水曜日、ユリと共に秋イベント
友奈に夢の話を話してから、時間は流れ、学校が終わり、晩御飯を食べた後、再びファンタジーフリーダムの世界にログインする。
「あ、レンナさん!」
カリカリとビスケットを齧っている、フェルが出迎えてくれた。
「リスみたいに食ってるな」
「私は妖精ですよ、レンナさん…今日も秋イベントのフィールドに行くんですか?」
「ああ、早く魂の糸を集めて防具作りたいしな」
そんな中、ユリのマイホームにあった魔法陣が煌めき、ユリが現れる、ユリもログインしたのか。
「やっほーお兄ちゃん、秋イベントに行くなら私もいく!」
「いいけど、ユリもなんか欲しいアイテムがあるのか?」
秋イベントの交換品を見たが、素材や基本的なスキルを覚えられる書物しかない。
というか、ユリが現状何を目的に動いているかわからないから、何を欲しているかわからないのだ。
「アイテムは特にないかな?まあ、お兄ちゃんと一緒なら面白いイベントに出会えると思ってね」
ユリ…友奈には基本的にファンタジーフリーダムであった内容をご飯の時に話している、もしかして昨日の出来事が面白かったのか?
「そんな面白いイベントに会うとは思えないけど、可能なら色々と手伝って欲しい…前も言ったが、秋イベントの報酬で虫と戦わずに防具の素材を集められるから、大量のイベントポイントが欲しいんだよ」
「うん、いいよー力になるよ」
ユリからのパーティ申請を受理して、パーティを組む。
「むーやっぱり私も行きたいな…」
「すまん、ルールもあるし、危険だからフェルは連れていけないよ…かなり危険で、何度もやられたしな」
やはりお留守番はフェルにとっては不満みたいだ、かと言って虫との戦いはしたくないし、不必要にフェルを危険な冒険に巻き込みたくない。
「フェルー、お耳を拝借…」
ユリがフェルに何かを囁く…。
「そ、そんな事が出来るんですか!?」
「ええ、だから我慢してね?」
「……わかりました、もう少しお留守番します」
フェルがお留守番を受け入れた…。
「何を言ったのユリ?」
「秘密、お兄ちゃんに損はないよ、ほら時間はあんまりないから早速秋イベントのフィールドヘ、ゴー!」
ユリに押されて、自分は気になる気持ちを抑えて、魔法陣の上に乗り、秋イベントフィールドである秋の山にワープした。
「今回は秋の山なんだ、去年は闘技場みたいな場所で連戦するイベントだったね…」
秋の山を見渡してユリは感想を口にする。
「そんなイベントもあるのか?」
歴代のイベントなんて調べてない為、頭にはハテナマークしか浮かばない。
因みに昨日の頭上の数字と、死んだ事で生じたイベントフィールド内のステータスペナルティは消えていた。
「そう言えばそれ、リーダーから貰ったの?」
「え?これか?そうだよ、フェルとペアの通信機だ」
ユリは自分が耳に装備している骨伝導イヤホンの形をした通信機を指差す。
「相変わらずリーダーは羽ぶりいいわね…」
「やっぱりレアアイテムなのか」
「そりゃ……いや、貰い物の価値云々いうのは良くないよね」
「え、なに!?気になるんだけど!?いや高いんだな、やっぱり!」
うん、失くすとは思えないが、失くさないように気をつけよう。
「そうだ、ユリ、今山の頂上辺りにいると思われるボス猿を倒すクエストを受けてて、それをクリアしたいからユリも同じクエストを受けて欲しい」
「いいよーで、そのクエストを受ける為にどのキャラに話しかければいいの?」
そう言われてクエストを受けられるキャラを探すが居ないのだ…。
「あれ、居ない?」
「どんなキャラ?」
「この体より幼い子供なんだけど…」
「見た感じ大人のキャラしか居ないね」
あれー?なんか条件があるのか?時間とか?曜日とか?
「まあ、受けられないなら受けられないで、ついていくよ、クエストを受けなくても強い敵を倒せばイベントポイントは入ってくるからね!それじゃあ行こう!」
「なんか脳筋みたいなセリフだな」
「妹に向かって脳筋て、言うのどうかと思うよお兄ちゃん…」
ユリから冷ややかな視線を受けつつも、山の頂上に向けて自分達は移動を開始した。