PK事情の一端とフェルの修行の始まり?
チームゼロオーダーの工房に戻ると、フェルが出迎えてくれた。
「レンナさん、おかえりなさい」
「ただいま…PKに襲われて大変だったよ、返り討ちにしたけど」
そう言うと、リーダーさんが驚いた声を上げる。
「オークション会場に行くだけでPKに会うとか、何処であったんだ?何人で襲われたんだ?」
「え、えーと、相手は1人で、場所確か…マップマップ…」
リーダーさんにマップを見せながら、場所を説明すると、リーダーさんは難しそうな声を出す。
「うーん、そこなら野良かな…」
「野良とかチームとかあるか?」
チームとか言っておきながら、自分で言っときながら、ナナサカさんと初めて会った時に、襲われたPKチーム:デスロードを質問した瞬間に思い出した…。
「あるぞ、たまに偉い味方NPCを殺そうとする、ろくでもないPKチームとかいるから、時には潰さないといけないからね…」
「チームを潰すて、どうするのさ…いや、なんとなくわかるから、聞かなくていいや…」
リーダーさんがPKチーム達の居場所を膨大な情報網で探し出して、ナナサカさんと一緒に狩りに行くのが想像できた。
「因みに…いや、レンナさんがPK関連のアレコレを知る必要はないか」
「何言おうとしてたんだ…?」
「いや、PK等のキルプレイヤーのペナルティを言おうとしてたけど、知った所でレンナさんの役に立たないからな、そんな事よりフェルさんが話に混ざれず、寂しそうにしてるから、別の話をしよう」
「べ、別に寂しくはないですよ!?」
フェルが慌てて否定する…確かにPKの話はフェルにはついていけないか。
「そういえばリーダーさんからなんか新しい魔法とか教えてもらえたのか?」
「あー教えて貰ったんですが…習得は出来ませんでした…」
「まあ、本来はそんな短時間で覚えられる魔法はないからな…今までの魔法の習得が早すぎた物だし、地道に頑張れ、フェル」
悔しげなフェルを慰めるリーダーさん。
「消耗品を買う為にオークション待ちだから、まだ魔本の図書館に行かないんだろ?今日はこのままじっくりと、魔法の練習をしたらどうだ?あれが使えるようになれば魔本の図書館が楽になるぞ」
「うーん、魔法の練習はレンナさんが居ない間にと決めているんですが…」
フェル、自分がログアウトしている間ら魔法の練習をしていたりしてたのか。
それなら今日はフェルが魔法習得に集中出来るように早めにログアウトするか?
「……なら、レンナさん、俺と決闘しませんか?」
「え!?」
リーダーさんからの唐突な提案に驚く、なんで!?
「もしかして中身がナナサカさんだったりします?」
「あいつは人を騙してまで、決闘はしないぞ…一応善人だぞ、あいつ…いやな、実戦形式でフェルが魔法の訓練したら、早めに魔法を覚えれるかなと思ってな」
あーなるほど、仮に覚えた所で使いこなせないと意味ないし、丁度良いかもしれない。
「そういう事なら決闘する事に抵抗はないよ」
「待ってください!リーダーさんとレンナさんが決闘するということは、レンナさんが沢山やられちゃうじゃないですか!」
当たり前だが、自分とリーダーさんとの実力差はかなり大きい。
リーダーさんは魔法系のクラスではあるが、ナナサカさんとナイフで剣戟合戦と言えばいいのか、近接戦闘が出来るので、レベル差やステータス差、プレイ歴の長さによる圧倒的不利で、決闘をしたらほぼ確実に負けるだろう。
「まあ、殺られても、前にやったナナサカさんとの決闘の時のように、何度だって立ち上がるから安心してくれフェル、それでリーダーさん、何処で決闘するんだ?何度もやるなら人目のつかない所が良いんだけど」
「それならいい所がある、ついてきてくれ」
そう言って、リーダーさんが歩き出したので、自分達はそれについて行った。