地下5階、ボス部屋
カツカツカツと階段を降りていくと、曲がりくねった狭い所ではなく、広い所に出た、周囲の壁が本棚なのは変わりないが、椅子や机が無くて、動き回れそうだ…やっぱりボス戦なのだろうと、警戒しながら中に入ると、周囲の本が光り始める。
「フェル、補助魔法を頼む」
「はい!オールアップ!ブレイブハート!」
フェルの補助魔法を受けて、戦闘態勢を整えた自分達の前に、周囲の本の光が一箇所に集って、その光から黒いローブを纏った魔法使いが現れた!
道中で戦った自立するローブじゃない、ローブを纏った人ぽいボスだ!
「レディース&ジェントルメン!クイズ会場へようこそ!司会はこの私、クイズマンが努めさせていただきます!」
「はい?」
先制攻撃しようとしたら、クイズという単語に手を止める、それと同時に眼の前に光が集まったと思ったら、クイズ番組でよく見るボタンが現れた。
「えーと、戦闘じゃないんですか?」
フェルが困惑の声をあげる。
自分もリーダーさんからの情報で、戦闘と思っていたので困惑している。
「はは、クイズでのやり取りより、戦闘なんて野蛮な行為での決着がお望みかい?」
「…いや、クイズでお互い大怪我せずに、勝ち負けを決めれるのなら、クイズでいい」
どうしてクイズ勝負かはわかんないが、戦わずに済むならその方がいいだろう。
「それならまずはカンニングを封じさせてもらうよ!」
魔法使いが杖を取り出して、振るうとシステム画面が現れる。
『フレンド一覧のコマンドが封じられました、アイテム一覧のコマンドが封じられました!この効果はクイズが終わるまで継続します。』
…つまり博識なリーダーさんにクイズの答えを聞く事や、アイテム一覧を見て、なんか答えに至る方法を探す事は不可能になったみたいだ。
というか今の状態で戦闘になったら回復アイテム取り出せないから、戦闘はかなりまずい。
「クイズは10問!6問以上の正解で貴方達の勝ち、5問以下なら君達の負け!勝った場合は経験値など豪華報酬をプレゼント!負けたら…一番大事な装備を手放して貰います!」
一番大事な装備?なんだろう?どれも大事な装備なのだが、1番となると指輪かな?これは手放したくないんだが…。
いや、クイズを6問以上答えればいいだけの話だ!
「なあ、クイズマン、自分達は2人で答えていいんだよな?」
「ええ、貴方達は2人で1人とカウントされています!」
フェルにも解答権があるみたいだ…魔法関連の問題ならフェルの方が有利だからな。
「フェル準備はいいか?」
「よくわからないけど、問題に答えればいいんですよね?頑張ります!」
フェルの準備もいいみたいだ、何時でもボタンを押せるように自分の手を置く。
「それでは第1問!チタン合金、強化ガラス、サーメット、インコネル、ホワイトメタル、ハステロイ合金、この中で最も硬度が高いのはどれ?」
クイズマンが出題してくるが………ちょっとまて、一般人が答えられる問題じゃねぇ…いや、選択問題だから感で正解はいけるのか。
というか金属と言っても、鍛冶というか工業よりじゃ…?
「れ、レンナさん、問題が全くわかりません…」
「大丈夫、サーメット…」
ボタンを押して答える、サーメットの硬度を数値にすると約1600、他は1000以下だったと記憶している…といっても金属の硬さなんて、熱処理や加工方法によって上下するから何とも言えない…。
「正解です!」
ピンポーンと正解の音みたいなのがなる…どうやら正解みたいだ、あんまり自信がなかったが、正解でよかった。
「それでは第2問!信仰の問題です、この世界の刀の神様はナナサカですが、光の神様の名前はなに?」
あ、やばい聞いた事が無い…。
というかわざわざナナサカさん…刀の神様の名前を出してくる辺り、各人にあった問題を出しているのか?
「フェル、知らないか?」
「えーと…そのーリュ、リュシオンです!」
フェルの答えと共にブブーと音がなる。
「不正解です」
「ご、ごめんなさいレンナさん…リーダーさんから聞いた記憶があるんですが、忘れてしまいました…」
「いや、自分も知らなかったし、どうしょうもない問題だから、気にしないで次いこう!」
謝るフェルをフォローしつつ、次の問題に挑むのだった。