力試し、戦う相手は…
「ただいまー…というには少し変か?」
工房に戻ってきて、ただいまと言いつつ、その言葉に疑問をもつ。
「別にただいまでもいいと思うぞ、こいつは工房にも行ける権限持っているけどチームには入ってないからな」
リーダーさんはそういいつつ、ナナサカさんを指さす、ナナサカさんはソファーで横になり、まるで実家のようにお菓子片手に寛いでいた。
「まあ、いいじゃん一時期俺もチームに入ってたからな」
「今は入ってないんですか?」
「ああ、刀神になった時に自動で脱退しちゃったんだ、クラスのデメリットだな、まあ、ゲストとして入り浸れるからそんなに困ってないが」
フェルの質問に答えるナナサカさん、刀神は本当に制限が多いんだな。
ゲストは自分達みたいにチームには入ってないけど施設に出入りする権利がある人たちかな?
「それよりもクラスチェンジしたんだろ?早速決闘しようぜ!深化した刀の切れ味も試したいしな!」
「ピコハン!」
ナナサカさんの頭上におもちゃのハンマーが現れて、ピコン!とナナサカさんの頭とぶつかり、いい音をだして、おもちゃのハンマーは消滅した、ナナサカさんは頭から星を出して気絶している…。
「あのな、深化させてくれた相手で試し斬りをしようとするな!」
「ご、ごもっとも……でもピコハンは止めてくれ、ダメージはなくても俺は確定で数秒動けなくなるし…」
いや、別に生き返れるから試し切りされても構わないんだが…。
「決闘するなら…ユリとレンナさんが戦ってみたらどうだ?お互い上級クラスになったばかりだし、支援クラスと生産クラスでちょうどいい戦いになるんじゃないか?」
リーダーさんがユリとの決闘を提案してくる。
「え、お兄ちゃんと決闘?」
「いや、流石に身内と戦うのは…」
「いいね!お兄ちゃん、私が勝ったらお高い所の限定フォンダンショコラ奢ってよ!」
ユリが最初戸惑うような声を出して、自分は拒否しようとしたら、速攻で乗る気になったユリ。
「…好きなのは分かるが、そんなに高頻度にフォンダンショコラ食ってたら、体に良くないぞ」
「デザートは外出時以外は1日1つにしてるから大丈夫!」
「というかこの掛けだと自分は何が貰えるんだ?」
こっちは現実のフォンダンショコラを買う金を掛けるならば、ユリも何か掛けないと、フェアではない。
「うーん…それならば…お兄ちゃんが勝ったら、フェル用のアイドルの衣装をプレゼントしましょう!」
「それ作るの俺だよな!?」
「良いでしょリーダー、お金は払うんだし」
「…めんどくさいが、まあいいや、レンナさんが勝ったら、ユリのお金で作ってやるよ」
リーダーは渋々?呆れ?ながらも、自分が勝利時はフェルのアイドル衣装を作る約束をしてくれた。
アイドル衣装のフェル…見てみたいな…。
「それじゃあリーダー、部屋広くして決闘スペース作って!」
「はいはい」
リーダーさんがシステム画面を操作する、工房の壁の一部が無くなり、代わりに消えた壁の向こう側に、広いスペースが現れる、ゲームだからこそ出来る高速リフォームだ。
「よし、早速決闘だよ、お兄ちゃん!」
「わかった、フェル離れてくれ、今回はサポートせず見ていてくれ」
「わかりました、2人共、決闘が終わったら仲良くしてくださいね?」
フェルが若干心配そうにしながらも胸ポケットから出て、リーダーさんの隣まで移動する。
『ユリから決闘を申し込まれました。
ルール
戦闘時間:3分
対戦形式1対1
勝者の報酬:なし
死亡の有無:なし
戦闘終了後決闘前状態に復元:あり
レベルシンク:なし
HP可視化:減少時表現
決闘を受理しますか?』
アースキーと火光を取り出してから、ユリからの決闘申請を受理する、すると周囲を巻き込まないようにバリアが展開される。
「手加減しないからね、お兄ちゃん!」
「それはお互い様だ、ユリ!」
「「決闘!!」」
こうして普段殆しない兄妹喧嘩みたいなもの?が始まった。