撤退と掲示板
再び秋のイベントのセーフティエリアに飛ばされて、リスタートした自分は、頭上で数字が2になっている事を確認する。
「今日はもういいや」
時間的にもこれ以上の探索は厳しいし、精神的に疲れた、このままリスタート時の上に乗ってた魔法陣を使い、ユリのマイホームに帰宅する。
「あ、レンナさんおかえりなさい!」
フェルが出迎えてくれる、フェルの側にはユリから借りたと思われる、ノートパソコンみたいな物が置かれていた。
………リーダーといい、ユリといい、持ち物現代的過ぎない??ファンタジー世界だよねここ???
「えーと、それがユリから借りた道具?」
「はい、これを見れば色んな人の垂れ流した情報が見れるらしいです、でも危ないから見るだけにしなさいと言われました」
「すまん、見ていいか?」
「はい、ユリの家族であるレンナさんなら問題ないですよね」
フェルから許可を貰い、ノートパソコンを確認する。
そこにはネットの掲示板があった…。
はっきり言って使ったことが無いので適当に見てみる。
『今回のイベントはなに?猿とゴブリンの合戦エリアなの?』
『今回はPK多いんだけど!?』
『普通はカルマ値の高いプレイヤーはカルマ値の高い組で同じフィールドに放り込まれるらしいけど、今回のイベントはカルマ値のボーダーラインがそこそこ高くなってるみたいだよ、その結果カルマ値低めのPKが混ざっちゃったぽい』
『罠が結構な数あるしソロだと詰まないかこれ?』
『今回はレベル差の制限緩いのかー』
『結局ゴブリンも猿も倒せばいいの?』
『いいんじゃない?どっちも言葉通じないし、倒せばポイント入るし、バトルロワイヤルみたいなものだよ、こっちは敵から背後から刺されたし、みんなも気を付けてな?』
『ひゃっはー高火力広域で全てを薙ぎ払うのたのしー!』
うわー…なんというか過激な投稿が多いな…。
「フェル、なんというか…この掲示場の情報を鵜呑みにしたらだめだからね?誤った情報も多いと思うし、証拠もない話も結構あるだろうしな」
「そうなんですか?わかりました、気をつけます!」
そう考えると、死神の情報も作り話である可能性も出てきたな…でもPKが多い情報は確かかもしれない…。
そう考えると、フェルが秋イベントのフィールドに入れなくて良かったかもしれない…。
プレイヤー同士の戦いて何が起こるかわかったもんじゃないからな、何度もPVPに巻き込まれていたらフェルの命がいくつあっても足りないわ。
そう思考をしていると、だんだん眠気で襲ってきた…少し早いが脳が睡眠を欲しているみたいだ…。
「ふあー…ごめんフェル、そろそろ寝たいから今日はここでログアウトするよ」
「はい、おやすみなさいレンナさん」
フェルに別れの挨拶をしてから、ログアウトする。
ファンタジーフリーダムの世界に入る為の機械を外して、そのまま眠りに落ちてた。
「お兄ちゃん寝てる…?」
「………うん?」
友奈の声が聞こえる、目を開けて起き上がると友奈が自分の部屋の中に入って来た。
「どうかした………?」
「起こしてごめんなさい…」
「別にいいけど、どうかしたのか?」
寝ぼけ眼で友奈を見る、その友奈は寝間着ではなく、ファンタジーフリーダムのリオアのアイドル衣装を着ていた……右手にはナナサカさんの刀、左手にはネージュフラワーが握られている。
「…………え?」
「ちょっと秋イベントポイントの糧になって」
刀を振りかぶる友奈、あ、夢だと認識した瞬間、全てが真っ暗になり、自然と体はカバリと起き上がる、素早く周囲を見るとただの現実の自分の部屋しかなかった、友奈なんて居ない、もしかしなくても夢だったな…。
朝食時さっき見た夢の出来事を友奈に話したら友奈は飲んでたお茶を吹き出しかけて、お腹を抱えて笑っていた。
「確かに親しいプレイヤー同時で何度もPKしてポイントを稼ぐ考えはした人は居たけど、一度でもフレンドを結んだ人同士のPKはポイント獲得が発生しないよ」
友奈は楽しげに教えてくれた…。
まあ、そう簡単に稼げないようにはなっているんだな、そう思いつつ、朝ご飯の時間はすぎていった。