オークション会場に向って
「うーん、この槍はオークションで30万位で売れるんじゃないかな?」
裁縫を終えたリーダーさんに、作った槍を見せたら、そんな言葉が返ってきた。
「消耗品買うために作ったんだが、そんな安値なのか…」
「まあ、耐性小が2つ、刺突強化が中だからな…それでも、レンナさんレベルの消耗品を買い揃えるには、充分な額だと思うぞ」
「買い揃えれるかな?」
消耗品を買う場合、1番お金がかかるのはMP回復薬だ、HP回復薬は自分の最大HPが低いから、効果が低くて安いやつで済む。
だがMP回復薬は自分もフェルもMP最大値が高いので効果が高くて、高いやつを買わないといけない…。
「まあ、オークションで予想以上に売れる可能性があるから、ちょっとオークション会場に行ってくる」
オークションの出品とかできる場所は、前にユリから聞いたことがあるので、サクッと行こうとしたら、リーダーさんに止められた。
「…待ったレンナさん、少し魔法に関しては教えたい事があるから、オークション会場に行く間、フェルと話をさせてくれないか?」
「フェル、リーダーさんの話を聞くか?」
「はい、新しい魔法を教えてほしいです!」
胸ポケットからフェルが出て来て、リーダーさんと話し始めるフェル、魔法に関しては全くわかんないので、自分は今の内にオークション会場がある場所…スリー街に向かう為に移動用の魔法陣の上に乗った。
「…オークション会場てこっち行けばいいよな…?」
ユリの情報を頼りに歩いていたが、明らかに治安の悪そうな裏路地を通る必要が出てきたのだ…。
「方向音痴とかじゃないよな…?」
もしかしてユリは近道で治安の悪い道を通ったりしているのか?
「……走り抜けるか」
走り抜けば、変な奴に絡まれる可能性は低くなる、そんな考えを持って、自分はオークション会場に向かう為に裏路地に全速力で突入した!
特に変な奴にエンカウントする事無く、オークション会場にたどり着く事が出来た…。
「警戒しすぎたかな…えーと、出品するには…うん?あそこかな?」
出品の方はこちらという看板を見つけた、看板に従い、移動するとオークションの受付スタッフがいる所にたどり着いた。
「あのー、オークションで商品を出品したいんですが…」
話しかけてみると、スタッフに色々とわかりやすく説明してくれたので、出品の手続きが出来た。
落札された場合、自動で落札情報のメールが来るので、それを読めば、手数料を少し持っていかれるが、自動で所持金に追加されるみたいだ…。
「これでお金が手に入るな………あれ?これ落札されるまで、買い物出来ないのでは?」
確か、オークションは1日2回て言ってたよな…そして、今日のオークションは終わってたので明日以降と行ってたな…。
完全に、オークションは時間がかかるという事を失念していたな、ユリに知られたらポンコツ扱い不可避だ。
「…帰るか、魔本の図書館は明日にするか」
オークションに出品は、決して無駄な行為ではないが、今日中に行こうかなと考えていたので、完全に出鼻を挫かれた…。
トボトボとユリのマイホームに向って、帰っていると、知らない人に帰路を塞がれた。
あ、やばい、出鼻くじかれたせいで、裏路地をのんびりと歩いていたら、変な絡まれた…。
「なあ、そこの嬢ちゃん、オークション帰りだろ、命と有り金全部置いていきな」
「出品したばかりだし、有り金なんて何もない」
レザーアーマーを着た、屈強な男にカツアゲにあったが、落とせる物は命しか無い。
だがそれでも男はナイフを取り出して、攻撃してくる!それをアースキーで受け流した!
『PKアギンから攻撃されました、攻撃してきたPKアギンに攻撃時のペナルティがなくなりました』
システム画面が現れて、PVPが発生する!
幸いフェルは居ない、万が一殺られても問題ないだろうが…カツアゲのチンピラに負けるのは嫌だ、返り討ちにしよう!
予定の頓挫で落ち込んでた意思が無くなり、戦意が湧き上がる!
「クイックスラッシュ!」
「はあ!」
素早いナイフ攻撃を仕掛けてくるが、ナナサカさんの刀の一撃よりも圧倒的に遅い、アースキーで受け流してから、首に狙いを定めて、アースキーを突きを放つ!
喉に突きを食らい、怯んでる所を頭に向けてアースキーを振るい、全力で2回殴打する!
「地門!」
「があ…くそ、想像以上強い……」
トドメとして地門で大地の針を生やして、PKの胴体を貫く!PKは負け惜しみを言ってから赤いエフェクトになって、消えていった。
勝ったのはいいが、裏路地でPVPに狙われるんだな…しかし弱かったな…いや、基準がナナサカさんとかになってるせいで、強さの基準が変になってるか?
『PKアギンを撃退しました、どうしますか?
略奪:装備を奪う
強奪:お金を奪う
罪を訴える:相手のログイン制限を与える
赦す:何もしない』
夏イベントでみた事ある、PKを撃破時の画面が現れる…今回は罪を訴えるを選択した。
理由は単体でこのくらいの強さなら、また来ても返り討ちに出来るだろうという考えだ。
選択した後はシステム画面が消えた…どれだけ制限されるかとかは知れないんだな…。
「帰ろう、よくよく考えたら明日明後日は土日で休みだし、魔本の図書館に行くにはちょうどいいよな」
これ以上PVPに巻き込まれるのは勘弁だし、明日が休みだと思い出し、自分は駆け足で裏路地から脱出するのだった。