不安な明日と今日の行動
ひとまず、ユリがシステム画面から連絡した結果?明日の木曜日の夕方に、リオアのライブ配信に出る事になった…リオアもユリもフットワーク軽すぎないか?
余りのトントン拍子にこっちは驚いてばかりだ。
「普通こういうのは打ち合わせとかあるんじゃないのか?無茶振りなのか?」
ユリは用事があると言って、そそくさと何処かに去っていった…。
「えーと、ドレスはアイテム一覧にあるからいいとして…後何を準備すればいいんだろう?」
「……ショック死しない準備じゃないですか?」
「フェル??」
ユリに続き、フェルまでとんでもない言葉を発する、なんでリオアのライブ配信に出てショック死に繋がるの!?
というかフェルの表情が諦めたかのような、悟ったような表情しているのはどういう事?
「もしかして、フェルは何か知っているのか?」
「ユリが前々から計画していた物だとは知っています…明日になれば、全部わかると思いますよ」
どういう事なの…?明日全部分かるなら、今は考えない方がいいのかな?
いや、思考停止は良くない、考えよう…さっきの会話を思い出して…。
「えーと、ユリが言うには、自分だけの出演する感じで、フェルはお留守番…だったよな」
フェルが目立つのは不味いが、自分が目立つ分には問題ない…のかな?
「はい、そう言ってましたね、後は指定の時刻にドレスを着て、チームゼロオーダーの工房に居て欲しいととも言ってましたね」
ドレス…あ、今あの植物のドレス着て、背中に羽生えてないよな!?
すぐに装備を防具からドレスに装備変更をする、すぐ近くにある鏡で背中を確認すると、そこには羽は無かった。
「相変わらず似合ってますよ、レンナさん!」
「あ、ありがとう」
とりあえず羽で派手に目立つ事は無さそうだな。
…いや、どういう服装でもアイドルのライブ配信に出る以上、目立つのは避けられないか。
ひとまず明日に関する事に関しての準備はここまでにしておく。
「うーん、今日は冒険に行く気分じゃないな…」
「それなら今日はここでのんびりしますか?」
「いや、それよりも、フェルの杖の強化をしようかな…」
「杖の強化!やりたいです!」
テンションが上がるフェル。
現状の達成可能な目標は、自作装備のステータスで防御や攻撃性能を+45以上(強化で達成も可)にすることだ。
それなら今使っている装備の殆どを強化して強くしておきたい。
防具は後回しとして、ひとまず未強化故に一番伸びしろがありそうな、フェルの武器であるネージュフラワーを強化したい。
素材は…またユリの倉庫にあるものを貰うか…。
あんまりユリが手に入れた素材を貰うのは気が引けるが…ユリが予め持っていっていいと言っているのと、明日の無茶振りがあるで、ちょっと高級な素材を貰おうか…。
オールモスキートの素材を回収してくれて、渡してくれるだけじゃ、明日の無茶振りと割が合わないからな。
「どれがいいかな?」
鑑定眼を起動しつつ、ユリのマイホームの倉庫にある素材を厳選していく。
未知な素材もいいが、既知の素材の方がいいかな?
「冷たい素材がネージュフラワーに合うと思います!」
フェルがアドバイスしてくれる。
「冷たい物か…これなんてどうだ?」
自分が手にしたのは、冬将軍の鎧の破片で、鑑定眼では強力な氷の力を宿していると書いてあった、夏イベントであった冬将軍の物かは不明だ、多分別の冬将軍の物だと思う?
「うーん、なんだか私の杖と合わない気がします」
フェルはお気に召さないようだ、それなら別の素材にしたほうがいいだろう。
「ならこれはどうだ?」
自分が次に手にしたのはセイレーンの鱗だった。
「セイレーンの鱗ですか」
こちらも夏イベントの時に自分達が戦った、レイドボスのセイレーンの鱗か、別のセイレーンの鱗かはわからないが、鑑定眼で見たら、強力な水と音の力を宿していると、鑑定眼に書いてあった。
「レンナさん!この鱗キラキラしててネージュフラワーにあっていいと思います!」
フェルも気に入ったようだ。
自分は10枚以上あったセイレーンの鱗を1枚引き出し、工房に向かうのだった。