ホラーラン?
「お兄ちゃん、2時方向にゾンビが来るよ!」
「わかった!2時方向てこっちか!」
広いタスカ墓地を駆け抜けながら自分達よりも速い速度で追っかけてくるゾンビやスケルトンを倒していく。
断続的にゾンビやスケルトン、ゴーストが襲ってきて、シャトルランやっている気分になる。
『RTAやってるみたい』
『墓場の運動会だな』
コメントが流れているが、確認する暇はない。
「お兄ちゃん右!」
リオアの言葉で右から襲いかかってきた槍を持ったゾンビの攻撃を回避と同時に火光を首に突き刺して燃やし尽くす!
リオアは前方にいるスケルトンの頭蓋骨に聖水…ではなく鉄球のようなものをぶつけて粉砕している。
「お兄ちゃん!」
もはや具体的な指示すら無いが、声で何となくわかった、火光を振るい、火の刃と同時に風の刃を起動してリオアの頭上に向かって火の斬撃波を放ち、上から攻撃をしようとしていたゴーストを焼き切る。
「流石お兄ちゃん!MPは大丈夫!?」
「そろそろ半分になるし回復したい!」
やはりMP倍加がある状態だと火に弱そうなゾンビ相手に火光をブンブン振っていたら、あっという間に火光に溜め込んでいたMPタンクは空になり、自分のMPが減り始める。
「なら止ま…あ、前方からめんどい犬がくるよ!」
現状アルカナのカードの効果で戦闘状態を解除しないとMPは回復しない、だがリオアのカードの効果で遠くの敵すら引き寄せてきている為戦闘状態が解除できない。
前方から来たのは目がいかれて舌や牙を丸出しの犬…というには胴体が霊体といえばいいのか透けているのだ。
「うお、ゾンビ犬?幽霊犬?」
犬はリオアに噛みつこうとした瞬間フェイントのように強烈な速度でこっちに急接近して、足に噛みついてきた!リオアに攻撃するんじゃなかったのかよ!?
リオアがヘイトを集めている以上、そんなに攻撃が来ないと思っていたので回避はできなかった。
「ぐう、だあ!」
MPの温存して、アースキーで攻撃するが胴体をすり抜けた…犬は変わらず噛みついてくる!
ゴリゴリとHPバーが短くなる、捕食されてる気分だ、というか捕食されている…。
「お兄ちゃん!」
リオアの一閃が犬の頭部を貫き、犬を赤いエフェクトに変換させて撃破する。
「あの犬は頭部と足以外は物理無効だから気を付けてね」
「そうなのか…ともかく助かった…」
防具がドレスなせいか、HPバーが2割まで減ってしまった…HP回復には制限はないので回復薬を取り出して飲む…。
その間にゾンビが襲ってきたがリオアが守ってくれた。
『結構難易度高いな』
『タンクが足りてねぇな、あとヒーラー』
『シャベルと片手剣で戦うのてへんな人だよな』
視界端で流れているコメントが目に入る、まあ、変かもしれないがナナサカさんと何度も決闘という名の修行をした結果、完全にこのスタイルが馴染んだのだ、変える気はない。
「お兄ちゃんMP回復したいからスケルトンお願い!」
「わかった!」
リオアが回復している間に遅かかってきたスケルトンの相手をする、スケルトンのボロボロの剣をアースキーで受け流してから、跳躍してバットのようにフルスイング、アースキー先端でスケルトンの頭蓋骨を吹き飛ばした!
『ホームラン!』
『凄いな、明らかに戦闘向きじゃないドレスで良く戦えるな』
視界端のコメントが湧き立つ、そのコメントに意識が行っていると、もう一体いたスケルトンの攻撃への反応が遅れて、肩に錆びた剣が突き刺さる。
「くう!せりゃあ!」
アースキーをぶん回し、それをスケルトンに叩きつけると、スケルトンは粉々になった!
「お兄ちゃんおまたせ!リジェネエール!」
MPが回復したリオアから、持続回復の補助を受け取る、肩のダメージが癒えてありがたい、フェルとのシンクロ効果でリジェネレートは使えるがMP温存でどうしても渋ってしまうな。
「ありがとう、リオア!ボスまであとどのくらいだ?」
「あと少し!」
「ならこのまま突っ切ろう!」
全力で走り出す自分達、3分ほど走った結果、ついにボスぽい所にたどり着いた!