフルダイブでリアルな神話生物と武力無しで対峙は怖いんだよ!」
ワーギャー言い合う2人。
「えっと…レンナさん、ユリ止めなくて良いんですか?」
「あれは3回は死んでもとまないよ、チームゼロオーダーの割とある日常風景だから慣れて」
「まあ、親友としてのじゃれ合いみたいだから止めるのは無粋かなと」
不安そうなフォルだが、心配した所で時間の無駄だと思う。
「それに報酬がショボいということは殆ど情報を調べなかったみたいだな、多分話からして探索度で報酬変わるタイプの隠しクエストだろ」
「無茶言うな、刀持ち込めず、レンナ殿お手製刀もどきなければ逃げるしか出来なかった状況で悠長に隅々まで調べ物出来るか!」
「まあ、ホラー苦手なお前には無理な相談だったな」
「ぐう…」
完全にリーダーさん優位な状況だ。
そんな中フェルが質問してきた。
「あのーレンナさんと私は虫、ナナサカさんはホラーが嫌いですが…リーダーさんやユリに嫌いなものはあるんですか?」
「俺は…手足縛られて口を塞がれるのが嫌いだ」
「それは殆どの人が嫌いだと思うんですが…?」
リーダーさんの回答に不服そうなフェル。
「私は饅頭が嫌いで怖い」
「それは本で見た返答じゃないですか、それにさっきチェスの片手間で饅頭食べてたじゃないですか!真面目に答えてください!」
ユリの回答は落語で有名な返答だ、フェルも知っているのか不満げだ。
「あ!それならナナサカさんならリーダーさんの嫌いなものは、レンナさんならユリの嫌いな物知っていますよね?なんですか!?気になります」
聞く矛先をこちらに向けてくる、確かに妹の好みは把握はしているが…言って良いのかな…まあ、食の好みならいっていいかな?
「ユリはワサビと唐辛子が苦手だ、昔ワサビを抹茶クリームと勘違い、唐辛子はししとうという緑色の唐辛子を枝豆と勘違いして激辛のやつを…」
「バカバカ!お兄ちゃんの馬鹿!私の黒歴史掘り出さないでよ!?」
「す、すまん…このくらいならいいかなと思って」
ゲジゲジとかなり強めに胸を叩かれる。
な、なんか申し訳なくなってくる。
「なんで枝豆とししとう間違えたの?」
「父親が結構な辛党で枝豆とししとうを一緒に混ぜた物と一緒にお酒飲んでるときにね、枝豆と思って手を伸ばしたのが運悪く激辛のししとうだったという感じだな、父親が止める前に食べちゃってね…まあ、あれはややこしいから仕方ないよね」
「小学1年生の話だからね!今は見分けつくよ!」
ユリの声に答えると赤面するユリ、フォローしたつもりが上手くいかなかったみたいだ。
「えーとリダの嫌いな物は…骨だ、骨付き肉や小骨入りの焼き魚が大嫌いだ」
「え?これ嫌いな食べ物暴露される流れなのか?」
ナナサカさんに嫌いな食べ物を言われて困惑するリーダーさん。
「昔小魚の骨が喉に突き刺さってめっちゃ苦しんでたからな…まあ、あんな目に会えば小骨とかイヤになるのはわかる、俺もあれ以降小魚を取り除くのは妥協しなくなったし」
「オッケー今日はここまでにしよう!」
そう言って立ち上がるリーダーさん、強引に話をおわらせにきたな。
まあ、確かにレースしたり、ミゴというよくわからない生物に追いかけ回されて結構良い時間だ。
「むー楽しい時間はすぐに過ぎてしまいますね…」
「また今度遊べば良いだろう?」
「それもそうですね!」
最初は少し不満げだったが、また遊べばよいと言えばすぐに笑顔になった。
そんな感じで解散してユリのマイホームに戻りログアウトしようとしたらユリに止められる。
「お兄ちゃん、今度フォンダンショコラ奢ってもらって良い?友達に私の恥ずかしい過去バラしたんだからそのくらいいよね?」
「いいよ、我が妹よ…」
割と怒りを含んだ口調で言われたのでちょっと返答が変になったが、受け入れる、別に奢ることに関しては問題ない…ちょっと言い過ぎたなと思う面もあったからな。
「け、喧嘩はだめですよ?」
「あー喧嘩じゃないから安心してくれ」
「兄妹としてのよくある取引だね、基本WIN WINだからあんしんしてフェル、それじゃあお先に失礼!」
ユリはそう言うと先にログアウトしていった。
自分もフェルにまたなと、別れ告げてログアウトするのだった。