赤き乱入者
「レンナさん!また上空からなにかが飛んできます!」
「え!?まって、ボス倒したら暫くは竜は俺らを襲わないはずだ!?」
フェルの言葉で動揺するTT、どうやらなんか普通じゃないことが起きたみたいだ。
ズウン…と重たい音と共に赤い生命体が自分達の前に降り立つ…それはTTのナンバークエスト関連で見たことある龍…レッドドラゴンだった!
「な、何でお前がこんな所に!?」
「ほう、見覚えのあるやつが居ると思ったら妖精に魅入られた者か…」
酷く驚くTTとこちらをちらりと見るレッドドラゴン…。
待って、自分の呼び方それになるの…?
「れ、レンナさん…さっきの竜と違って凄く強そうに見えるんですが…ど、どうするんですか!?」
「TT、なんか来てない?ナンバークエストとか」
「来てないから少し待ってくれ」
TTに言われて、黙る…ちらりと橋の終着点を見る…土の壁は無く、逃げようと思えば逃げることは可能だ。
追いかけられたらかなりヤバイが…念の為に会話している間にMP回復しておくか、火光のMPタンクにMPを補充して、MP回復薬をがぶ飲みする。
「なんのようだ…ここの竜は、お前ら龍とは関係ないだろう?」
「ふん、我の目的は変わらぬ、貴様を監視し、貴様が龍の力を使いこなせなかったり、悪用していたり、腐らせているようならば…回収せねばならない…」
回収て、TTが龍の力を得る時に飲んだ結晶みたいな物を、腹でも掻っ捌いて手に入れるつもりなのか?
…いや、グロすぎるから多分レッドドラゴンの手でTTが倒されたら、自然と奪われる感じになるのかな?
「悪用も腐らせもしているつもりはないが?使いこなしたかどうかに関しては…さっきの戦い見ていただろう?」
「ふん、悪用していないと口ではなんとも言えるが真偽は貴様の口からではない、妖精の口から聞こう」
なんか矛先にフェルに向いた!?何で!?
「小さき者よ、われの千里眼に嘘は通じぬ、仮に嘘を使うものなら食おうか」
「ひっ!?」
「何フェルを脅迫してるんだよ!自分達は無関係だろ!」
アースキーと火光を構える、こいつ嫌いだ!妖精と虫を同系列に扱ったり、フェルを食おうとしたり…どうあがいても、仲良く慣れる気がしない!
「ふん、ただ嘘を言わねば良いだけじゃないか、我が聞きたいのは…黒い龍だ、貴様は見たことあるはずだ」
「黒い龍…確かに私の故郷見たことがあります」
黒い龍て黄金蜘蛛と戦っていた時に乱入してきたTTの姿の事か?そう言えばフェルに結局あの黒龍はTTだったよと伝えたっけ…?ど忘れしてしまった。
「その黒い龍は、妖精の故郷を荒らしたか?」
あれ?これフェルの返答次第で、戦闘勃発するの!?
「少なくとも私の故郷を荒らす虫を排除していたので、荒らすと言うより、掃除してくれたという認識です」
「む、そうか…ならば妖精に魅入られた者に聞こう、貴様はそこのやつに裏切られたか?」
次はこっちに質問してきた…TTに裏切られたかどうかか…返答に悩むな、多分裏切ってないと言ったら嘘判定になってしまう気がする…。
助けに来てくれた時、あの裏切りのビーコンを使ってフレンド一覧から一度消えた以上、裏切り判定だろう…かと言って、裏切られたと安易に言えば戦闘不可避だ…。
「…………こいつとは時折喧嘩する事はあるし、時折笑い話で済む範囲で、裏切ったりするが…真の意味で裏切られてはいないよ」
そう言うと、凄い眼力でこちらを見つめるレッドドラゴン…普通に怖いんだが…。
「…………そうか、ならば勘違いだったか…」
「満足したか?」
「ふん、満足などするものか、貴様が龍望む獣である限り、われは監視し続けるだけだ…また来る時が来たらまた会おう」
そう言って羽を動かし、飛び始めるレッドドラゴン、そしてそのまま去っていった…戦闘は回避できたのかな?
「なあ、何だったんだ?あのレッドドラゴン…?」
「俺にも色々とあるんだよ、簡単に言うと一度だけなった黒龍になった影響で、色々と目をつけられた感じだな…色々と難癖つけられて、少しうんざりするが…認めてもらえば技を教えてもらえるからな…今は耐えるときだ」
気疲れた声を出すTT…なんか大変そうだな…。
というか何でフェルに黒龍のことに関して聞いたんだ?訳が分からない…。
「と、取り敢えずフォー街に行きませんか?ここにずっといて、また竜に襲われたら大変です」
「ああ、案内する…ついてきてくれ」
フェルの言葉に頰を叩き、龍人の姿から人の姿に戻り、気合をいれたTTの案内で自分達はフォー街に向かった。