魔本の図書館地下2階、魔■練習場
カツカツと階段を降りていくと、広い所にでた、周囲には、木材で作った遮蔽物や攻撃の的になりそうな案山子が散らばっている。
だが敵と思われる敵は見当たらない。
「レンナさん、あそこの遮蔽物から、なにか力を感じます!」
フェルの言葉に反応したのか、遮蔽物からA1サイズの紙を束ねて作ったような、大きく分厚い本が現れた!
今までの本のサイズは文庫本や雑誌くらいの大きさだったのだが…1回りどころか、3回り位大きい!もはやボス本だ!
「なにあの本、デカ…」
もう鈍器としても使えそうだな、そんなことを思っていると、ボス本がぱかりと開いたと思ったら、大量の魔力の弾をショットガンのように撃ち出してきた!
「はあ!?」
弾速は遅いが、弾と弾の間が殆どなくて、弾幕の領域、しゃがむ、横に飛ぶ、ジャンプする…駄目だ、どうあがいても回避、受け流しては不可能で、被弾する!
「マジックリフレクト!」
どう防ぐか迷っていると、眼の前にはフェルが作った魔法のバリアが現れて、魔法の弾を跳ね返す!
「ナイス!フェル!」
「連続では使えませんので気をつけてください!オールアップ!」
「わかった!」
フェルの補助魔法を受けつつ、ボス本に一気に接近してジャンプする!
「だりゃあ!」
アースキーで浮かぶボス本を殴るが、ダメージを与えた感じはせず、ボス本が大きく吹き飛んだだけだった。
吹き飛んだボス本は、壁に当たらずに空中で止まると、周囲には魔法陣を展開して、2つの黒い塊を撃ち出してくる!
「ホーリーボール!」
フェルのネージュフラワーから放たれた光の玉が一つの黒い塊を消失させる、もう一つの黒い塊はサイドステップで回避する。
「火光を使えないのが辛いな…」
殴るたびに大きく吹き飛んでたら、攻撃が何度も出来ない、火光を使えれば、風の刃で遠距離から切り刻めるんだが…。
そう思っていると、足に何かが巻き付く感触がする、足下を見ると、黒い触手が巻き付いていた!
「な!?もしかしてさっきの黒い塊のやつ!?」
急いで触手の拘束から足を開放する為に足を動かす!
だが自分が動けない間に、ボス本が大きな魔法陣を展開して、巨大な土の槍を撃ち出してくる!
「アイスランス!」
フェルはフェルの氷の槍を撃ち出して、相殺を試みる!だが氷の槍は土の槍に亀裂を入れるだけで、相殺までは至らない!
「ぐう!地門!」
足の拘束を解除するのを諦め、地門で土の槍を砕こうと試みる!
その結果土の槍は地門の大地の針によって砕け散った!だが砕けた土の塊がスピードを落とさずに、全身にバシバシ当たり、全身に痛みが走る!HPが2割ほど削れる。
「くそ、厄介だな!」
「リジェネレート!」
フェルの回復魔法を受けつつ、アースキーで足に纏わりついている触手を破壊して、拘束から脱出する!
「そうだ!フェル、雷で本を怯ませてくれ!」
「わかりました!チェインライトニング!」
雷が迸り、ボス本を感電させる!
「はあ!」
感電で怯んでる間に、全力でボス本に接近して、アースキーを上から下に振るい、ボス本を地面に叩き落とす!
「こうなったら千切ってやる!」
アースキーを手放し、ふらふらと浮かび上がらろうとするボス本を素手で掴み、ボス本のページを引き千切る事を試みる!
ビリィ!と予想以上に簡単にボス本のページが破ける!この攻撃が弱点か!?
「おら!ぐう!」
5ページほど纏めて破くと、ボス本から魔力の波動が迸り、ダメージはないが、体が吹き飛ばされ、大きく距離を取らされてしまう。
「戻ってこい、アースキー!もう一度落ちろ!」
アースキーを妖精の祝福の効果で手元に引き寄せてから、投擲!ボス本に直撃した!ボス本は吹き飛び、壁にぶち当たる!
「よし!て!?なんかでかいの来る!」
ボス本が光り輝く、明らかに何かしらしてくるのは目に見えてわかる!
するとボス本は光り輝く光球を撃ち出してきた!ぱっと見た感じ、ホーリーボールに似ているが、なんか光の色が禍々しいし、弾速と大きさが違う!大きいし、早い!
サイドステップで避けようとするが、光球は追尾するようにこちらに向かってくる!
「マジックリフレクト!」
やばい、回避出来ない!と思った時にフェルの反射のバリアが光球を弾き返した!
光球はそのままボス本に送り返す形で飛んでいき、ボス本に着弾した瞬間、爆発を起こして、半径5メートル程あったものを消失させた…。
勿論ボス本も消滅したし…効果範囲内にあった地面や壁の端っこも、綺麗に爆発の形にえぐれている…。
「これマジックリフレクトなければやばかったぽいな…とにかく、ナイスバリアだ、フェル…」
「力になれてよかったです!」
嬉しそうに胸を張るフェル、ボスを倒したんだから何かドロップすればいいのに何も落とさなかった…その事に少し不満を覚えつつも、3階への地下階段を見つけて、降りていくのだった。