地下4階、禁■書■(後半)
「しかしこうも広いと利便悪いな」
「そうですね…なんで3階と4階を行き来する階段の側に4階から5階に行ける階段を設置しないんでしょうか?」
生きたローブや浮かぶ本と数回戦闘しつつ、探索していると、フェルの疑問が出てくる。
確かにやばい設備やダンジョンなら、セキュリティ面で階段を別にするのは有り得そうだが、ここは図書館だ、セキュリティの為にわざわざ階段を別にするのは、やりすぎなセキュリティの気もするが…。
「まあ、口で言った所で状況は変わらないか…な!?」
そう言っていると、敵である浮かぶ本とエンカウントしたのだが…その浮かぶ本の表紙に堂々と18禁のマーク…え?あれって成人向けの本だよな…え?大丈夫なのか?
禁術書だけかなと思ったが、そういった本もあるのかよ!?
「レンナさん?どうしたんですか!?来ますよ!」
「あ、ああ…!すぐに倒そう!」
幸い、表紙だけだと見えちゃやばいものは見えていない…。
とにかくあれはフェルに悪影響だ、早くあのやばい本はぶちのめさないと!
「地門!」
「アイスランス!」
大地の針と氷の槍がやばい本に飛んでいくが、ヒラリヒラリと回避される。
するとやばい本の表紙がピンク色の光を発し始める!
「光るな!」
アースキーを投擲して、やばい本にぶつける!
するとやばい本の光は消えた…なんか見た目的にヤバそうだから、阻止できてよかった。
「一気に行きましょう!チェインライトニング!」
「ああ、戻ってこい!アースキー!」
妖精の祝福でアースキーを手元に引き寄せて、フェルの放った雷に当たって、ビリビリしているやばい本に、アースキーを叩きつけた!
叩きつけの一撃で、やばい本が地面に衝突して、中身が開く…見たら駄目だけど、思わず視線はやばい本に奪われてしまう、どちらにせよ戦闘中に敵から視線を外すわけには行かない…。
やばい本の中身は…白紙だった…。
いやわかっている、実際にやばい内容書いてたら色々とアウトだもんな!
このゲームは17歳以上対象ゲームで年齢対象外が遊んでも、法律的に問題ないだけであって、18禁ではない!
「地門!」
地門でただ表紙にバッテンに18と書かれただけの白紙の本にトドメを刺す。
「はあ、とんだ詐欺本だったな…」
「何が詐欺だったんですか?」
「いや、なんでもない…」
結局あのピンクの光を発した時に阻止をしなかったら、どうなってたのか知りたいが、倒した以上、もう知れない…。
息を整えて、探索を再開しようと足を動かすと、足下にピンク色の魔法陣が展開される。
「さっきのピンクの光はトラップ設置かよ!?」
咄嗟に理解した自分は、素早くバックステップして魔法陣から出ようとするが、自分達は光に包まれた。
「……無事か?フェル?」
「はい…見た感じ私に精神的悪影響は…きゃあ!?」
「なあ!?」
光が収まり、フェルの無事を確認するが、フェルがこちらを見て悲鳴をあげ、こちらも驚きの声を出す。
フェルの服装がジャケットから水着に変わっているのだ、しかも自分が作った水着ではなく、白いスクール水着だ。
「何でレンナさんのコートの半分が透けているんですか!?」
赤面しながら言うフェル、自分の服が透けてる!?自分の服を見ても、透けていたり、変わっていたりと変化はない、もしかしてこれは認識を変えるトラップなのか!?
「え!?待ってくれ、フェルがそう見えるだけで、俺は実際にコートを着ている!多分視覚情報を狂わせるトラップだ!」
そう言いつつ、ステータス画面から状態異常を確認する。
『視覚異常(水着)
視覚に異常が発生する、仲間の服装が水着に見える、見える水着の種類はランダム』
効果時間は3分…よかった、比較的短時間で終わるのか…。
一安心しているとフェルがずっとこちらの体を見つめている…今の自分は現実の方の肉体に変わっている。
鍛えているから、見られて恥ずかしい体はしていないが…見られていると恥ずかしくなってくる…。
自分も思わず白色のスクール水着のフェルを見つめてしまう…。
「は!?まさかれレンナさんも私の裸ひょ!?」
「落ち着いてくれ、こっちは水着に見えるだけだから、露出度低いから大丈夫だよ!?とりあえず3分待とう、3分経てばこの視覚異常も治るぽい!」
赤面して、両手で体を隠し、言葉をうまく言えてないフェルをなんとかなだめる…これ人によっては関係が悪化しそうなトラップだな…。
というかシンクロの効果で視覚共有出来ないのか今!そしたら簡単に誤解が解けるのに!
「うう、それなら問題ないのかな…水着姿なら見ていいですよ…」
いいのか…そう思っていると3分経ったのか、フェルの服装がスクール水着からジャケットに戻った。
「あ、元のコートに戻りました…」
「よかった…こっちも視覚異常が治ったよ…次は引っかからないようにしないと…」
「そ、そうですね…」
そう言って多少気まずさを感じながら、再び探索を開始して、数分もしない内に地下5階に行ける為の階段を見つけることが出来た…。
「えーと、看板はここか…」
階段付近に毎回あった看板を見つけるが、看板はかなりボロボロで読めなかった…。
「読めないけどボス部屋かな?」
「そうみたいですね、レンナさん、階段の奥から力強い魔力を感じます、気をつけていきましょう!」
「ああ、わかったよフェル」
フェルが強力な魔力を感じ取ったみたいだ…やっぱりボスか…。
自分達は気を引き締めて、階段を降りていった。