VSユリ!
「妖精火門!」
初手に動いたのは自分だった。
初手必殺技、決闘時周囲を決闘に巻き込まないように展開されるバリアは決闘する分には十分広いが、レンナが潤沢に持つ全てのMPと火光に込めておけるMPタンクを消費すると引き換えに放てる高火力広範囲攻撃技、妖精火門はバリア内の半分を焼き尽くす!
兄として容赦無い気もするが、アイドル衣装のフェルを見てみたいので初手一撃必殺を使わせてもらった。
「アサルトピアース!」
「えうおお!?」
油断してたら頭上からこちらの頭を貫かんと、ユリが攻撃してきた!
辛うじて回避したが、あと少し反応が遅れてたら確実に脳天貫かれて即負けだっただろう。
「か、回避できるの…?」
「来るとわかっていれば、ミラージュステップで簡単に回避できるよお兄ちゃん」
やべぇ完全に初手読まれてたのか…妖精火門で全てのMPを使い、火光はガス切れの点火棒と同じになった。
火光をシステム的に収納しようとすると、ユリが両手で持った、レンフェルソードで切りかかってくる!その攻撃をアースキーで受け止める!
「悠長にシステム操作させると思う?」
「くう…すまん火光!」
片手だとドンドン押されていくので、火光をバリアの端に向けて投げ捨てて、アースキーを両手で持ち、なんとか押し返す!
「無魔技手!」
「クイックステップ、ダブルスラッシュ!」
新たに覚えた力を使った瞬間、技なんて使わせないぞと言わんばかりに二回攻撃を差し込んでくるユリ、それを受け流す!
「何したのお兄ちゃん?」
「自己強化しただけだ!」
そう言葉を交わして、一撃を入れようとするが、アースキーは空を切るばかりだ。
「なあなあリダー、よくよく考えたら、リオアの使ってる剣もレンナ殿の作品だよな?レンナ殿はどっちにしろ自作の武器に斬られるんだから、俺が決闘しても良かったんじゃ?」
「決闘ジャンキーはビーフジャーキーでも食ってろ」
「それうまいこと言ったつもむぐ!?塩味効いてる!!ビール食いてぇ!」
リーダーさんとナナサカさんの声が聞こえる、ビールは食い物じゃないだろと内心ツッコミを入れるがすぐに決闘に集中する。
「ぷ…くく…」
「そこぉ!」
ユリにも二人のやり取りが聞こえて、面白かったのか、笑いが漏れて僅かな隙が隙が生じたので、アースキーを突き出して攻撃した結果、アースキーはユリの肩に突き刺さる!
その結果、ユリの頭にHPバーが現れて、3割ゴリッと減少した。
「くぅ…お笑いチートコンビは黙ってて!」
「周りの声に惑わされるやつが悪い」
「はいはい、黙ってようね、サイレス」
「ーーー!」
ナナサカさんが魔法で声を奪われているが、スルーしつつ、ユリのHPを削り切る為に攻撃を続ける。
「補助スキルは使わないのか?エールとか使ってたよな?」
「私のやつは自分には使えないのよ!パラライズウィンク☆」
鍔迫り合いなり、その時に質問したら、返答と言わんばかりにスキルを使ってきた、その結果体はバチリと電流が走り、硬直してしまう。
動きたくても体は痺れたように動かず、明らかに致命的な隙を晒してしまう。
「はい、これでおしまい!アサルトピアース!」
「がぁ!」
いつもフェルが入ってる胸ポケットの所にレンフェルソードによる鋭い突きが突き刺さり、体は大きく吹き飛び、体はバリアに叩きつけられた!
HPが全損したかと思ったが、視界端にある自分のHPバーは6割消し飛んだだけで済んだ…普通に負けたと思ったんだが…。
「あーそう言えばお兄ちゃんの防具、胸ポケットに確率で攻撃のダメージを無効化する効果あったんだっけ、忘れてた、首を狙っておくべきだったわ…」
「運に恵まれたのか…」
HPが6割消し飛んだのは壁に叩きつけられたダメージかな…。
どちらにせよHPの割合ではこっちが不利になってしまった。
立ち上がろうとすると、直ぐ側に火光が落ちていた。
「ブレードブーメラン、フィナーレ!」
ユリはこちらに向けて、レンフェルソードを投げて攻撃してきた!
「火光!」
火光を拾い、迎撃するように投げる!
火光とレンフェルソードはぶつかり合い、レンフェルソードは大きく軌道が逸れる!
「そこだ!!」
一気にユリに接近して、全力の一振りで攻撃する為に跳躍してアースキーを振り上げる!今のユリは武器を持っていない、勝てる!
「マジックショット!」
そう思った瞬間、ユリの手から魔力の弾丸が生み出される、跳躍した結果、地を蹴れず回避が出来ない自分は、顔面に魔力の弾丸を叩き込まれて、自分のHPはゼロになった…。
……決闘後、武器を投げた時の隙の対策とか勿論するだろうになんで勝てると思ったし!と自分は内心全力で悔しがるのだった。