奇妙なイベント?
飛行の特訓をした次の日の夜、ログイン後何となく自分とフェルはチームのゼロオーダーの工房に行ったらそこで奇妙なものを見た。
「ヤダ!やりたくない!あのイベントの再演とかお前得しかないじゃないか!」
「えーやろうよーせっかくのお誘いなんだから〜」
そこには嫌がるリーダーさんをグイグイ引っ張るナナサカさんがいた。
「あの、どういう状況なんですか?」
胸ポケットにいたフェルが疑問を投げかける。
「あーレンナ殿、フェル殿良い時に来てくれた、リダを説得してほしいんだ」
ナナサカさんの言葉と共に眼の前にシステム画面が現れて、神託クエストが発生する…クエスト目標はリダを激レアレイドイベント:双極の絶対覇者(復刻再演)へ出演するように説得するだった。
「えーと、まずは事情を聞いていいかな?神託クエストを受けるかはその後で良い?」
「おま、汚いぞ!職権乱用じゃなくて神権乱用かよ!」
「ははは!それならリダは俺を追い出さないとレンナ殿を工房立ち入り禁止にするとか職権乱用すればいいじゃないか」
「そんな酷い事出来るわけ無いだろ、邪神!刀神!決闘神!」
やいよやいよと騒ぐナナサカさんとリーダーさん、口調は荒れているが、殺伐とした感じはしない、というかリーダーさんはピコピコハンマーでナナサカさんの手をピコピコしてるし。
「レンナさんどうしましょう?」
どうすればいいのかわからずにこちらを見てくるフェル、どうしましょうと言われても…。
「ちょっとユリに助け求める…」
フレンド画面を開いて、ログインしているユリにリーダーさんとナナサカさんが言い争いしているから助けてとメールを送ったら、速攻で返信が来た。
『定期的に起こるフェンリルも食わない喧嘩だから放置でいいよ、どうせ最終的にリーダーが折れる』
うーん、完全に慣れきった感じの答えだ。
まあ放置するのもあれだし、気になることは聞いておこう。
「レアレイドイベント、双極の絶対覇者てなんだ?」
「双極の絶対覇者は昔あったPVPのイベント最強ダックトーナメントで俺とナナサカで出て優勝した時に手に入れた、運営に頼んでイベントを作れるイベント作成権というアイテムでナナサカが作ったレイドイベントだ…」
「まさかそのイベントにでてくるレイドボスて…ナナサカさんとリーダーさん?」
「ああ…このバカ自分がレイドボスになりたいと言ったんだよ、てっきりエンドコンテンツ…激むずなイベントを作るかと思ってたんだ」
そんな事可能なのか…というかイベント作れるアイテムとかあるんだ…。
「本来は1回だけのイベントだったから…やるならやるで全力で殺った結果…参加者全滅させたんだよな…その結果ごく一部の対人プレイヤーから何度か再演の願いがあってね、運営とかイベント関係抜きにまたやらないかと相談をナナサカが受けて、ノリノリで俺をPVPへ誘おうとしているんだ、そんな中レンナさん達が来た感じだな」
ピコピコとナナサカさんの頭をピコピコハンマーで軽く叩きながらリーダーさんが長々と説明してくれた。
「よし、喋っていいぞ、ナナサカ」
「ピコハンで手は叩いていいけど、頭は辞めろ…剥げさせる気か…あ、レンナさんも挑戦側で参加しない?」
頭を擦りながらもこちらも誘いだすナナサカさん。
「ごめんなさい、1対1なら万が一があり得るかもしれないけど、2人が揃ったらどうあがいても勝てる気がしないので遠慮します」
リーダーさんともナナサカさんとも決闘で戦ったが、フルボッコだったし、こっちは切り札である妖精火門がもろにバレているのにナナサカさんとリーダーさんの切り札を自分は知らない…。
そんな状態でリーダーさんとナナサカさん2人と戦うなんて無謀な真似はしたくない。
というか話からして危険なエリアでフェルはお留守番確定だし…参加する利点がない。
「どんだけ戦いたいんだよ、というかレンナさん巻き込むな!」
ピコーン!とピコピコハンマーでナナサカさんの肩を叩くリーダーさん。
「はー…まあ、わかった参加するが貸し1なナナサカ」
「流石リダ、話が分かる!」
ユリのメッセージ通りにリーダーさんが折れた結果、視界端に置いてあった神託クエストを受けるかどうかが消えた…ナナサカさんが取り下たのだろう。
「で、時期はいつなんだ?」
「えーと、詳しい内容はメールで送るよ」
「…なんだ?特殊ルールでも追加するのか?」
そう言って2人で会話し始めるリーダーさんとナナサカさん。
「レンナさん、どうします?」
「うーん、特に目的もなく来たからな…とりあえず2人の邪魔をしないように外に行くか」
そう言って、工房から街に出るのだった。
きっと後日2人は対人戦で暴れまわるんだろうな、とそんな事を思いながら…。




