アルカナクエスト
「ふむ、貴方は始めてだから…まずは1枚引いてみて」
占い師が手を上げると、どこからともなくカードの束が現れて、空中でシャッフルされたとして思ったら、自分の眼の前に絵柄が見えない裏向きでバーと並べられた。
「1枚引けばいいのか?」
そう聞くと占い師は頷いたので、大量のカードの中から1枚引く、すると引いたカード以外は幻のように消えていった。
『Ⅵ:恋人』
『恋人のタロットカードを手に入れました。』
引いたカードには背中から白銀の羽をはやした女の子と手を繋ぐ、青い羽をはやした女の子の絵柄が書かれていた。
自分とフェルを連想する。
『恋人だー!』
『珍しいやつだ』
『女の子2人の絵はともかく、なんで羽生えてるんだ?』
コメント欄が盛り上がってるけどレアなのか、アイテム一覧で手に入れたタロットカードの詳細を確認する。
『恋人のアルカナカード
持っているだけで効果がある、異性のNPCと初対面時、好印象を持たれやすくなる場合がある、代わりにネガティブな感情を持たれた場合それが大きくなってしまう場合がある』
これメリット、デメリットあるのか。
「そのカードは初回サービスです、もしもタロットカードの効果を手放したい時は私にお渡しください」
「引き直しとかは出来ないのか、リオア?」
「お金はかかるけど一応出来るよ、かなり高いからおすすめしないけど」
「そうなのか、まあこれもなにかの縁だ、貰っておこう」
タロットカードをアイテム一覧にしまう。
「それではアルカナクエストを開始します…何枚引きますか?」
「3枚で!お兄ちゃんも3枚でいい?」
「良くわかんないからリオアと同じのでいいよ」
そう言うと、占い師はタロットカードを取り出して、それを宙にばらまいたと思ったら、カードは魔法のように宙に浮き、シャッフルされたとして思ったら、リオアの眼の前に3枚、自分の眼の前に3枚のカードが並んだ、全部裏向きだ。
「タロットよ、運命を示せ!」
占い師の言葉に反応して、自分達の眼の前のカードは回転して、絵柄を見せてきた。
『過去:塔、逆位置』
『現在:節制、逆位置』
『未来:死神、逆位置』
全部逆さまのカードは1枚に融合して、自分の手元に収まる。
『アルカナのタロットカードを入手しました、アルカナクエストが発生しました』
「なにこれかっこいいな…」
かっこいい演出に結構少年心を擽られる。
ひとまずタロットカードを調べる。
『アルカナクエストのタロットカード:起動中
何時でもオンオフが可能、起動中に下記の事をこなすとクエストクリアとなる。
ボス戦時ステータス上昇、ボス戦以外でステータス減少、戦闘中MP回復が出来ない、消費MPが倍加されている中、フォー街周辺のダンジョンのボスを撃破せよ、またダンジョンにいる間はオンオフの切り替えが出来ない。』
自分のステータスを見ると、消費MP倍加というデメリットの状態異常が付与されている。
試しにタロットカードを使用して、オフにしてみると消費MP倍加の状態異常が消えた…ひとまず起動中に戻す。
「なるほど、制限を受けた中でクエストをこなす感じになるのか、リオアはどんなカードをもらったんだ?」
「私は逆位置の隠者、正位置の運命の輪、力の正位置で…隠密無効、常時ヘイトを荒稼ぎする代わりにクリティカル攻撃しやすくなり、力のステータスが上昇した状態でダンジョンのボスの撃破ね」
お互いにタロットカードを見せ合う、なるほど、一緒にクリア出来る課題みたいだな。
『実質逃走不可で常時狙われるとか後衛クラスにきついカードだな』
『というかアイドルに生産クラスてバランス最悪では?』
『クリア頑張れー』
コメントを流し見しつつ、リオアにどのダンジョンに行くか聞く。
「うーん、フォー街範囲で行くならば…ああ、タスカ墓地がいいわね」
「タスカ墓地?なんかホラー系のダンジョン?」
「うん、ゾンビとか平気でしょ?」
「ああ、平気だ」
虫の方が何倍も怖いしキモい。
『お?ホラーで美少女の悲鳴が聞けるか?』
『だがレンナは男だ』
『2人共ホラーは平気そうだなー』
リオアもホラー系は平気だ、テレビゲームでナイフ1本とケリでゾンビ薙ぎ払って遊んでたから問題ないだろう。
「それじゃあ早速タスカ墓地へゴー!」
こうしてリオアの先導についていき、タスカ墓地に向かうのだった。