ユリとの冒険の終わり
「お兄ちゃんナイスファイト!」
ユリの声が聞こえる、振り向くとそこには既に大きなゴブリンを倒して、戦闘終了したユリがいた。
「いえーい!」
ユリはレンフェルソードを上には放り投げて、ハイタッチを要求してくる、それに答えてハイタッチする。
その後、ユリは放り投げたレンフェルソードが地面に落ちる前に、華麗にキャッチして腰の鞘に収納した。
「お見事なキャッチだな」
「練習したからね、何度か頭に刺さって即死したけどね」
頭の中で、ユリが剣を頭にさして力尽きるシーンが想像される、なんというかコミカルにイメージ出来て笑えてくる。
「なにイメージしてるのお兄ちゃん、ここにおいていこうか?」
「それは勘弁してくれ、トラップで死ぬから!?」
そんな会話をしながら自分達は洞窟を出て、セーフティエリアに戻ると、フェイクゴブリンを倒すクエストがクリアになった。
「これは…人化のスキル書物?」
クエスト報酬で、イベントポイント以外にも、スキル書物を手に入れた…。
「こっちは罠隠蔽のスキル書物…ハズレだね、罠なんて仕掛けないし…」
「こっちは当たりだな、今は使えないけど、将来的に役立つはずだ」
ナンバークエストでも一度見たことあるスキルだ、これがあればもしもまた妖精になったとしても、人に戻れるようになれる。
これはありがたいと、早速スキル書物を開いてみると、書物が発火した!?思わず書物を放り投げる!
「うえ!?偽物!?」
そう叫んだ時、システム画面が人化のスキルを得ましたというメッセージが現れた。
「スキル書は使うと燃えるよー」
「それ早く言ってくれユリ!?火傷すると思った!何処ぞのスパイのメッセージかよ!?」
投げ捨てた書物は燃えて消えてしまった。
「燃えなかったら他の人も使えちゃうからねー」
「だからって燃やす必要はないだろうに…まあ、今日の冒険はここまでかな…」
時間を確認すると、これ以上冒険する時間は無かった。
「でも少しはゆっくりする時間はあるから、フェルと話してきたら?フェルも寂しがっていたからね」
「まあ、そうだな、少し会話してくるか」
「私は一足先に離脱するよ」
そう言って、ユリはログアウトしていった。
自分はユリのマイホームへ戻ると、フェルが嬉しそうに出迎えてくれた!
「おかえりなさい!レンナさん」
「ただいまーお土産は…ない、すまんな」
というかイベントフィールドの多くの敵はイベントポイントしか落とさない、別に後々交換所で素材と交換できるから不満はない、寧ろ自分みたいに虫とは戦いたくないけど、虫の素材が欲しいという人にとっては神システムとも言える。
…今思えば、多少でもイベントポイントを使って、何かしら美味しい食べ物でも交換して、持って帰って来たほうが良かったな…気が回らなかった。
「いえ、お土産が無くてもレンナさんが側にいてくれるだけでも嬉しいです」
「そ、そうか…」
なんか照れてしまうな。
「そういえば、レンナさん大きな斧を持った猿と姿を変えるゴブリンと戦いましたか?」
「え?フェイクゴブリンはともかく大きな斧を持った猿と戦った事を知っているのか?」
「はい、何故か頭の中でレンナさんとユリが戦闘しているシーンが見えてました」
………シンクロの効果なのかな?
「まあ、どんな冒険をしたか話すよ」
フェルに今日あった冒険を全部話す、フェルは全部話し終わるまで黙って聞いていた。
「助けてくれた相手に、爆弾のアクセサリーをあげるなんて非道です!それで通信の時に妖精火門を強調して言ったんですね」
「ああ、あのアクセサリー爆発の時にフェルがいたら、フェルの命も危なかったし、運が良かった…フェルと冒険に行く時はもう少し気をつけないとな」
こうしてフェルと時間ギリギリまで話しをして、1日が終わった。