洋館の秘密?
ダッシュでミゴから逃げたのだが、ミゴは追ってこなかった…1度足を止めて呼吸を整えたらナナサカさんの悲鳴が聞こえた…あっち行ったか…。
ナナサカさんは自分より圧倒的にステータスが高いし戦闘経験は豊富だ…いくらホラーが苦手だとしても早々死にはしない、むしろ戦闘力が全部生存力に変換して自分より先には死なないだろうと結論付けて探索を開始する…。
というかさっき合流時に生存確認できる様にパーティ組んどけばよかったな…失敗したな。
「ここは図書室?」
次にたどり着いた部屋は本棚が沢山ある部屋だった、書斎と言ったほうが適切かな?
「うーん、本棚の本は調べられないのか?」
本棚から本を抜き出そうとするが、抜き出せずに干渉不能の文字が出てくる。
「あ、この本ならいけるか?」
本棚ではなくテーブルに置いてある本を調べるとこちらは読むことが出来た。
そこには未知の生命体と接触して会話することが出来た事を走り書きされていた、興奮して書いたのか字は汚いがなんとか読める。
読み勧めていると未知の生命体と友好を築き、武器を貰うことが出来た、素晴らしい力でこれで侵略者を倒せるという文を見つける…。
こんな山の中に住んでたらそりゃあ賊とかの敵に襲われるわな…そんな感想を抱きながら読んでいく。
後半の日記は怒りか恐怖かわからないが震えた手で書いたかのような文字が刻まれていた。
『自分以外の奴らがミ=ゴを排除しようと動いている!馬鹿野郎!いくら見た目が怖いからと言って、高度な文明を持つやつに歯向かうとか馬鹿かよ!?逃走するならエントランス階段裏に置いてある避難袋を手にして丘を越えて…くそ、巻き込まれる前』
文字はここで長い線を描いて途絶えている……状況的に死んだな…しかし逃げるのに下山ではなくて丘?ここ山の中だが?なんだ?ミゴの超技術で天変地異でも起きたのか?
しかし争いとか起きたのなら洋館の中が血まみれとかになっていても…いやミゴが掃除したなら血が無くても綺麗でもおかしくないか…跡になりやすそうな血の跡とか超技術で消せそう。
ともかくここにいた人は最初はミゴの超技術を得ていたけど何かしらの要因で不審になり、それが原因でミゴを害して…まあ、蹂躙されたんだろうな…。
しかしいい情報を拾った、エントランス…入口にあった階段の裏には避難バックがある…普通なら災害対策セットだろうがここはファンタジーな世界、護身用の武器の一つくらいある可能性が高い。
早速エントランスに向かって移動する…途中ナナサカさんの悲鳴が聞こえたので素早くエントランスにダッシュした。
「しかしミゴが1体でよかった…2体とかいて挟み撃ちにされたら溜まったもんじゃない…」
エントランスにたどり着き、階段裏を調べるとそこにはドアがついており、開けてみるとそこには大きな革袋が入っていた。
中には食料と水、そして盾と厚みのある両刃のショートソードが入っていた、剣の攻撃力は+3で初期装備感ある。
「この剣と盾はアイテム一覧に入れることが出来ないのか…」
試しに操作してみたが、この装備は収納できませんとシステム画面が出てきた。
「性能は……普通の鉄の剣だな…」
剣の有り無しは大きいがミゴという化け物相手に鉄の剣は少し心許ない。
刀じゃないので自分が使うしかない…。
「いや待てよ…この鉄の剣を打ち直して刀にできないかな…」
自分ながらかなりの狂言だ、剣と刀は似てるようで全然違う、刀は切れ味特化で剣は切れ味が悪くても力で強引に叩き斬るという選択肢が取れるように刀以上に頑丈に作られている。
はっきり言って作る過程から全然違う武器種だ…それを剣から刀に打ち直すとか現実で言ったら鍛冶屋の師でもある父親に爆笑された後、風邪でも引いたか?寝ろと言われそうだ。
だがここはファンタジーゲームの世界だ…もしかしたらそんな非現実的な行為が可能かもしれない。
「問題はそれが可能かどうかだな…」
試しに鍛冶で使っているハンマーを取り出すと取り出せた……攻撃力あるのにこれは武器判定じゃないのか…まあ、戦いに使うにはリーチが短すぎるからこれで戦おうとしたら命はないだろう。
それ以前に仕事道具で戦うとか鍛冶屋として父親に顔向け出来なくなりそうだから絶対したくない。
とりあえずハンマーは良し、そして1番の問題点は…火種だな…こんな所に鍛冶設備なんてあるわけがない…普通ならこの時点で諦めるべきなんだが…ふと思い出したのは夏頃フェルの為に日曜大工でシステムとかの補助を受けずにベッドを作ったのだが…あれと同じような感じで出来ないだろうか?
そんな気持ちが湧いたら試してみたくなってしまった。
別にフェルが居ない今、死んでもそこまで重いペナルティはない、そりゃあナナサカさんの奥義とか教えてもらえないのは残念だけど必須ではないからな。
ちょっとダメ元で試して遊んでみるか、そう思い自分は火種になりそうなものを考えるとキッチンを連想したので、自分はキッチンを探しに移動するのだった。