地下4階、禁■書■(前半)
魔法陣の光で視界が塞がれたと思ったらそれだでダメージはなかった…魔法陣の光が無くなり、視界が正常に戻ったのでフェルに声をかける。
「フェル、無事か!?」
「わ、私は大丈夫だけど、レンナさんに異常が出ています」
自分の体を確認する、古い火傷の跡があるが見慣れた硬い手足だ……いやまて、この手は…。
「嘘だろ、体が現実の方になっている!?」
顔を自分の手でペタペタ触り、腕の筋肉質を確認して驚愕する。
鏡がなくても手の感触だけでわかる、完全にレンナから錬那になっているのだ。
「どうなってるんだよこれ…」
ステータス画面で状態異常を確認する。
『アバター破損
見た目が変わる状態異常、大きくなったり、小さくなっても、服のサイズも変わるので服の破損はしない。
この状態異常は時間経過以外にも、ダンジョンから脱出時でも解除される』
効果時間は数時間と長い…見た目が変わるだけで、ステータスやHPMPに変化が無いせいか、効果時間も長いみたいだ。
人によっては致命的に嫌なトラップだろう、例えば太っている人が痩せているキャラでプレイしていて、この状態異常になったら…うん、ゾッとする。
自分は装備も男女どっちが来ても違和感のないコートだから平気だけど…ドレスとか着てたらやばかったな…。
「大丈夫ですか、レンナさん?」
「大丈夫、落ち着いた…見た目が変わっただけだから探索を続行しよう」
「は、はい…いまのレンナさんはかっこいいですよ」
「あ、ああ…ありがとう」
そう言われて妙に恥ずかしくなるが、気を入れ直して、周囲を警戒して歩き始める。
するとローブがひとりでに、ふよふよ浮いているのと遭遇した、ローブはまだこちらに気付いていない。
「一人でに動く本の次は、生きてるローブ?何でもありだな…」
「先制攻撃しますか?レンナさん?」
杖を構えて戦う気満々なフェル。
「ああ、頼む」
「チェインライトニング!」
フェルの杖から雷が迸り、生きてるローブに直撃する!
「はあ!」
雷に続くように生きてるローブに近寄り、アースキーを振るい、生きてるローブを攻撃するが、あまり手応えを感じない!
生きたローブはふわりふわりと自分から離れて、本棚から本を取り出すと魔法陣を展開、そこから魔力の弾を撃ち出してきた!
「フェル、水をイメージしてくれ、そして攻撃したら雷を!」
「わかりました!」
サイドステップで魔法の弾を回避しつつ、フェルに声をかけてから、一気にローブに向って突撃する。
アースキーを振るうと共鳴の上位互換、シンクロの効果でアースキーの先端に水が纏わり、生きたローブをビチャビチャに濡らす!
ダメージを与えられたかわからないが、バックステップして、距離を取る。
「チェインライトニング!」
フェルの雷が生きたローブを貫き、赤いエフェクトに変えた!
「よし!水で濡らして雷の効果を高めたが、不要だったか?」
ガッツポーズをしていると、ローブがいた場所に魔法陣をが現れたとおもったら、そこから霧状の何かがこちらに吹き出してきた!
「な!?」
回避しようとしたが、霧の広がるスピードが早くて、体が霧に包まれてしまう!
「フェル、できる限り息を止めてくれ!」
「………」
フェルの答えはない、だがフェルを確認する暇はない…。
素早く霧から抜け出せるように動く!霧から抜け出したら、状態異常になってないか確認する。
「はあはあ…HPMP減ってないし、状態異常にはなってない…」
一定量吸ってないと問題タイプか?
あ!それならフェルの方は不味いか!体が小さい分、少量吸っただけでアウトの可能性がある!
「フェル無事か!?」
「…zzz」
……寝ているみたいだ…さっきの霧は、睡眠効果がある霧だったみたいだな…自分が寝なくてよかった…こんな所で寝たら、命が危なかった。
「フェル、起きてくれ!」
「…………お母さんあと5分…」
フェルが寝ぼけたことを言っている。
寝かせたまま進んでもいいんだが、何かあったら後悔してしまうので、起こさねば…変な質問でもしたら起きるかな?
「……レンナの事どう思ってる?」
「私の物にしたい…」
なんか怖い返答返されたけど、寝言だろう。
「フェルー起きてくれー」
「…ナナサカさん、アイスは残してください……」
駄目だ、起きない…睡眠の状態異常だからなのか?
「どうすれば起きるんだ?」
そっと、ポケットからフェルを取り出す、フェルは完全に無防備だ。
…………頭の中に今ならイタズラしてもバレないのでは?とそんな邪な考えが過る…。
「……」
邪な考えを振り切った自分は、ムニィとフェルのほっぺたを突っつく。
「おーい、フェルー起きてくれ、自分が変な行動をする前に」
「う…ん、は!?だれ!?あ、ちがう、レンナさん?」
「ああ、姿は変わってるがレンナだ」
フェルを起こした自分は、再び探索を開始する。
まだまだ地下5階に行ける階段は見つからない…。