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鍛冶屋の息子、MMORPGにはまる  作者: リーフランス
図書館の奥底にあるナンバークエスト
355/626

かぎろい

アダマグマを撃破してアルゴンを見送った後日、チームゼロオーダーの工房で自分と出会う前にフェルに色々と教えていた教師のユキさんと再開を果たしていた。


「ユキさーん!」

「フェルは甘えん坊ね」


フェルとユキさんがギュと抱きしめ合う…には身長差が大きすぎるのでフェルがユキさんの手の内に入るような感じだ。


「うーん、なんかあれだ、ちょっとレンナさんと姉妹ぽく見える」

「いや自分は男だぞ…確かに白髪白目で似てるけどさ」


姉妹とか言っているリーダーさんにツッコミをいれる。


ユキさんはチームゼロオーダーに所属していないが、チームゼロオーダーの長であるリーダーさんにお願いして、ユキさんを工房の中に入れてもらったのだ。


「それで今日は火光の深化をするんだよな?ユキさんと一緒に鍛冶をするのか?見た感じ生産スキルは持っているように見えないが…?」

「いや、ユキさんのNPCの形見が火光だからちょっとね」


「…なるほどね、まあ万が一ヤバそうなら可能な限り手助けはするよ…まあ君達に出来ることはほぼ無いが、ユキさんを守ることくらいならできるし」

「そんな万が一は無いと思うけど…何かあったらフォローお願いします」


リーダーさんにお願いしてから鍛冶設備にアクセスして深化する為の操作をする。


深化対象は火光、そして素材はアダマグマのコアだ…リーダーさん達のお陰で苦戦はしなかったが、アルゴンの言ってた4つの厄災…オールモスキートと同じ感じらしいので、素材としては申し分ないだろう。


「フェルーそろそろ深化するぞ」

「はい!今行きます、見ててくださいユキさん!」

「ええ、鍛冶をする所を見せたいのよね、気をつけてね?」


ユキさんの手から離れて自分の側に移動するフェル。


「フェル、行くよ!」

「はい、頑張りましょう!レンナさん」


深化をスタートするボタンを押した直後に鍛冶設備から一つ火の玉が飛び出して、まるで誘導弾みたいに自分に向かってくる!

戦闘を想定してなかった為、避けれずに直撃する…。


…だが熱さはない…マグマに落ちた時の熱い風呂に落とされた感じではなく、寒い日にコタツに居るくらいの温かさだ…その代わり眼の前が真っ白で身動きできないが…。


「すまない、体を貸して欲しい」


そんな言葉と共に眼の前にシステム画面が現われる。


『警告

貴方の体が乗っ取られようとしています、このままでは貴方がこの世界に干渉する体を失います、抵抗しますか?』


赤文字でかなりヤバいと主張してくるが…貸して欲しいと言ってきた声に心当たりがある。

2回聞いた事がある、1度目は火光を作った時、そして共鳴の試練のフェルの過去を追体験した時だ…。


口は動かせないから心で強く念じる、貸すけどきっちり返してくれよ、カギロイ。

次の瞬間体の自由が奪われる、片目が見えなくなったように暗くなる。


「レンナさん!?返事してください!?り、リーダーさんどうしましょう!?」


「落ち着けフェル、レンナさんのHP…生命力を確認したけど、HPだけじゃなくてMPも減ってない…なにこれ?知らん…少なくとも深化したならMP減るんじゃ…」

「………えーと、どうすればいいの?これ?私の知ってる鍛冶じゃない…」


3人の声もなんか遠く聞こえる…これは片耳しか聞こえてない?というか他の人からしたら、まだ体燃えてるの?


「ありがとう…暫く体を貸してもらうよ」


自分の口から自分ではない声が聞こえる、それと同時にまだ見えている片目の視界が正常に戻る。


「「え!?カギロイ!?」」


フェルとユキさんの声が重なる、視界が動かせないせいで状況があんまりわからない。


「なにあれ!?コンファイン!?ステータスも不明に変化してるし…名前も不明に変化している!?」


リーダーさんは興奮している。


「ごめんフェル、君の大切な人の体、借りさせてもらったよ」

「…どうゆうことだよレンナさんは鍛冶屋であって、巫女とかネクロマンサーじゃないぞ!?」

「説明したいけど時間がないから自力で考えてくれ、魔術の賢者よ…ユキ様…久しぶりです」


視界が動き、ユキさんを捉える、ユキさんが大きく感じる…。


「ほ、本当にカギロイなの?」


「完全に完璧にカギロイというわけじゃないよ…武器に宿った残滓で、記憶の多くが欠けているから本当にカギロイと証明することが出来ない…それでも花畑でユキ様と会ったのは覚えているよ」


