猿のボスを探して
秋の山を登りつつ、ユリに罠の警戒を促す…ユリの方がプレイしてきた時間長いだろうから、不要だと思うが念の為だ。
「なるほど、こうも木々や草花が生い茂っていると、視界不良にもなるし、トラップをばら撒くには最高の立地ね」
自分達からしたら最悪の立地ということか…。
「お兄ちゃんは私の背後に、トラップに強いスキルは持ってないんでしょ?」
「持ってないから頼む…」
そう言えばユリは危機察知のスキルを持ってたけど、自分は未だにそういったスキルを得られない…夏休みの間に危険だらけの冒険はしたんだけどな…。
そんな事を思いつつ、山を登っていくと、洞窟とその洞窟を守るように警戒している、2匹の猿を見つけることが出来た。
現状まだ見つかっていない。
「あれは間違いなくお兄ちゃんの目的のボス居そうな洞窟だね」
「…なら地門で一気に倒すか」
「なら取りこぼしたら任せて」
サクッと作戦を決めて、アースキーを強く握りしめる。
「地門!地門!」
大地の針が2匹の猿を襲う!1匹は胴体を貫いて一撃で仕留めたが、2回唱えて地門が発動する都合上、攻撃に時間差があり、もう1匹は体をかすめる程度になってしまった!
「クイックステップ、アサルトピアース!」
だがユリが素早く、仕留め残った猿に接近してレンフェルソードで人型の急所である頭を貫く!
「よし、制圧完了と」
「すまん、助かった」
「気にしないでお兄ちゃん、ほら先に進むよ…あ、そこに鳴子あるから気をつけてね?それ下手に解除しようとすると音がなっちゃうから、跨いで回避してね」
ユリの注意で、簡素な鳴子のトラップを回避しつつ、自分達は洞窟の中に入る…洞窟の中は壁に松明がついていて、最低限の明かりが確保されている。
「猿なのに火を使うのか?」
「鳴子トラップを使う程度の知識があるなら、火くらいなら使えると思うよ、お兄ちゃん」
「ファンタジー世界なら獣が火を使うのも普通なのか…何でもありか」
深く考えるのを止める、今はダンジョンを攻略する事に集中しよう。
ユリが先頭に立ち、自分がその背後に立って猿の洞窟を進んでいくと、洞窟内で槍を持った猿が襲いかかってくる!
「ダブルスラッシュ!」
先頭にいたユリの素早い斬撃で的確に急所を攻撃して、猿を撃破する。
「自分のやることがないな…」
「そんな事を言ってる暇はないよ!お兄ちゃん、後ろ!」
その声に後ろを振り向くと槍を持った猿が襲いかかってきた!
アースキーの先端で槍を受け流す!
「はあ!」
強く踏み込み、アースキーで猿を貫く!更にもう一撃素早く手を動かして、2度突く!
更に、頭にフルスイングでアースキーを叩きつける!
自分の連撃をうけた猿は、赤いエフェクトを纏って消失する。
「お兄ちゃんナイス!」
「ふう、これ大丈夫なのか?分かれ道とかなかったよな?下手したら肝心な時に背後から急襲とかされそうだ…」
「うん、だからお兄ちゃんは背後からの敵に気をつけてね」
「できる限り頑張る…」
そのまま自分達は洞窟の中を進んでいく、背後を注意しながら歩いていたら、足下に注意がいかずに1度派手にコケた!頭に痛みが走る!
「い、痛い…」
「うわー今の言葉、凄いロリぽい…」
「ロリっぽいとかいうなし…」
痛む足にムチをうち立ち上がる、へんなコケ方したせいでHPが2割も消し飛んだぞ…脆すぎないか?自分の体。
いや、頭から地面に突っ込んだから2割削れてもおかしくないか、それに現実なら転んで骨が折れたとかたまに聞くし…そう思い直し、HP回復薬を飲む。
「ふう、すまん迷惑」
「クイックステップ、アサルトピアース!」
ユリが素早く背後に周り、いつの間にか背後にいた猿を貫いた!どうやらコケた事によって周囲の警戒と敵への注意がなくなっていたみたいだ。
「……重ねて迷惑かけた」
「いやーお兄ちゃんがここまでミスを重ねるなんて珍しいね」
「すまん、背後を警戒して歩くのに慣れてない…」
「変わる?多分この洞窟内にトラップはなさそうだしね」
「変わってくれ…」
自分が先頭に立って、歩き出す、1度槍を持った猿に襲われたが、アースキーで槍を弾いて、何度も突いて、仕留める…。
「お兄ちゃんは補助スキルとか使わないの?」
「基本フェルに頼ってたからな…一応シンクロのスキル効果で使えるけど、ボス戦に取っておきたいな…」
ユリとそんな言葉を交わしながら歩いていると、広い所にでた…ボスが居そうな広さだったし、実際に巨大な猿が居座っていた。