腐れの峠へ
「お兄ちゃん、来てくれてありがとう!」
人化して人の状態でユリのマイホームに戻るとユリが出迎えてくれる。
「別にいいよ、こっちもまだファイブの街は未開放だし…えーとフェルも一緒で大丈夫だよな?自分とフェル、ユリだけじゃ危険というわけじゃないよな?」
「絶対に安全とは言えないけど、十分なんとかなると思うよ、保険のアイテムもあるからね」
自信満々のユリは胸を張る、ユリの方がこの世界に詳しいので大丈夫だろう。
「わかった、なんかあったほうが良い物あったりするか?」
「解毒薬、消臭薬だね、はいこれ手伝ってくれる報酬の前払いということで」
『ユリから防腐薬が4個、抗体薬が4個プレゼントされました』
ユリからアイテムがプレゼントされる、説明文を見てみると防腐薬は腐敗状態、抗体薬は毒状態を一定時間強い耐性を得られる薬だった。
「解除する薬じゃないのか?」
「解除は私のスキルで出来るから、MP節約のために掛かりにくくかる薬を飲んでて欲しいの、1人1本あれば足りると思うけど念の為1人2つ渡しておくね」
成る程、自分とフェルで合計4本か。
「わかった腐れの峠についたら飲もう…じゃあ解毒薬とかはいらないな…」
「それじゃあ早速出発!」
「頑張りましょうユリ、レンナさん!」
こちらの言葉をスルーして出発の声を上げるユリとそれに乗るフェル。
まあ、消臭薬は持ってないけど解毒薬なら持っているのでどうにかなるだろう、そう思いつつ自分はユリについて行った。
「到着、ここが腐れの峠だよ」
ユリの先導についていくと、そこには山道と一緒に毒沼があった。
「………ぷは、なんか嫌な匂いが充満しているな…」
「うう、やっぱり臭いですね…リーダーさんが居ないから今回は臭い消し出来ませんね…あ、薬2種ください」
生臭さがするなか自分とフェルは先程ユリから貰った、状態異常に備える薬を2つ飲み終える。
気分的な問題なのだろうか、薬を飲んだら臭さがマシになった気がする。
「お兄ちゃんHPバーの下にあるアイコンに気をつけてね、毒や腐そうなアイコンが出て来たらいってね」
視界端の自分のHPバーを見る、現在パーティを組んでいるので自分のHPバーの下にユリのHPバーも表示されているが2つとも薬によるプラス効果のあるアイコンが下に表示されている。
「うん、ただ今軽い睡眠不足以外健康そのものだ」
「…睡眠不足の状態異常とかあったけ?」
「いや、ない気分的な問題だ」
妹とそんな掛け合いをしながら進んでいると、周囲に紫色で毒沼と思われる沼が周囲に増える中、フェルが声を上げる。
「前方から鎧の敵が来ます!」
「早速ユリの目標の敵、腐れの鎧か!………どこだ?」
アースキーを構える、だが眼の前に敵は居ないと思ったら地面から手が生えてきたと思ったら、そのまま鎧がひとりでに地面から這い出て来た、中身が空洞に見える為、中身にゾンビが居る訳ではないみたいだ。
「レンナさん、リーダーさんから聞いたんですが、相手は打撃武器に弱いです、アースキーで攻撃しましょう!オールアップ!」
「わかった!」
フェルの指示でアースキーを両手持ちして殴りかかるが腐れの鎧は片腕で威力を殺すようにアースキーを受け止めて、もう片方の腕で腹部を殴ってくる!
「ぐお!?」
格闘攻撃で吹き飛ばされて毒沼に転がされる。
その結果あっさり毒と見知らぬ状態異常のアイコンが2割削れた自分のHPバーの下に現れる。
「すまん、状態異常になった!フェル、大丈夫か!?」
「大丈夫です…リジェネレート」
フェルは返事をして回復魔法を唱える、口調からして毒になってるのがわかった。
「流石に毒沼の上を転がったら毒になるわよ!リフレッシュエール!」
ユリの言葉で状態異常が綺麗さっぱり消える。
「助かった!」
「次は気をつけて行きましょう!アイスランス!」
フェルも毒等の状態異常から回復したのか元気よく魔法を唱え、3本の氷の槍を腐れの鎧に飛ばして攻撃する。
1本の氷の槍は素手ではたき落とされたが、残りの2本は穢れの鎧に突き刺さりダメージを与える。
「マジックショット!」
更にユリの放った魔力弾が腐れの鎧の体勢を崩す。
「これで終わりだ!」
無防備な腐れの鎧の顔面にフルスイングのアースキーで殴って、トドメを刺す!
「はあはあ、初手カウンター食らうとか恥ずかしいな」
そんな感想を自分は漏らしていると、再びの少し気持ち悪くなったと思ったらまた毒状態と良くわからない状態異常になっていた…。
良くわからない状態異常を確認する。
『腐れ状態
体が腐ってしまう状態異常、嗅覚が聞かなくなり、HP回復薬系を使用時に確率で薬の効果が発揮されず、HPが減少し続ける』
うーん、毒と合わせると結構エグい効果かもしれない…回復魔法が使えるならば脅威はかなり下がるが、薬に回復を頼っている人からしたらきついエリアだ。
「すまんユリ、また毒と腐れ状態になったー回復頼むー」
「あー、毒沼の上を転がったからね、その影響で少しの間、予防の薬効果込でも状態異常の数値が溜まって毒や腐れ状態になったのかもね、リフレッシュエール!」
そんなフェルの言葉ともう一度毒や腐れを治すスキルが使われた。
パキン!
うん?なんか変な音が聞こえたぞ?