魔本の図書館内部へ
「図書館なんてありませんね…」
フェルの声が困惑の声をあげる。
眼の前には4つの柱に囲まれた扉があった、マップやリーダーさんからの情報を見直しても、眼の前が魔本の図書館という事実しか出て来なかった。
「まあ、この扉を開けた先に図書館があるんだろう、ウィンディーネの時みたいに」
そう言って、扉を開けようとするが…開かない…ドアノブがないから、押して開けると思ったが…横にスライドするタイプでもないし、下から上に上げるシャッタータイプでもない。
「うん?どうやって開けるんだ?これ?」
「レンナさん、反対じゃないんですか?」
「反対?」
フェルの言葉に扉の裏側を見たら、ドアノブがあった…ご丁寧にドアノブが付いてる方には大きな魔法陣が書いてあり、開いたら図書館まで行けそうだ。
「なるほど、確かに反対だったな…」
自分の調べの甘さに恥ずかしくなりつつ、反対側に周り、扉を開けると、中には本がぎっしり詰まった本棚で作られたと言えるほどの世界が広がっていた。
「何だこれ…壁が全部本棚なのか…?」
壁の本棚から本を引き抜こうとしてみるが、ぎっちり本が詰め込まれているからか、固くて引き抜けない…壁判定だからなのかな?
「凄いですね…ここに何冊本があるんでしょうか?」
フェルが周囲の本棚に圧倒されたような声をだす。
「少なくともこんなに本がギチギチに詰め込められて、取り出せないなら、実際に読めそうな本はあんまりないかもな?」
少し歩くと、ガイドという看板を見つける、ご丁寧に看板にはマップが書いてある…どうやら情報通り、地下があるみたいだ…。
地下のマップは書いておらず、関係者以外立ち入り禁止と書いてある、地下が目的地なので、立ち入らないとな。
そして注意事項に、火気厳禁、本の貸出の許可なく図書館外に無断持ち出し厳禁、という文字が書いてある…これは火光を使うなということか…。
まあ、普通に考えて、紙である本が沢山ある所に、火を使うのはやばいか…最悪を火事になって、自滅してしまいそうだ。
「火光を封じられるのキツイな…」
「水とかはいいんですかね?」
フェルの言葉でもう一度看板を見直す…水は厳禁と書いてないみたいだ…。
「水はいいみたいだな」
普通なら水も厳禁だろうに…まあ、それ言い出したら戦いにならないのかな?
「この階層はマップのお陰で迷わずに進めそうだな」
「そうですね、トラップとかはなさそうですよね」
マップを記すという事は、トラップを仕掛けてる可能性は低そうだ。
というか図書館にトラップがあったらなんか嫌だな…。
フェルと言葉を交わしながら、図書館の奥に進んでいく。
図書館は多彩な本が本棚に収められている。
歴史書や魔法を使う本、料理本や技術書などあった…。
「…あ、面白そうな本…」
1つの本が目に入る、タイトルは金属、宝石大図鑑…本に手を伸ばせば本棚から取り出す事が出来た…これは読めるのか…。
「レンナさん、気になるのはわかりますが、今は先に進みませんか?」
「す、すまん」
フェルの視線を感じつつ、本を元の場所に戻して再び歩きだす、よくよく見たらチラホラと見てみたい本がある……だが今日の目的は転移魔法陣だ。
別日に本を読めばいいよなと、本を読んでみたいという誘惑を断ち切り、地下へ行く為の階段まで向う。
広い図書館を歩き、地下への階段まで来たのだが…敵は出て来なかった。
「1階はセーフティゾーンなのか?」
「そうみたいですね、てっきり魔法使いが襲ってくると思ったんですが…人すら居ませんでしたね」
「…地下に入ってみよう、地下から敵が出てくるかもしれないから、気を付けていこう」
アースキーを手にして、何時でも戦闘が起きてもいいように身構えながら、地下への階段を降りていった。