危険な宝箱
その後、ダンジョンを進んでいく。
このダンジョンは警戒していけば、避けられるトラップばかりで、なおかつ敵とのエンカウントが最初の植物ゴーレム犬しか無かった…。
「宝箱もないし、なんだこの遺跡…」
「レンナさん、もしかしてなんですが…トラップにハマらないと、敵や宝箱が出なかったりするんじゃないですか?」
そんな意地悪なダンジョンありなのか?セキュリティとしてもなんかやだな。
「……だとしたらこのダンジョンを作った存在はめちゃくちゃ性格悪いな…」
「ダンジョンを作った存在て何者なんでしょうか?ナナサカさんみたいな神様なのかな?」
ダンジョンを作った存在は…AIだよな?
「神様かは分かんないけど、性格が悪いのはたしかだよ」
そんな会話をしながら、最奥と思われる場所にたどり着く…広い空間で真ん中に自分が入れそうな位に大きな宝箱がポツンと置かれていた…怪しすぎる。
「罠ですね」
「罠だな、一斉に攻撃しよう、多分あの宝箱動いて攻撃してくる、初撃防がれる可能性もあるから妖精氷門は温存で」
「わかりました」
2人の意見は同じだった、高田が昔のテレビゲームで遊んでて、ゲーム内で生きた宝箱に騙されて、上半身をもぐもぐ食われて死んでたのを見たことある、多分あれだと思うし、広い所にボスもおらず、宝箱だけあるなんて怪しすぎる。
「地門!」
「アイスメテオ!」
上からはフェルの氷、下からは自分の大地の針による2人の攻撃が宝箱に直撃する!
宝箱から、生命体のような悲鳴が聞こえる、やっぱり生きた宝箱だったのか…。
すると宝箱からムキムキの手足がニョキッと生えてきた!殴られたら、弱いこの体ではタダではすまないだろう。
更に宝箱の口がパカリと開いて、肉肉しい内部が見える、はっきり言ってキモいが、虫ほどではない。
「ヒィ…」
「うわ、キモ」
悲鳴をあげるフェル、自分は似たようなのを見たことあるので、そこまで動揺する事無く戦闘に備える。
宝箱は鳴き声を発して襲いかかってくる!
「フェル、多分こいつは近接戦闘が凄いと思うから、援護射撃を頼む!」
見た目から判断してフェルにお願いする。
「はい!オールアップ!ブレイブハート!エレメントブースト!アイスニードル!」
フェルは補助魔法を唱えつつ、氷の針で攻撃する、だが機敏なステップで、氷の針は回避された。
「地門!」
だがステップに合わせて作り出した大地の針で生きた宝箱を貫く!
「アイスチェーン!」
更にフェルが生きた宝箱の足に氷の鎖を絡めて転ばせる。
あのフェアリーパーティからレベルアップしてないけど、何度もナナサカさんに決闘を誘われて、フェルのサポートありで何度も決闘したお陰で、連携攻撃がスムーズになっている気がする。
因みに決闘は全て自分だけが斬られて、全敗だ。
「火光!風の刃、火の刃!地門!」
火光を取り出して、二刀流で火の斬撃波と大地の針で遠距離攻撃をする、火の斬撃波と大地の針はガリガリと生きた宝箱を削っていく。
「アイスメテオ!」
更にダメ押しと言わんばかりに、フェルは氷の隕石を落として、生きた宝箱を押しつぶした!
そして宝箱は何も出来ずに、赤いエフェクトをまとって消えていった、完封勝利だ。
「ナイスだフェル!」
「やりましたね、レンナさん!」
結果として、ミミックの空箱がアイテムとして手に入れた…説明文をみたら、物理に強い防具としての素材としていいらしい。
「遠距離攻撃はしてこなかったですね…」
「多分だけど、擬態と近接戦闘に特化しているんだと思う…そして箱は物理に強いらしいが、反面魔法とかの攻撃に弱かったのだろ…敵からしたら遠距離でひたすら苦手な魔法を叩き込まれて、最悪の相性だっただろうな」
多分だけど、無警戒で触れたり、開けてたら、自分の体じゃまず抗えない位の力で体掴まれて、そのまま食われて死ぬんだような…。
敵があからさまな所で待っている奴で助かったよ…。
多分通路の端とかだったら、トラップ警戒してても、何のトラップかはわからないし、調べる為に触って、ぐしゃりと美味しく食われててもおかしくないからな…恐ろしい相手だ。