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鍛冶屋の息子、MMORPGにはまる  作者: リーフランス
様々な秋の一幕
370/626

フェルの飛行サポート

「ふぇ、フェル!?」


抱きつかれて完全に狼狽してしまう。


「うーん!!」


フェルが自分を持ち上げようとするが持ち上がらない。


「あ、その…」

「オールアップ!」


なんとか言葉を紡ごうとしたが、フェルはわざわざ補助魔法を使い、自分を持ち上げる。


体はみるみると地面から離れて、フェルが手放せば確実に落下死するレベルまで上がってきた…それでも現実の自分の身長位までしか飛行してないが…。


お、おかしい…こ、怖いという感情が出てくる…高所恐怖症ではないはずだ、デカい観覧車に乗っても怖くなかったし、旅行で都会にあるタワーみたいな超高所の観光地に行ったこともあるが、その時は怖くなかったのに…思わず足を動かしてしまう。


「レンナさん、足よりも背中の羽に意識を集中してください、重力に逆らうように…」


優しく語りかけてくるフェル…そんな事言われてもフェルに抱きつかれて、落ちたら死ぬ高所まで持ち上げられているという状況で集中なんて出来ない!?


「えっとそのそのおお落ちない!?」

「大丈夫ですよ、私がしっかりと抱きかかえているから…落ち着いて深呼吸して、集中して…」


狼狽しまくって、言葉が変になる自分に優しく言葉を囁くフェル。


なんか林檎みたいな甘い匂いがフェルからした気がする…落ち着け、変な気持ちに揺さぶられるな…しばらくこのままで居たいなとか思うな。


とりあえず今の自分の体重はフェルにかかっている、だから早く飛べるようにならなければフェルに負担をかけ続ける、早く飛べるようにならねば。


うーん、背中の羽で飛ぶイメージ…フェルの力を借りなくても自由に飛べるイメージ。


「あ、軽くなりました!レンナさん、飛べてますよ」

「お、よし!」

「え、きゃ!?」


よしとガッツポーズした瞬間、飛行をミスったのか、フェルは唐突に増えた負荷に対応出来ずに墜落してしまう!


「フェル!」


咄嗟に素早く体を捻り、フェルが怪我しないように自分が下になる、自分は落下死してもリスタート出来るけどフェルは違うからな。

だが落下死したらフェルがへこんでしまう!

その前に!飛ぶ!


「ひこう!!こうか!」


全力で背中の羽を使う!使えてるかわからないけど、やる!


次の瞬間、飛行の手応えと共にどん!と背中に僅かな痛みが走る、だがHPバーは1割未満削れただけで、最大HPが低いと自分からしたら軽症だ。

なんとか飛行で落下の勢いを殺せたみたいだ。


「れ、レンナさん!?大丈夫ですか!?」

「ああ、大丈夫、済まないな…不安定な飛行をしてしまって…」


フェルが間近で心配そうに自分の顔を覗いてくる…やばい、ドキドキしてしまう。


「それよりも怪我はないか?」

「はい、大丈夫です!それよりレンナさんは大丈夫ですか!?リジェネレート!」


こちらが無事と言うまでに持続回復魔法をかけてくれるフェル。


「大丈夫だ、心配かけたな…後怪我の功名と言えば良いのかな?飛び方が何となくわかったかもしれない」

「そうなんですか?」


フェルの疑問の言葉に答えるように跳躍して、体全体で飛ぶように意識すると、体が空中でふわりと止まった。


「やりましたね、レンナさん!」

「でもまだ動きにくいからもう少し練習しないと…ありがとうな、フェル…持ち上げてくれたおかげで飛行できるようになったよ」


フワリフワリと高く飛んでみると、先程と違って高所でも怖くなくなった…。

もしかしてさっき怖かったのは自分が飛べなくて安全が確保されてなかったからか?


「まだぎこちないですね…私が側にいるので危ない時は私の手に掴まってください、次は失敗しませんよ!」

「あ、ああ…」


「もしも自由に飛べるようになったら外で一緒に飛んでみましょう!気持ちいいですよ!」

「そうだな、不自由なく飛べるようになったらな…あと暫くは妖精の体格になれる事は秘密でいいか?切り札にしときたいんだ」


「わかりました!リーダーさんやユリには伝えないようにしますね!約束です!」


フェルとそんな約束をしつつ、心の片隅でもうちょっとギュッと抱き着かれたかったなという邪念を感じつつも、自分は空中で武器を振れるようになるまで妖精の姿で飛行の特訓を寝る時間が来るまでするのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 同じ大きさになって好きな子に抱きつかれたらそりゃ混乱しちゃいますよね。
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