ナナサカさんとの遭難?
「まあ、ぶっちゃけ自殺でもすればすぐに戻れるけど…何かしら隠れクエストとかあるかもしれない、探そう」
「いや、自殺は最終手段にしよう?」
命が軽すぎるナナサカさんと一緒に先の見えない雪山を歩く。
さっきまでスキーをしていたのにまさかの遭難だ…まあ、フェルが居ないからそこまで致命的なトラブルじゃないのが救いだ。
それにナナサカさんが言うにはウィンタースポーツ前提のイベントだから敵とのエンカウントする可能性も無いらしい。
それでも寒さに耐えながら歩くのはなかなか大変だ…あったかいお茶が欲しい。
「というか隠しクエストなんてあるのか?」
「いや、わかんないでもある気がする!」
直感で歩いているナナサカさんについて行きつつメッセージでリーダーさんやユリに連絡送ろうとするが、観戦してたなら気づいているはずだし、別に最悪死んでリスタートがあるから救援要請を送らなくてもいいだろう。
ログアウトは出来るみたいだが、ログイン時はここに戻って来るぽい?まあ、まだログアウトする必要はないか。
武器は変わらず取り出せない、取り出せたら火光で暖を取れたのだが…。
あれやこれや試していると体が冷えてくる。
防寒耐性を貫いてきてないか?そんな不安がよぎる中、何分くらい歩いたかわからないなと思った時にナナサカさんが声を上げる。
「お!なんかありそうな洋館発見!」
「なんでこんな所に洋館あるの!?」
周囲は木が1本も見えない中、ナナサカさんの指先をみた眼の前には大きめな洋館がそびえ立っている、個人的には不自然極まりない。
「まあ、そこら辺細かく気にしたらだめだぜ、早速入ってみて、人居ないか確かめようぜ!」
意気揚々と洋館に近付きドアを開ける。
自分もまあ、ナナサカさんなら素手でも強そうだし、なんとかなるかと思いナナサカさんの後ろをついていく。
両開きのドアを開いて中に入ると中央に2階に行ける階段があり、更に色んな部屋に行けるように色んな扉がある。
だが明かりはなく薄暗い…ちょっとホラー感ある。
「あ、これやば…」
「なかなか豪華だな…薄暗いけど」
そんな感想を呟きながら洋館にはいるとバタン!!と入ってきたドアがしまった!
自分とナナサカさんは一瞬顔を見合わせてから二人して入口の両開きのドアを開けようとするがびくともしない。
「………やべぇ詰んだかもしれない」
ボソリとナナサカさんの独り言が聞こえた、しかもその声は今まで聞いたことないくらいに震えていた。
「閉じ込められたな…してやられたが、ボス倒せば出られるクエストかな?」
「……………」
ナナサカさんはダンマリだ…。
無言で辺りを見渡す、薄暗く人気のない洋館はまさにホラーの舞台といってもおかしくない。
「………もしかして…ホラー…いや、暗いの苦手?」
「…………」
ナナサカさんはダンマリだ…。
どうしようと、ナナサカさんホラーだめっぽい…思ったら、洋館のドアの一つが相手何者かが現れた。
目を凝らして見てみると、頭部は黒い脳みそに小さい触手?のようなものがついていて、目とか無く、海老?のような体をしていて、手にはハサミのようななにか、尻には蜂みたいなトゲ、そしてコウモリのような羽をしていて気持ち悪いキメラのようなモンスターだった。
「なにあれ?きも」
「み、み……みみ、ご…」
「ナナサカさん!しっかりして!?」
「ゴミだー!?」
ゴミ!?もしかしてあのモンスターの名前!?いやゴミて絶対違うだろ!?
「落ち着いてナナサカさん!?」
「ごめんむりりー!!」
ナナサカさんは逃げ出した!
「嘘だろ!?」
追うか迷ったが、ここで仮称ゴミをなんとかしないといけない、自分もナナサカさんを追うように逃げても、追いかけられてイタチごっこだ。
「やるしかないか?」
確かに気持ち悪いが虫よりマシだ、ここで出てきたのがゴミじゃなくて巨大な昆虫だったら逃げてたのは間違いなく自分だろう。
ナナサカさんを守るためにどうにかしてこいつを撃退せねば!
……でもどうすればいいんだ!?武器は取り出せないんだぞ!?