空を飛んでみよう
フェルの気が済むまで手をニギニギされた自分はなんとも言えない高揚?気分感?と顔が赤面しているのを感じつつも、次に得たスキルを試す事にした。
「次は飛行だな」
妖精状態で鏡を見ると、背中にはフェルと似た綺麗で銀色の羽が防具のジャケットを貫通して生えている。
フェルの青い羽の方が色鮮やかで綺麗だけど、こっちもなかなかいいな。
「飛行て、飛べるんですか?」
「飛べるはず!飛行!」
そう言って、跳躍してみるが、高度はジャンプの上昇力分しかなく、残り重力による落下して、地面に着地するだけだった。
「飛行…?」
「も、もう一回!」
疑問の眼差しを向けるフェルにもう一度試す、待ってくれ、TTも龍の力を得て飛行してたよな!理論的には行けるはずだ!
あ、そうだ!スキルもあるからそれも試そう!
「飛行!ヒートウィング!ひゃぁ!?」
ジャンプして、すぐさまスキル名を唱えた瞬間、視界が縦に何回転したと思ったら、地面が間近にあったと思ったら、次の瞬間最初に顔、次に首に痛みが走り、視界端のHPバーがガガッと二段階式にゴリッと削れてそのままHPバーが尽きて、眼の前は真っ暗ななる…。
「れ、レンナさん!?」
フェルの悲鳴が聞こえた瞬間、人間の大きさでフェルの前でリスタートする。
死んだら人化発動状態でリスタートするんだな…。
「えっと、レンナさん、レンナさんの羽から炎が吹き出して、すごい勢いで縦回転して、地面に激突したんですが、大丈夫ですか…?」
「………フェルてどうやって飛んでいるの?」
「え、えーと…羽を動かす?ど、どう説明すればいいんですか!?」
あわあわとなるフェル、まあ自分もどうやって歩いてるの?と言われたらフェルと同じように説明できなくてあわあわしてしまう気がする。
「す、済まない…難しい話だったな…自分もどうやって歩いているのと言われたら上手く説明できないし」
龍人モードで飛んでいたTTに頼ってみるか?いや、TTに貸しは出来れば作りたくない…。
貸しで無理難題ふっかけては来ないだろうが、変なことをふっかけては来そうだからな…。
「ふう、もう少し練習してみるか、フェル一旦飛んでみてくれないか?」
「はい、こんな感じに飛んでいます」
ふわりと飛行するフェル、羽はあんまり動いてないように見える、少なくとも高速で動かしているわけではないのは確かだ。
うーん、背中の羽で自分の体を持ち上げる感じなのかな?
「はあ!飛行!」
「飛ぶ際飛行と言わないといけないんですか?」
フェルのツッコミを受けつつ、飛ぼうとするが、飛行はせず、起こるのはタダの跳躍だ…。
「なあ、妖精達の子供の頃はどうやって飛ぶのを習ったんだ?」
「習ったと言われても、自然と出来たものなので…」
頭を悩ませながら自分の質問に答えるフェル…。
高所から飛んだら飛べる!なんてとても思えずテーブルから飛び降りて飛行を試みる!なんて例え生き返るとはいえ、さっきみたいにユリのマイホーム内で死にたくは無いので、高い所からジャンプして飛行訓練という案は頭の中で却下する。
1度床に突っ伏した状態で飛べるか試みたが飛べなかった…というかフェルもその状態で飛ぶのは難しいですよ?と言われたのでやはりジャンプからの飛行で飛ぶことを試みるが、やはり本来の体では持っていない羽を上手く扱うには時間がかかるのかな?
本当にTTは龍の力を得た後にすぐにビュンビュン飛んでたけどどうやってその技術を得たのやら…そう言えば夏イベントの雪山でも飛んでたっけ…?いやあれは滑空か?
そんな事を考えながらも背中に意識しつつ、ジャンプしていたら、フェルの大きめな声が聞こえた。
「あ、閃きました!」
「お?何を閃いたんだ?」
「断続的に地面に足をついているから駄目なんです、だから私がレンナさんを空中に持っていくので、そこで飛行する術を得てください」
なるほど!フェルはテレキネスという物を動かす魔法を覚えていたな、それで自分の服とかを浮かせて、そこで飛ぶ技術の訓練をすればより効率的に飛行の技術を得られそうだ!
「わかった!それじゃあ早速お願い、フェル!」
「は、はい!それじゃあ失礼します!」
フェルはそう言うと、真正面から抱きついてきた!