絵本:妖精冒険者と鍛冶屋
これはとある次元、とある世界の物語。
とある田舎に鉄を叩き、生活道具を作り、生計を立てる鍛冶屋の少年がいました。
ある日、少年のもとに小さく麗しき妖精の冒険者が現れて、妖精は少年に依頼をしました、どんな化け物でも斬れる剣を作って欲しいと…そうして渡された報酬は、金銭価値のない綺麗な宝石だった。
本来は受け入れる理由はなかった少年だったが、二つ返事で受け入れて、思いを込めて少年の技術を詰め込んだ剣を作り上げました。
少年の剣を受け取った妖精は少年に感謝を伝え、去ろうとする所を少年は呼び止めた。
「その剣をどう使うの?」
少年の質問に妖精はこう答えた。
「私は、故郷を救う為にこの剣を振るうのです、たとえ差し違えになったとしても…故郷で苦しむ同じ妖精を救う為に」
妖精の答えに少年は同行を志願する、一度拒否する妖精だったが、少年は決して引かなかった為、妖精は諦めて同行を認めた。
その後二人の長い冒険が始まった、大地の洞窟を潜り抜け、火を越え、水を切り裂き、風を潜り抜け、二人は絆を深めて道を切り開き、ついに妖精の故郷にたどり着いた。
妖精の故郷で待ち構えていたのは、妖精達を苦しめる元凶、異形の化け物だった。
生きて帰れる保証のない死闘になる戦いになると察した妖精は、少年を死なせない為に少年を置いて、少年が作った剣を手に一人で戦いに挑みに行く、少年がついてこないようにあえて嘘をついて、嫌われるように喧嘩別れして…。
されど異形の化け物は強く、妖精は長時間の戦闘の末に追い詰められて、心を折られてしまう、異形の化け物が妖精の冒険者に向けてトドメの一撃が放たれる、されどそのトドメの一撃を阻止したのは鍛冶屋の少年だった。
決して来ないと思っていた思っていた少年に驚く妖精、どうしてと言う妖精の言葉に少年は答えた。
「本当に俺を嫌っているなら、つきたくない嘘を言う時、倒れそうな今の何倍も泣きそうな、苦しそうな顔をしないでよ…大切な人が苦しむ姿はもう見たくないよ!だから俺はなにがあっても一緒に戦う、諦めないで!」
少年の言葉によって、再び戦う気力を取り戻した妖精、二人で協力して異形の化け物に挑み…ついには異形の化け物を打ち倒して、妖精の故郷を救ったのだった。
その後妖精の冒険者と鍛冶屋の少年は妖精の故郷で末永く仲良く暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。