新たな転移魔法陣の居所
チームゼロオーダーの工房にたどり着くと、そこには優雅にコーヒーを飲んでいるリーダーさんがいた。
「おかえりー」
「一応自分達はチームの部外者なんだけど…お帰りておかしくないか?」
「いいだろ?もう半分メンバーみたいなものだし」
ケラケラと笑うリーダーさん、因みに自分はチームには入っていない、入るとなにかが変わる訳じゃないので、居候みたいにこの工房の世話になっている。
「そう言えば、結構な回数ここに訪れてますがリーダーさんやウランさん、ユリ以外にチームの人見たことないですね…」
「まあ俺とウラン以外は戦闘や探索特化だし、物を作るスキルが無いと工房に来る意味ないからな、強化の依頼や修理依頼は俺に物とメッセージ送れば、修理、強化出来るし…そんな事よりも話す事があるだろう?」
フェルの質問に答えつつ、本題にはいるリーダーさん。
「ああ、転移魔法陣見つかったのか?」
「それを話す前に聞きたいことがある、地魂の遺跡があった所に、新しく出来たダンジョンを探索したんだよな、どんな所か教えてくれないか?」
「え、わかった」
別に話して損する話ではないし快諾して、自分は先程潜ったダンジョンの事を話した。
トラップがメインのダンジョンでトラップは避けることは出来るが、トラップを避けていると敵も宝も出てこない事、ボスはミミックで物理に強いけど魔法攻撃に弱い事、撃破後生きたリバースドールという人形が居たが、トラップで爆発して手に入れられなかった事を話した。
「へー…あの生きたリバースドールか…」
「知っているのか?リーダーさん」
「ああ、かなりのレア物だが、ある意味でたちの悪いアイテムだ………特にレンナさんとは致命的に相性が悪いだろうな、手に入れなくて良かったかもな」
自分と相性が悪い?どういう事だ?いざという時にフェルの最後の命綱になりうるアイテムだろ…?
そんな事を思っていると見抜かれたのか、リーダーさんは説明してくれた。
「生きたリバースドールは手にすると動き出すんだ…最初は機械的な反応を示すだけなんだが…長く共に居ると魂みたいなのが作られてきて、だんだん性格などが生まれてくるんだ、そうなってきては大抵の人は愛着が湧いてしまう…。
だが決して生きたリバースドールに愛着を持ってはいけない、生きたリバースドールはどんな性格になっても、共通した行動がある、持ち主やそれに近い存在が死んだ場合、仲良くなるほど真っ先に自己犠牲に走り、死んだ者を生き返らせて、消耗品として死んでしまうんだ、その結果ついた別名がメンタルブレイカーだ」
な、なるほど仲良くなるほど、ここぞという時に自主的に死にに行くのか…というかそういう事なら…。
「え?つまり自分はNPCを殺しちゃったのか…?」
「いや、鶏で言うと卵を割っただけだ…触れていれば有精卵になってたかも知らんが触れてないなら無精卵だ、安心しろ」
「そ、そうなのか…」
変な例えだが…まあ、それなら大丈夫か…しかし自分と相性が悪いか…確かに自分はフェルに愛着全力でもってるし、そんな自分がリバースドールを手に入れれば仲良くなるだろうし…。
そうなった状態で自分かフェルが死んてしまったらと考えたら、確実にメンタルブレイクしてしまいそうだ…。
………うん、リバースドールの事はもう考えないようにしよう。
「取り敢えずダンジョンの情報はわかった、それじゃあ転移魔法陣がある場所に関しての情報を教えるぞ」
「ああ、何処にあるんだ?転移魔法陣?」
「フォー街の近くにあるダンジョン、魔本の図書館の地下3階に転移魔法陣があるんだ」
魔本の図書館…なんだろう、本が襲いかかってくるのかな?
そんな考えをしていると、リーダーさんが魔本の図書館への道が書かれた紙をくれた。
「魔本の図書館は本の敵が出てきてくるんだが…そいつは魔法攻撃を多用して、魔法の防御力が高いから物理で戦闘を頑張ってくれ。
ダンジョンの最奥じゃなくて、中間エリアに目的の転移魔法陣があって、そこは敵が出てこないセーフティエリアとダンジョンの外と行き来できる魔法陣が開放されて、一度攻略出来れば、行き来はかなり楽になるぞ」
「なるほど…」
地魂の遺跡と違い最奥まで行く必要が無くて、セーフティエリアとかあるんだ…。
そして一度攻略するとショートカット機能も開放されると、攻略してしまえば地魂の遺跡より利便性があるかもしれない。
「まあ、2人の状態を見て…魔本の図書館に行くなら、40レベルになるか、防具を新調したほうがいいかもな…」
「防具の新調か…」
今のジャケット気に入ってるんだけどな…まあ、MPに依存するデメリットがあるし…。
妖精火門とかを使った後を考えたら、やっぱり新調したほうがいいのかな?リーダーさんに良い防具素材が手に入りそうな所とか聞くか…。