ゆったり過ごすならフェアリーガーデン?
「ふう、どうするかな…」
帰宅して一息つく。
てっきりナンバークエストを受けて強い武器を作るために動く事になると思っていたが、見えてきたのは目標の敵が半壊している可能性が高いという話だ。
オールモスキートは間違いなく撃破している…トドメ刺したのは黄金蜘蛛だったが、その黄金蜘蛛は撃破している。
そしてアメノカズチ…最も強い敵と言っていたがナナサカさんに倒されている可能性が結構ある。
それと場合によってはアダマグマとアルターミラーも倒されている可能性がある、それを知るためには知ってそうなリーダーさんに聞くのが1番だが、今はログインしていない。
言うなれば今の時間は暇状態だ。
「それなら火光の深化をしませんか?レンナさん」
なにするか悩んでいるとフェルが提案してくれた。
「火光の深化は…素材が無いのと、ちょっと今はしたくない理由があるかな」
「今はしたくない理由?」
「深化時に武器が喋っていただろう…もしかしたら火光に宿っている可能性があると思ってね…前の持ち主の魂が」
よくよく思い返せば火光を作った時にも火光の名前の元になった、前の持ち主の声を聞いた気がする。
「なるほど…カギロイの魂が…それならユキさんが居る時に深化するんですか?」
「ああ、出来ればそうしたい…だけど問題は…ユキさんのログイン率の低さと深化素材だな…」
ユキさんはフレンド一覧にある最新ログイン履歴を見た感じ、週1でログインしているみたいだが、自分がログインしている時にユキさんもログインしている状態になっているのを見たこと無い…ので時間を合わせるのが大変だ。
それに深化する際の素材は質よりも、苦戦した相手の素材の方がいいと言っていた、だがオールモスキートの素材はもう無いし…次に苦戦した黄金蜘蛛の素材もない。
ナナサカさんから血を貰うという案もあったが…ただでさえ呪血鍛冶の特殊行動で自分の血を火光に吸わせるのに、これ以上色んな種類の血を吸わせると、良くない魔剣とかになりそうでちょっと怖いんだよな…。
「そうだ!それなら私の故郷に行きませんか?オールモスキートが封印されてた場所に何かアルターミラーやアダマグマの情報があるかもしれません!」
「なるほど…そう言えば、平和になったフェアリーガーデンを全部を見て回ったわけじゃないから、もしかしたら何かあるかもしれないな」
仮に情報がなくても華やかなフェアリーガーデンを歩くのは楽しいからな、あそこは秋だろうが冬だろうが花見を楽しめていいし、リーダーさんを持つための時間つぶしになる。
まあ、リーダーさんが今日は仕事とか何かでログインしてこない可能性もあるが、そうなったらそうなったで後日聞けばいいからな。
こうして自分達は再び魔本の図書館に向かい、中間地点にある転移魔法陣からフェアリーガーデンに向かった。
魔本の図書館を行ったり来たりしているが、時間制限があるわけもなく、別に効率を求めている訳じゃないのでゆったり移動する、まあ道中は野生の敵におそわれる可能性があるから警戒だけは怠らない。
特に危険な事は起こらずに、フェアリーガーデンに到着する。
「フェル、オールモスキートが封印されてた所は知っているのか?」
「はい、こっちです!」
フェルの道案内に従い、足を動かす、道中で他の妖精と出会うと、両手を振って歓迎してくれる。
「おかえりフェルーいらっしゃいメシアー」
「おーなにしてるんだ?」
「かくれんぼー!僕が鬼ー」
「そうなのか、頑張れよー」
ほのぼのと言葉を交わしてすれ違う。
数十歩歩いていると、花に紛れて隠れている妖精とバチリと目があった、かくれんぼしていると思われる…今声を出すと鬼役の妖精に確実に見つかってしまう為、そっとしておいた。
「平和ですねー」
「そうだな」
フェルとのんびりと言葉を交わしつつ、フェルの案内に従って歩いていると、オールモスキートが封印されたらしい所にたどり着いたのだが…。
「……壊れた石のオブジェがあるだけだな」
なにか情報があればいいなと壊れたオブジェを鑑定眼で調べたが、壊れているという情報が出てくるだけで、特にこれといってなにかわかる事はなかった、地面になにか埋まってるかなと思い、アースキーで花畑を荒らさないようにしつつ地面を掘ってみたが、何も出てこなかった。
「うーん…外れだな!というかこの石のオブジェで封印してたらしいけど、どういう技術なのかもさっぱりだ」
でももしも封印がゲーム的ご都合主義パワーだったら理解しようないなと思っていながら、ふとフレンド一覧を見てみると、リーダーさんがログインしていた。
今ならアメノカズチとかアルターミラーとかアダマグマとか色々と情報が聞けるかもしれない。