再合流、ナナサカの奥義
「はあはあナナサカさんー!!」
逃走を初めて1分、いくらゲームの体でもずっと走り続けてたら体が走りたくない限界と悲鳴をあげる。
「疲れた…」
このゲームはスタミナゲージはないけどずっと動き続けると体力がなくなったかのように体が動かしにくくなる。
それに声を出しながら走っていたからよりスタミナが消費されたようだ。
なんとか廊下を走りきり知らない部屋に入るとそこは会議室か?と思えるくらいに沢山椅子とテーブルがあり、壁に黒板みたいな物が設置してある部屋だった。
「レンナ殿!助けて!」
そこにナナサカさんがいた!
だがナナサカさんだけじゃなくてミゴもいた!?
「うそ、2体居るのか!?」
自分の背後を見るとゆっくりと近づいてくるもう1体のミゴがいた。
「いや、それよりもナナサカさん!これを受け取って!刀!」
ビュン!と刀を投げる!刀はナナサカさんの直ぐ側に突き刺さると思ったら、ナナサカさんが右手で刀を空中でキャッチした!
「ナイス!鞘が欲しかったがこれで勝てる!武力で抵抗できるならホラーは怖くねぇ!」
一気に強気になるナナサカさん、更に会議室に自分を追いかけたミゴが入ってくる。
「レンナ殿はテーブルとか使って防御に専念してくれ!」
「わかった!」
包丁を1本持っているがここはナナサカさんに任せた方が良いだろう、部屋の端っこに移動する。
2体のミゴは刀を手にしたナナサカさんを警戒している。
「短い直刀だが…巨大な化け物じゃないから問題ない!」
スパ!とミゴに斬りかかるナナサカさん、ミゴは腕のハサミで迎撃しようとしたが、ナナサカさんはヒラリと避けてミゴの頭?脳?を断ち切る。
すると斬られてないミゴはモザイクのかかった何かを取り出す。
「ナナサカさん!あのモザイクからは雷撃ってくるよ!」
「知ってる、電気銃なら回避できる!」
電気銃!?あのモザイク銃なの!?
そんな自分の驚きを余所に椅子を蹴り上げてモザイク電気銃から放たれた電気を防ぐナナサカさん!
「剣坂流奥義…」
居合の構えを取るナナサカさん、だが鞘が無いので左手で刀との刃を掴んでいる…。
「七凪!」
居合モドキから放たれた神速の刀はミゴの腕を断ち、羽を断ち、電気銃を断ち、最後には一刀両断してミゴをバラバラに赤いエフェクトに変えていった、もしかして7回斬った?6回斬ったのは見えたんだが…早すぎて見えなかった、というか…。
「………攻撃系の技や魔法て封印されてたよね?」
「今のはパッシブスキルと体のスペックを生かした自前の技だよ、言い方変えれば奥義とか言わなくても別に無言で放てる」
「えーとつまり自力で訓練して覚えた通常攻撃てこと………?習得出来るか!」
報酬でもらえる奥義というから、凄いかっこいい技かと思ってたけどまさかのゲームの体を生かした神速の7回攻撃だった。
弱くはない、ほんの短い時間で7回は強いけど、自前となると自分で使えるとは思えない、てっきりスキル書みたいに読んで覚えるタイプだと思ってたよ!
「あはは…一応スキル書読んで覚える他の奥義もあるよ?」
「ああ、良かった…所でこれで隠しクエストはクリアか?」
2体のミゴは撃破されて洋館の敵対存在は0になったはずだ。
「いや、情報収集してわかったここから脱出する方法何だが…この洋館の何処かにある魔法陣を破壊しなきゃいけないんだ…魔法陣が2つあって逃げながら1つは破壊したんだが…もう1つが見つからなくてな」
「あ、それならもう1つは破壊済みだ!」
「ナイスだ!後は入口から出れば帰れるはずだ!」
2人で入口に向かい、ドアを開けようとしたらガチャりとあっさりと開いた。
「脱出だ!」
ハイテンションで外に踏み出すナナサカさんに続くように外に出たら、視界は真っ白になり、気がつけば自分とナナサカさんはスタート地点に戻ってきていた。
『隠しクエスト:謎の洋館をクリアしました
クリア報酬としてイベントポイントと邪神像を入手しました。』
眼の前に隠しクエスト終了のシステム画面が現れる。
イベントポイントは何時もの交換に使えるポイントだな、そして邪神像て何だ?と思い確認する。
『邪神像
人とは相容れない神を象った像、邪神を信仰している敵の気を引いたり出来る、また鍛冶や彫金等のクラフト時に使えば闇属性やBSの効果を高める』
……うーん、いらないな。
「イベントポイントとレンナ殿が作ったカタ…刀じゃないのかこれ?なんか?のマークついているんだが?」
「ショートソードを無理やり変形させて作った刀モドキです」
ナナサカさんはまさかの自分の作った刀モドキがクエスト報酬になったようだ…報酬というにはしょぼすぎないか!?運営さん!?
「……七凪!」
ナナサカさんがまだ持っていた刀モドキを手になにもない所へ7回攻撃を放ったかと思えば、ミゴの切り倒した時とは違い攻撃がかなり遅い、自分でも簡単に凌げそうだ。
「パッシブスキル切れた…」
「………まじでプラシーボ効果あったのか…というかなんかすまない…報酬がショボい刀モドキで…」
「いや、謝る必要はない、別に欲しい装備はないからな、最上位の刀と防具とアクセサリーあるし、イベントポイントも何時も消耗品に変える程度だし…あ、1回収納したらもう取り出せなくなった…」
ポチポチとシステム画面を操作しながら刀もどきをしまうナナサカさん。
「ひとまずリーダーさん達と合流しませんか?心配してるかもしれない」
「心配してないと思うぞ、俺ら2人だけなら死んでもなんもデメリットないし」
有り得そうだ、そう思いつつ、ひとまずユリやフェルのいる休憩所に向かうのだった。