「そう…なのね……あはは、なんか言うべきなのに言葉が出ない…」


ぺたんと座り込むユキさん、その目には涙を浮かべている。


「カギロイ!あのえっと、あの時ムカデに襲われた時に助けてくれてありがとう!お陰でオールモスキートを倒して犠牲になった人達の敵が取れました!」


フェルは言葉に少しだけ迷いがあったが、共鳴の試練の追体験の最後で見た、オオムカデに襲われて、カギロイに命がけで助けられた事のお礼を言った。


「ああ、ありがとうフェル…生きててくれて…」


カギロイがそう言うとフェルは泣き始めてしまった。

くそ、何も出来ないのが歯がゆい。


「………ゴメン!カギロイ!あの時の何も出来なくて!あっさりオールモスキートに倒されて…敵を討つことも出来なくて!!」


ユキさんが発したのは謝罪だった…。


「謝らないでくださいユキ様、私の死はユキ様のせいでも、ましてやフェルのせいでもない…それに私の限りある時間をユキ様を泣かせる為に使いたくありません…」


「無茶言わないでよ…もう二度と会えない存在と急に出会って!でも時間制限ありとかもう、頭の中ぐちゃぐちゃよ!」


少し逆ギレした感じがするユキさん、フェルは驚いているし、リーダーさんの視線は別の方向へ向いている、目をそらしているというよりか何かを気にしている感じだ…。


「私は記憶がかけて頭の中がぐちゃぐちゃだし、そこら辺はお互い様かな?でもこれだけは言わせて欲しい…君と冒険出来て良かった…だからこれからは私の事を気にせずに冒険して欲しい」


「なんていう無茶振りを言うのよ!バカカギロイ!気にするわよ!相棒失って1人で冒険てかなりしんどいのよ!だけど…カギロイと冒険は楽しかったよ…」

「……私も楽しかった……あ、そろそろ時間みたいだ…」


え?もう時間なの?まだ貸してていいけど…いや、自分が大丈夫でもカギロイがだめなのか…。


「そんなえっと…カギロイ!………ありがとう、さようなら…」

「カギロイ!さようなら!」


驚き、カギロイの名を叫ぶが少し間をおいてなんとか気持ちに整理をつけたのか、カギロイに別れを告げるユキさん、フェルも続けて言葉を紡いだ。


「今までありがとうユキ様、フェル…フェアリーガーデンの皆によろしく言っておいてくれ…死者からの遺言て変かもしれないけどな」


そうカギロイが言った瞬間、視界が再び真っ白になったと思ったら、体の自由が聞くようになった、視界も聴覚も完全に治っている。


「あ、姿がレンナさんに戻った、なあさっきから気になってたけど、深化開始から1度もハンマー振るってないけど武器大丈夫?」

「え!?」


体も自由に動くので、リーダーさんの言葉で、咄嗟に金床を見ると深化成功のシステム画面が現れた。


「なんで成功しているんだ?仕上げボタンも押して無いのに…そもそもハンマーで叩いてないし…」


色々と気になるが、ちょっと取り敢えず置いておく、今はユキさんとフェルのフォローだ。


「えっと、2人共大丈夫?」

「大丈夫じゃない…ただの鍛冶する所を見るだけたと思ったらとんだイベントが発生するとは思ってなかったわよ…」

「ぐす…ぐす……」


やべぇ、2人共泣いてるし、どうすればいいんだこれ…おい、カギロイもうちょっと爽やかな別れをしてくれ!?


どうすればいいのかわからずに困惑していると、システム画面が現れた。


『カギロイの力の一片を継承しました、レンナの複数のスキルがレベル10になりました、複数の結合進化が可能です』

『レンナは戦技:ヒートウィングを習得しました』

『レンナはスキル:飛行レベル1を習得しました』


ああ、もう情報過多!?まだ深化してない火光の性能も見てないのに!?


