新たな合体技
「あれ?失敗した?」
本来なら2つの魔法陣が出て来て合体するのだが頭上にある魔法陣はフェルの妖精氷門のやつしか出て来てない。
すると魔法陣から氷が出てきたのだが…本来の妖精氷門だと球体の氷の塊が降ってくるのだが、出てきたのは四角い氷だった。
「なにあうお!?」
次の瞬間地響きと共にスライムが飛んだ…いや、スライムが居た所の地面がせり上がり、スライムを持ち上げたのだ。
そしてスライムの頭上には巨大な四角い氷…。
まさかと思った瞬間どぐしゃああああ!と耳を塞ぎたくなる轟音共にスライムは氷に押しつぶされた!
「…なんか予想以上にエグい技が出てきたな…」
「ゲートレーザーと違う合体技が出ましたね…」
フェルと一緒に驚きの声を上げる。
下から大地をせり上げて、上から氷で圧殺する…プレス機みたいだ…。
「お兄ちゃん、なにあれ?マップ兵器?殺意凄いけど…」
「まあ、自分達のMPを全て使った一撃だからな…フェルは大量にMPあるし、自分も無駄に潤沢にMPがあるからあれくらい出てくれないと困る…」
別に自分は魔法使いではなく、武器のスキルでMPを使うくらいだからな…余程無駄遣いしなければ余るのだ。
「所で倒したんですか?」
「どうだろう…スライムに圧殺とか有効なのかな…?普通ならあんまり効果無いと思うけど、凍らせて居たから倒せても良いけど…」
フェルの言葉に悩みながら返答するユリ、するとせり上がった地面が元に戻り、氷が砕けて消える…そこには腐れスライムは居なかった…。
「倒したみたいだな…」
「いや!まだだよお兄ちゃん!」
ユリの言葉と同時に背後から感じがした、ナナサカさんとの決闘時に背後を取られたような感覚…反射的にアースキーを振るい、背後を攻撃する!
べチャリ!と音がなる…だがそれと同時に腕に痛みと痒みが走る!
「レンナさん!?」
「お兄ちゃん、じっとして!イーグル……」
「ぐ…わかった!」
ユリに言われて、全身を力ませて体を固定する、腕に視線を向けたらそこには腕を覆える位のスライムが纏わりついていて、そして、目に見えて弱点ではないか?と思えるほど赤く発光した球体があった…スライムの心臓か?というか小さくなったな、大地と氷のプレスの影響か?
「最初に言っておくよ、腕を切り落としたらごめん!イーグルストライク!」
妹は武器であるレンフェルソードを突き出して、赤く発光した球体を貫いた!その瞬間、スライムは弾けるように赤いエフェクトを発して消滅した!
幸い、レンフェルソードが自分の腕を傷つける事は無かった。
「た、助かったよユリ…」
腕に纏わりついている状況で攻撃は難しい、火光はアイテム一覧にしまっていたし、シャベルであるアースキーで自分の腕に纏わりついたスライムに有効打を与えるのは厳しい…フェルの魔法だとアイスランスでスライムの弱点を貫けそうだが…アイスランスは太い為、自分の腕ごと貫いてしまいそうだったからな…。
「今度こそ終わったね、穢れたボム手に入った」
「えーとこっちは……」
アイテムドロップを確認しようとした時、グラリと視界が歪む。
「あ!リフレッシュエール!リフレッシュエール!リフレッシュエール!」
「リジェネレート!」
どうやらさっき腕には纏わりつかれた時に毒と腐れを食らったようだ…自分のHPバーがなくなりかけているのをパーティ情報から知ったユリが急いで状態異常回復のスキルを連打してくれる、フェルもリジェネレートをかけてくれたおかげでHPバーが完全に無くなる事は防ぐ事が出来た。
「危なかったーここで死んだらまた腐れスライムと戦い直しだったよ…リフレッシュエールが間に合って良かった」
「それは勘弁して欲しいな…」
かなり嗅覚が麻痺してきたが、ここは臭いのだ…これ以上ここに居たくない。
自分はアイテムドロップで手に入れた物が穢れたボムなのを確認して、足早にファイブの街へ向かった…。