VS仮称ゴミ?
多分ホラーが駄目なナナサカさんが逃げ出して洋館のエントランスで残ったのは自分とナナサカさんが残した数少ない手がかり、仮称ゴミ。
多分ホラー作品に出てくる化け物なのだろうが、自分に知識はない。
だがピンチなのはわかる、なぜなら今は素手で武器類はイベントの効果でアイテム一覧から取り出せないのだ。
流石によくわからない見た目の存在を素手で殴りたくないし、防具も借り物の防寒着で大幅に防御力が落ちている。
スキーのストックの1本でもあれば簡易的な刺突武器として使えるのだが高所からの落下時に失ってしまった。
「武器はないか」
鑑定眼でなんとか武器になりそうなものを探すが見つからず、仮称ゴミの接近を許してしまう。
仮称ゴミはハサミのような手を突き出して攻撃してきた!
「危な!?」
その攻撃は早くギリギリ回避する…あのハサミがどれほど鋭いかわからないがそのまま貫かれたらHPの低い自分はすぐにHPが尽きてしまうだろう。
このままやられるのは嫌なのでナナサカさんが逃げ出した扉のは違う扉へ逃走を開始する!
ナナサカさんの逃げ出した方向からナナサカさんの悲鳴が聞こえる…。
ナナサカさんのHPはパーティを組んでないのでわからないが、死んでなければいいなーと思いつつ、自分が逃げた先は廊下で更に複数の扉がある、地図がない自分は何処に何があるかはわからず、ひとまずもう1つドアを開けてとにかく視線を切るように動く。
「ここは…個室?」
逃げ込んだ先は個室のような所、木製の椅子やベッドがあり一休み出来そうだが…こんな所で一休みしたら、仮称ゴミに八つ裂きにされるだろう。
「椅子て道具のカテゴリに入るかな?」
どちらにせよこのまま個室にしても逃げ場はない。
木製の椅子を両手で持ち、廊下に戻ると、仮称ゴミがいて近づいてくる!
「喰らえ!」
木製の椅子を全力で投げて、仮称ゴミを攻撃するが、木製の椅子の足が折れただけで仮称ゴミは怯んだ程度でダメージを受けた様子は殆どない…。
「うん、これナナサカさん逃げて正解だな」
まともな武器じゃないとダメージの与えようがないみたいだ、椅子の角に当たったように見えたのだが…。
少しでも仮称ゴミと距離を取るように他の扉を開けて逃げていく、別の廊下、中庭?を突っかかって更に他の廊下にたどり着いて、そこにあった階段を駆け上がり2階にたどり着く。
「振り切ったか?」
早く武器になるものを探したい…走った事で生じた心拍数をゆっくりにするために深呼吸しながらも複数あるドアを開けて探索を始める。
2階は殆ど空室や個室で使えそうな物がないと思っていたが、変な部屋を見つけた。
「なにこれ地面に魔法陣…魔法陣の中心にはなんか化け物みたいな異形の像…」
儀式しているのではと思える部屋を見つけた、凄く怪しい。
「とりあえず魔法陣は消したほうがいいかな?」
よくわからない魔法陣にふれるのは危険だが見た目的に放置も危険と思い、魔法陣を足に装備している靴で擦るように踏んで、消すことを試みると魔法陣はチョークかなにかで書かれたのか、どんどん魔法陣の形が崩れていった。
「これで問題ないのかな?」
この魔法陣がどんな効果があるかはわからずに消してしまったが、異形の像を使う魔法陣なんてその異形を召喚する可能性が高い…消しといたほうが良いはずだ…多分。
再び探索に戻るために魔法陣の部屋を出た瞬間、仮称ゴミに襲われた!
ほぼ不意打ちで放たれたハサミ攻撃が肩に突き刺さる!
「ぐう!?」
視界端のHPバーの5割ほど消し飛んでしまう。
それほど急所ではないはずだが…防具の性能が悪いのか…だが防具に着替えると寒くて動きにくい…。
「リジェネレート!」
すぐさま回復出来るフェルとのシンクロスキルに感謝しつつ、再び逃げ始める。
ああ、さっきの魔法陣の部屋にあった異形の化け物の像を投げれば敵の気を引けたのかな…とそんな考えが頭をよぎるが今更行き止まりである魔法陣の部屋にはいけない。
次にたどり着いた場所は剥製ルームといえば良いのか色んな生き物の剥製があった…流石に人間や妖精の剥製は無く一安心だ…。
そんな物あったらキッチンとか探し出してそこで火を手に入れて、この洋館全部燃やしたほうが良いのでは?判断してたかもな
「はあ、ナナサカさん無事かな?」
そんな事を独り言で零した時に足下に黒い塊が横切る。
「うわごきぁ!?」
まさかこんな所でリアルサイズの頭文字Gが現れるとは思わず悲鳴を上げてしまう。
「やば…」
今ので確実に仮称ゴミに居場所がばれた…。
くそ、今のはズルすぎる!これで悲鳴上げるなとは無理言うなよ!
ナナサカさんこっちと同じ怖い目にあってないと良いが…そう思いつつ急いで移動するのだった。