無理ゲーの結末
「キツすぎる!」
約40戦位して全てやられた自分は悲鳴をあげる。
「まあ、クリアするなら奇策の1つはないとな、とりあえず一休みするか」
刀を手にそんな事を口にするナナサカさん、奇策…人化解除して妖精の大きさになってナナサカさんの攻撃を通り抜けてリーダーさんを攻撃とか考えたが…。
ナナサカさんを通り抜けてもリーダーさんに攻撃を当てられる気がしなくて試せていない、仮にやったらその前に撃ち落とされそうだ。
それに妖精になる奇策は間違いなく一回しか使えない、一回見られたら確実に対策されるだろう。
「……ぷは、レンナさんファイトですよ!」
決闘するたびに自分に補助魔法をかけて、MPが尽きたフェルはMP回復薬を飲み、こちらを応援してくれる。
「しかしかなり魔法の矢を防げるようになった、結構際どいのも防げてたし」
「際どいというか…かなりキツイよ、それに途中から属性付きの魔法の矢を放ってくるし」
特にナナサカさんの股下を通って飛んでくる魔法の矢が特にキツかった、ナナサカさんも後ろに目でも付いているのかなと思うくらいに基本的に足を閉じていて、攻撃の踏み込みや魔法の矢を通す時くらいにしか股を開かないし…。
属性付きの魔法の矢は火や氷、土はなんとかなるが雷属性の魔法の矢は火光で防ぐと感電してしまう為、土属性のアースキーで受け止めないといけないのがより戦闘の難易度を高められている。
「ちなみに本来の双極の絶対覇者だと矢じゃなくて着弾時に爆発する槍や剣を複数飛ばす魔法で薙ぎ払ったりする」
「なにそれ…勝てる気しない…」
「先輩として勝たせる気はないからね、双極の絶対覇者のイベントやった後は掲示板とか超荒れたからな…チートとか運営と寝ているとか言われたな…それでナナサカの案で片腕欠損片目使用不可状態で縛りプレイして超高難易度クエストクリアした動画上げてドン引きさせることによって荒れるのを止めたりしてな」
何やってるの二人共…というかとんでもない人達の胸を借りているんだな…。
「まあ、俺がチーターなのはあんまり否定できないけどなユニーククラスの刀神だし」
「ナナサカはまだ誰でも突ける明確な弱点があるからまだチートと言われる必要な無いんだけどな…」
ナナサカさんの弱点何だっけ?確か夏イベントの決闘の時やAIナナサカさんとの戦いで呪死の魔弾という魔法使っていて当たれば確実に終わると言っていたし、多分即死魔法が弱点なのかな?
だとしたら自分は突けないし、他に弱点あるのかな?
「なあ、俺の弱点の話そこまでにして特訓の続きをしないか?」
ナナサカさんが一休みの終わりを告げる、そりゃあ自分の弱点の話とかの話題変えたくなるか。
「はい…また特訓付き合ってください!」
「なあなあ、リダそろそろいつもの刀に戻していいよね?レンナ殿も慣れてきたし、今なら行けるでしょ」
そう言ってリーダーさんに確認しつつも刀を持ち替えるナナサカさん。
「聞く前に持ち替えるなし…まあレンナさんが良いなら良いんじゃないか?」
「持ち替えてください!早くてもなんとか防いで見せます!」
「いいねー困難に挑む姿勢いいねー!」
「テンション上げすぎるなナナサカ、また初手みたいに神速の斬撃したら全ステータス下げるぞ」
テンションを上げているナナサカさんに静止をかけるリーダーさん。
「はーい、お母さん」
「オールカース!よし、特訓始めようか」
「ちょ、全ステータス下げた状態で!?いいけどさ!」
2人の漫才?を聞きつつ、再び特訓が再開されたが…。
最終的にログイン可能な時間のほぼ全てを使っても、やはりナナサカさんの背後に居るリーダーに武器を届かせることは出来なかった。
というかリーダーさんのオールカースでステータス下がっていても、ナナサカさんは好き好んで縛りプレイをしているからなのか、スピードが落ちてもその分慣れた手つきでフェイントや細かい技まで使い始めてほぼ戦闘力は落ちた感じはしなかった…。
「はあはあ…疲れた」
累計で約70戦程したが最終的にリーダーさんに一撃入れることは出来なかった。
死ぬたびにHPは全回復しているが、それはそれとして現実の精神力や集中力は回復しない。
「攻撃魔法の飛ばし方勉強になりますね」
「ああ、左右からの同時攻撃しながら背後も攻撃すれば大抵の人は一撃くらうからおすすめだ、強者相手だと全方位攻撃で相殺されてしまうけどな」
フェルはフェルで最初は支援魔法を自分に付与するだけだったが、リーダーさんの攻撃魔法に影響を受けて攻撃魔法の飛ばし方を研究していた、確かに最終的には右左上下背後とほぼ全方向からいろんな属性の魔法の矢を飛ばしてきたからな…フェルが真似できれば、戦闘でかなり有利になるだろう。
「ははは、そう簡単に俺とリダのコンビを攻略は出来ないぜ」
「目標達成できてない以上、何もプレゼントは出来ないが…後半そこそこ力入れたから、高難易度の攻撃を回避したことによって、回避系のスキルとか成長していると思うからそれがプレゼントということで…」
結局妖精になる手も使わずじまい、ボロ負けした。
というか四方八方から攻撃されるてこんなキツイんだな…。
疲労で座り込んでいる自分にリーダーさんがフォローしてくれる。
ステータスを確認するとフェンサー等のスキルのレベルが上がっていた。
「沢山頑張ったかいがあったのかな?」
「お疲れさまーお兄ちゃん」
「うお!?ユリいつの間に!?」
背後から聞こえた妹の声にびっくりしてしまう。
「途中から居たよ?お兄ちゃん決闘に集中しすぎて気付いてなかったけど」
「まじか…」
「お兄ちゃん、2人にしごかれてどんどん人の限界超えてきているよね」
「そうなのか?だとしたらいいんだが…」
もしも妖精の体を戦闘で使うならもう少し速さになれないとな…。
「いいの…?とにかくそろそろ寝る時間だから私は寝るねお休みー」
「あ、なら俺も寝ないとリーダーさん、ナナサカさん、今日は特訓に付き合ってくれてありがとうございます」
「どういたしまして」
「次はタイマンでしようなー」
こうして自分は2人に別れを告げて、フェルと共にユリのマイホームに戻ってログアウトするのだった。