フェアリーガーデンの空を飛ぶ
魔本の図書館から転移魔法陣でフェアリーガーデンに到着すると眼の前には平和な世界が広がっていた。
「そうだ、フェル少し胸ポケットから出て離れて欲しい」
「もしかして私と同じサイズになるんですか?」
「ああ……人化解除!」
フェルが胸ポケットから出たのを確認して人化を解除、妖精の大きさになる、眼の前に見える花畑がみるみる大きくなるのは室内とはまた違った感覚でちょっと感動する。
「フェルはいつもこんな視点でフェアリーガーデンを見ていたんだな」
「そうですよ、レンナさん!今こそ飛行する時です!」
「わかった」
凄く楽しげに自分に近づいて手を差し伸ばしてくる、その手を握り人に本来備わってない羽を意識しつつ自分は飛行を開始した!
「うおおお、凄い…」
高度が上がり、まるで自分自身がドローンになったといえばいいか、高所から見る花畑はまさに絶景で気分が高揚する。
「えへへ、この光景をレンナさんに見せられてとても嬉しいです!」
「この光景は人間だと見られないな…」
人間だと飛行機に乗るかスカイダイビング等しないと空中に居られない、空中に留まれるのは羽がある者の特権だろう。
「そうだ、レンナさんお母さんに合う前にもう少し花畑を見て周りませんか?」
フェルはそう言うと腕を組むように密着してきた。
「ふぇ、フェル?そんなに密着されるとちょっと飛行しにくい…」
「念の為です、レンナさんまだ飛行が不安定なんですから万が一飛行不能になったら私が補助しますよ!」
「…まあそれなら頼む…」
別にフェルに密着されるのは嫌じゃないし…普段なら体格差があってこう、密着することはないし…なにより自分も男性だ、親しくなった可愛い女の子に密着されて嬉しくないと言えば嘘になる…。
でもそういう下心の感情を出すのはどうかと思うので、そのままフェルに密着されたまま花畑を飛んで見て回る。
赤、黄、青、紫、白と自分の言葉では説明出来ない花畑の絶景が眼の前に広がっている。
ほえーと見ていると知っている妖精がこちらに近づいてきた。
「あ、フェル…ええ!?う、浮気じゃん…!?」
「メーチャ、浮気て何言っているの?」
「え、だって……あれ?もしかしてレンナじゃん?」
近づいてきたのは医術の知識がある妖精メーチャだった。
最初はフェルの隣にいる自分をフェルと認識してなかったみたいだが、じっと見たらレンナと理解できたみたいだ。
「まさか本当に妖精になるとはね…ちょっと体調べたいから時間くれないかしら?」
「む…駄目です!いくらメーチャでもあげれません!」
むぎゅりと自分を抱きしめるフェル!ちょっとまって、飛行が維持できない!?でもフェルがガッチリ固定しているから落ちることはない、あ、ちょっといい匂いと柔らかい体の感触が…。
「ど、どうしたの?なんかやけに独占欲発しているじゃん…」
「………だって妖精になったレンナさんはきっと人気者になるはずだからその…」
「レンナのパートナーは自分じゃんとマーキング?」
「…そんな感じです」
フェルとメーチャの掛け合いを聞く。
これどうすればいいの…?強く抱きつかれているから飛行の維持で精一杯なんだが…。
というかもしかしてアルカナカードにあった嫉妬心強化発動してる…?
「まあ、フェルからレンナを奪う人はいないと思うじゃん…レンナが誘惑されてもレンナなら多分問題ないとおもうよ」
「そ、そうですよね…」
ふわりとフェルが離れる…なんかちょっと残念と思ってしまう自分がいるんだが…。
「ま、まあ…妖精の姿になっている時の状態になんか変化ある可能性があるから一応メーチャの診断は受けておきたい、まあなにも問題は無いと思うけど念の為にな」
というか今の姿だと人間要素0だったりするのかな?気になる。
「まあ、レンナさんが受けたいなら止めはしません」
「じゃあフェルはフェルのお母さんに会っている間に診断するじゃん、診断時は他の人居たら正しい診断できないからね」
「わかった、先にお母さんに会いに行ってくる、メーチャ、変な事しないでよ?」
「しないじゃん、医学に関してはふざける気はないよ」
メーチャと会話を終えたフェルはフェルのお母さんに会うために飛んでいった。
「レンナ、フェルになにかした?ちょっと様子変わっているじゃん」
「自分自身は何もしてないです」
「そうなの?取り敢えず診断するじゃん」
こうしてメーチャに体を調べられるのだった。