自分は一旦新情報や火光のステータスの確認をせずにフェルとユキさんを慰めるのだった。





「ありがとうね、レンナさん、カギロイと合わせてくれて…まさかまた会話出来るなんて思わなかったわ…なんかスッキリしたわ」

「どういたしまして…もしかしてと思ってユキさんが居る時に深化してよかった」


数分後泣き止んだユキさんからお礼を言われた。

するとピピピとアラームがなる音が周囲に響き渡る。


「あ、時間だ…ゴメンフェル、レンナさん、私もう帰らなきゃ」

「ああ、またな」

「また会いましょうユキさん」


どうやらユキさんのログアウトする時間でユキさんはログアウトしていった。


「お疲れ様だ、レンナさん…称号とか手に入れたのか?」


リーダーさんに質問される、リーダーさんから見たら称号ゲット位の凄い事をしたのだろう。


「いや、手に入れたのは羽が必要だけどあれば飛べる飛行スキルと…羽があればMPを50使って、一定時間羽に火を纏わせて飛行性能強化、戦いの際は羽から自動的に火の弾丸を撃ってくれるスキルだな」


人間だと使い道が無いスキルだが…システム画面を呼び出して、スキル画面を確認すると複数のスキルがレベル10になっていて、結合進化可能だった…結合進化可能一覧が見れたので確認すると、その中には道具術と妖精の血の組み合わせもあった。


つまり妖精になれば使い道はある。


「カギロイからの贈り物ですか?」

「多分な…ありがたく使わせてもらおう」


次に自分は火光の性能を確認してみる…だが、性能に変化は何一つ無かった、ただ説明文に1度深化したというのと、もうカギロイの魂の残滓は居ないと二文が追加されただけだった…いや、まあほぼ加工してないし、性能に変化ないのは納得するが…パワーアップしたのは火光じゃなくて自分自身て変な気分だな…。

そしてカギロイの魂も成仏していったのか…まあ、満足したのならばやってよかった。


こうして火光の深化は終わった…。

結合進化は複数選択可能なので後日に回すことにした。

火光深化後のステータス

レンナ レベル41 性別:男性

クラス:妖精鍛冶匠/妖精鍛冶屋


ステータス

HP192 MP506


力:168

防御:123

器用:329

敏捷:182

知力:266

運:70


スキルレベル

呪血鍛冶:9、強化:10、修理:5、裁縫:8、細工:4、逃走術:7、投擲術:6、道具術:10、剣術:10、二刀流:9、回避:10、加速:4、頑強:3、鑑定眼:8、即死耐性:5、シンクロ:5、献身:10、不屈:10、採掘:6、状態異常耐性:2、空中姿勢制御:5、飛行:1、妖精加護、人化、

獲得称号:8つ


習得スキル

戦技:無魔技手(全ステータスアップするが、効果中、自分で習得した攻撃技、魔法全般が使えなくなる)

戦技:ヒートウィング(MPを消費して羽に火を纏い、飛行性能強化&一定時間敵に向かって自動で羽から火の弾丸を撃ち出す、羽がない場合は使用不可)


メイン武器:アースキー

特筆効果:攻撃の肩代わり(フェル)、地門、双地門、妖精の祝福


サブ武器:火光

特筆効果:MPタンク、火の刃、風の刃、妖精火門


メイン防具(上):レッド・ガード

特筆効果:HPMP依存防御、最大HPMPアップ(中)、確率クリティカルガード(胸ポケット)


メイン防具(下):妖氷のズボン

特殊効果:氷属性耐性(大)、滑り軽減(中)


アクセサリー:妖精と鍛冶屋の指輪

特筆効果:シンクロ強化、場所共有、破壊と盗み無効


フェル 性別:女性

ステータス:不明


スキル

リジェネレート:持続回復

フェアリーウィッシュ:幸運上昇?

スリップガード:持続ダメージ軽減

オールアップ:全ステータス強化

エレメントブースト:属性強化

ライト:照明魔法

スタンガード:スタン予防

テレキネシス:物を動かす力

ブレイブハート:困難に抗うほどステータス上昇

マジックリフレクト:魔法反射

アイスガード:耐寒付与

フロートシューズ:浮遊して足場の影響力無効


装備

メイン武器:ネージュフラワー

特筆効果:妖精氷門、ユキの魔術(色んな攻撃魔法が使用可能)


メイン防具:黒縁の外装

特筆効果:MP持続回復(中)、1日1回ファイナルターミナル、装備制限(妖精)


サブ防具:小さなラビットローブ

特筆効果:運増加(大)、耐寒耐性(大)


アクセサリー:妖精と鍛冶屋の指輪

特筆効果:シンクロ強化、場所共有、破壊と盗み無効

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― 新着の感想 ―
[一言] もうカギロイはいないんですね。 ユキさん、フェルもまた話せてよかったね。
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