木曜日、高田の暴走?とツインテール
「おいー錬那!」
文化祭の前日で準備に沸き立つ学校のお昼休みにて、高田が声をかけてくる。
「なに?」
「コスプレ衣装出来たから着て欲しい」
何言ってるだ?
「何言ってるんだ?こっちは大道具係で、当日はやっても裏方、前には出んぞ?」
「まーまー、まずは一度見てくれ」
そう言って、高田が見せてきたのは植物をモチーフにしたドレスだった…。
というか心なしか、フェルから貰った植物ドレスにかなり似ている…気がしてくる。
「性別間違えてないか?」
若干震えた声で聞くと、高田はイタズラ心に満ちた声で言った。
「意図的だ!」
「色々と無駄遣いだろ…着ねーぞ、というか、なにをモチーフにしたんだそれ?」
「ファンタジーフリーダムでお前が着てたやつ」
「おう、そのとんでもない事する指先潰していい?」
高田の手を掴み、ギリギリちょっと痛い程度の締め付ける攻撃をしかける。
「やめ、プログラマーとしての時価99万の指が砕ける、やめ」
「高いなおい、とりあえず着ないからな?というか無理があるからな?」
高田の手を放す、現実の自分は学生男子として平均的な身長だが腕は太めで筋肉質、当然ながらドレスなんて似合わない、当然だが、顔もレンナとは別物だからな。
「というかいつの間に作ったんだよ」
「余ったの布でこう、ちゃちゃっとね、流石に余り物でやったからそんなに似てないデザインになったちゃった」
「ドレスに一着分の布が早々余るか!?というか無駄に器用な事してるな!?ドレス作るなんて大変だろ、というかサイズとかどうやったんだよ!?」
見た感じサイズは自分に合うように作られている、腰回りとかそこら辺の測られた記憶ないぞ!?
「長年の仲だろ?いくらでも測りようがあるぞ?」
「着ないからな?着たら最後、写真取られて、デジタルタトゥーというのになるんだろ!?ファンタジーフリーダムならともかくリアルでそれは勘弁だよ!?」
そういうと、ちぇーと、高田は引き下がった、ドレスは多少修正すれば、露出の少ないドレスとして使えるみたいなので、他の人が着れるようにするらしい。
全く、とんでもない事を仕掛けてくるな…というか調整すれば男性でも女性でも着れるドレス作るとか、プログラマー志望と言ってたが、デザイナーでも食っていけるんじゃないのか?
そう思っていると昼休みが終わる音がなる。
午後は授業が一つと後は文化祭の準備だ。
個人的にはそれよりも今日のリオアとのライブ配信に意識が行ってしまう。
結局リオアと会えずじまいだ。
どうすんだろう?ライブ配信に出演て何すればいいんだ?
一応髪型を変える用の髪留めやヘアゴムは買ったが…結局なにするかわからないんだよな…。
考えた所で答えは出ず、出できたのはリオアのライブ配信に出たらTT…高田が羨ましそうに見てきそうだなと考えくらいで、時間が流れて、学校が終わり、自分はファンタジーフリーダムの世界に降り立つ。
「おはようです、レンナさん!」
「フェル、今日はお留守番頼むな」
今日はリオアのライブ配信に出るので、フェルはお留守番だ。
ひとまずドレスに着替えて、ヘアゴムを使い、髪型をツインテールにする。
化粧は出来ないが、髪型を整える位はできるさ…髪型を変えただけでおしゃれになるのかな?これ?
あとよくよく考えたら、これは変装ぽくなるのかな?出演後、有名になって、追いかけ回されたら嫌だし…ドレスになって髪型を変えたら、かなり本来のレンナとかけ離れてるはずだ。
「ツインテールのレンナさん、可愛らしさがきわだちますね!」
「そ、そうか」
リアルで言われたら嫌だが、ファンタジーフリーダムの世界なら別に問題はない。
「それじゃあ行ってくる」
「はい、行ってらっしゃいです!レンナさん」
身だしなみを整えた自分は工房に向かった。
レンナがチームゼロオーダーの工房に移動した後、フェルはユリから渡されたパソコンを手にする。
「えーと、これをこうして」
フェルはパソコンを操作して、1つの動画配信サイトをパソコンから呼び出す。
そしてフェルは検索欄にリオアと入力すると、リオアのアカウントが現れる、そこには1つのライブ配信の予約画面があり、そこにはこう書かれていた。
『【本番!】ドッキリ込み、同じゲームをやってる兄にヴァーチャルアイドルやってることを色々とカミングアウト!』