2つの声
『3つの声の中から、レンナの妹を全て選択せよ、なお声の提供者は妹のユリ、レンナの相棒、リオアとなっている』
「はあ!?いや、これ視聴者わかるの!?5万人の視聴者置いてけぼりじゃない!?というか視聴者は答えわからんだろう!?」
「今6万人だよ、あとリスナーには答え見えてるよ」
「なんで増えてるの……」
なんでぇ?アイドルが有名でもない一般人にクイズや質問しているだけの明らかに変な配信なのになんで増えるの??
というか声の主にフェルがいる気がするんだけど???
「はい、まずは第1の声ー!」
リオアは自分の疑問をスルーして、1人目の声が流れる。
『やっほーお兄ちゃん!私が君の妹だよ』
うん?これが妹の友奈…ユリの声では?
「第2の声ー!」
『やっほーお兄ちゃん!私こそがレンナの妹だよ』
あ、やべぇ全く同じに聞こえる…でも少しだけリオアぽく思えてるくる…?
「第3の声ー!」
『や、やっほーお兄ちゃん、私は妹だよ…?』
「相棒何やってるの!?!?」
最後の声は恥じらいに満ちた声で、前2つの声と全く違う…て、1回聞いただけでわかった、フェルの声だこれ!?
「えーと、つまり、2つの声の中からユリを選べばいいのか」
そういうと、眼の前に丸いボタンに1、2、3と書かれたシステム画面が現れた
「今回の答えは口じゃなくてタッチパネルで答えてね、一度押して、赤くなれば選択済みになって、OKボタンを押したらファイナルアンサー、回答になるよ」
ひとまずボタンをポチポチ押して見る、やろうと思えば3つのボタン全てを赤くすることが出来るのか…。
まあ、そんな状態でOK押したらフェルとリオアを妹判定を出すことになって、アイドル衣装を着る羽目になるので、絶対に押さないが。
「うー…もう一回、1と2の声を聞かせてもらっていいか?」
「いいよー!」
再び妹とリオアの声を聞く、発音のニュアンスがちょっと違うが、どちらも妹が言いそうな、ニュアンスでどっちがユリかわからない…。
「ひ、ヒントはないのか?」
「ヒントはないよ、まさか妹の声がわからないと言うの?」
「ははは…そんなまさか…」
思わず見栄を張ってしまう、声を提供しているということはユリはほぼ確実に、配信を見ているだろう、そんな状況でヒントを聞いたり間違えたら、拗ねられそうだ…間違える事は出来ない…。
「もう1回聞いていい?」
「いいけどリスナー待たせるのも良くないし、次で答えてよね、妹もハラハラだよ」
リオアはそういうともう一度声を流してくれた。
ほぼ瓜二つの声……それを耳に神経を全集中させて聞き取る。
「…………最初の声が妹の声だ!」
1番ボタンだけを赤くして、OKボタンを押す!
ブー!!!
過去1番デカく不正解音が鳴り響くと同時に自分の体は落ちた。
「ひゃあ!?」
急に浮遊感を感じた瞬間、視界は下にスライドしたと思ったら、体は柔らかなクッションに受け止められていた。
びっくりして、恥ずかしい悲鳴が出てしまった。
「な、なにこれ…落とし穴…?」
「残念だよ、妹の声がわからないなんて…」
リオアが上から覗き込んでくる、なんで自分は落とし穴に落とされたのか全くわからないが…まあ、これは妹の声を見極めれなかったことに対するバツとして受け入れよう。
「2だったか…」
そう口にするとブー!!!と、再び不正解音が鳴り響く…なんで!?
「それも不正解だよ、3は相棒で合ってるけど」
「待ってくれ!それだと問題として成立してないぞ!?」
1でも2でもない、3は論外なら、どれ選んでも不正解じゃん!?
「お兄ちゃん、問題文を良く見て、妹の全てを選択とあるんだから複数選ぶ事も出来るんだよ」
リオアからユリの声が聞こえる、理解が出来なくて、カメラにはポカーン顔を晒していると、リオアはあるものを取り出した、最初にフェルと共に作った、妹の剣、レンフェルソードだ、鑑定眼で見たから間違いはない、武器のステータス大幅に上がっているのはリーダーさんが強化した為だろう。
「え、え!?なんでそれを?」
「なんでて、誕生日の時に私の為に作ってくれたじゃん」
思考が停止する、つまりリオア=ユリ=友奈=妹ということ…?
辛うじて状況を飲めたと同時に、リオアはあるものを取り出した。
【ドッキリ大成功】と書かれたプラカードを…。
一分くらい自分は絶句していた。