おまけ1、妹に謝ろう
「「すみませんでしたー!」」
デスロード戦の次の日、自分とフェルはユリに事情の全部を話して土下座していた、自分達とユリの間には中破したセクサーブレードと使わなかった分のエリクサーが置いてある。
本来はフェルまで土下座する必要は無いのだが、フェルが連帯責任といって譲らなかったので、自分の背中の上で土下座している。
「ぷくくく…あはは、鏡餅みたい!」
ユリには受けたみたいだ。
「別に殆ど怒ってないからそこまで……ぷ、する必要ないよ…くく」
「ツボりすぎだろ…」
「まあ、それはそれとしてエリクサー代とブレードの代金は貰うけどね」
「まあ、それは妥当だな、いくらだ?」
そういうとユリは手頃な紙にサラサラと数字を書いて見せてくれた。
「このくらい」
「待って、高くないか!?」
前貰った出演費の半分なんだが!?
「まあ、エリクサーもそこそこ高いけど、このセクサーブレードはイベント景品の素材を使った物だから必然的に高くなるんだよ…それに武器としては弱くても特殊効果は強いでしょ?まあ、強力な代わりに金食い虫だし、発動の度に低確率で破損判定が生じるけど」
「う、確かに…」
どんなに強烈な一撃を食らっても、不屈さえ発動すればすぐに自動全回復…その便利さは身を持って体験した。
というか自分が無断で持ち出した以上、自分に非しかないので払うしか無い。
「はいどうぞ」
「うん、受け取ったけど、まだ土下座するの?」
土下座しながら渡した結果、ユリがちょっと引いた感じの声を出す。
「いや、背中にフェルがいるから体起こしにくくて」
「あ、ごめんなさい!今どきます!」
背中の軽い重みがなくなったのを確認して、土下座を辞める。
「しかし災難だったね、PKにやられるなんて…」
「ああ、フェルが無事で本当に良かった、出来ればもうPKとは戦いたくないものだ…」
「次は私に連絡してよね、行ってくれれば飛んでいったのに」
「済まないな、あの時フェルのピンチを救うことで頭一杯で考えに無かった」
確実にあの時は冷静な判断は出来てなかった…妹の倉庫から勝手に妹の物を持ち出すとかしてたし。
「まあ、次からは気をつけてね、ということでこの話はおしまい!せっかくこの世界に居るんだし、楽しい事をしましょ」
「楽しい事て何だ?なんか一緒にクエストでも行くか?」
「それならウィンドショッピングで戦わない、お出かけ用の服でも買いに行こう!フェルのサイズはないけど、お兄ちゃんなら素材とレピシさえあれば作れるよね?」
ユリが無茶振りしてくる、こっちは服屋じゃないぞ…。
「無茶振りいうなし…いやまあ、フェルの為なら頑張るけどさ」
「レンナさん、裁縫は私も手伝います!」
「あ、ありがとうなフェル」
やる気満々なフェルに少しびっくりしつつも、自分とフェルはユリと一緒に色んな街でウィンドショッピングに出かけて服を見て周る。
最初は服だけだったが、フェルとユリがこの服いいなと記憶したらメモして、その服と似た布と服のレシピを買い、自分に持たせる。
完全に荷物持ちだが、楽しそうなフェルとユリを見ているとまあ荷物持ちでもいいかと思い、女性2人の買い物に付き合う。
「フェルにはフリフリな服が似合うわよね、こちらのミニスカートとかどう?」
「うーん、スカートは飛ぶ身としてはあんまりですね…」
そんな2人の会話を聞きつつ、街中の服屋を見ている、一つの街に複数の店舗があり、更にワン街から始まりツー街やスリー街、フォー街で色々と違いがあるみたいだ。
防具は基本自作して居る為、防具や服屋とは縁遠かった故に中々新鮮だ。
「そう言えば下着とか売っているのか?」
独り言のように思ったことを口にすると2人が反応した。
「え、もしかしてお兄ちゃん、フェルの下着とか作る予定なの…うわ…」
「あ、あの私は別にレンナさんが作ったものならつ、つけますよ?」
「あの何勘違いしてるの!?さっきのは独り言だよ!?」
大きな誤解を頑張って解きつつ、買い物が進む…。
その後戦闘とか街の外に行かない用のフェルの服とかを裁縫で作る際にフェルの下着の事が頭をよぎり何度か指に裁縫の針を突き刺して地味にダメージを負ったが、ユリがご希望のゴスロリとか普段着しやすいおしゃれなフェル用の服を作ったのだった…。
当然だが下着は作ってない!レシピはあるらしいけど買ってないわ!
でもちょっと試しに作ってみたいと思ってしまっている辺り、俺はもうだめかもしれない…。
明日はちょっと現実の鍛冶手伝いで頭を冷やそうと頭の中で誓うのだった。